ライター:一色先生
2025.02.27
トッシーです。 こんにちは。
今の時代はますます複雑で、将来の予測が困難な状態になっています。
そんな中で、企業が成長発展するためには常に新しい価値創造が必要です。
以前、「デザイン思考」について説明しましたが、今回はアート思考を紹介します。
(関連記事:2023.03.15教えて!一色先生「デザイン思考でオフィスカイゼン」
)
アート思考とは、デザイン思考とは異なり、課題解決を目的としません。
ビジネスにおいては、効率性や最適化を重視するロジカルシンキング、ユーザーの課題を解決するデザイン思考がよく活用されますよね。これらは「与えられた課題をどのように解決するか」に焦点をあてています。
アート思考では「課題解決」よりも、「何が心を動かすか」を起点とします。感情や直感を重視し、自分が面白いと思うことや、疑問を感じることに注目し、それを掘り下げていきます。
1.アート思考の定義
アート思考を定義すると次のようになります。
「自分独自のものの見方をたかめることで、自分なりの答えを探求する営み。
問題解決を目的とするのではなく、新たな問いや視点を生み出すこと自体を重視。」
2.アート思考の特徴
①自己表現と直感の重視
アーティストが作品を生み出す際に重要なのは、自分自身の内面的な動機や直感
既存の枠組みにとらわれず、自由な発想を重視
②問いを生み出すことが目的
デザイン思考のように「課題を解決する」ことを目的としない
「まだ誰も気づいていない問いを生み出す」ことがアート思考の本質
③プロセスが自由
体系化された手法ではなく、個人の感性や創造性に委ねられる
何かを試行錯誤しながら新しい表現を生み出す
④主観的な価値を重視する
アートは受け手によって異なる解釈が可能なもの
デザインは「使いやすさ」や「機能性」を求める
アートは「意味」や「感情」を喚起するもの
3.アート思考で世の中にインパクトを与えたコンセプト
アート思考を活用することで、今までにない斬新なコンセプトが生み出されています。
いくつか具体的な事例を紹介しますね。
以下、それぞれの画期的なコンセプトと提供した新たな価値について説明します。
①ウォークマン(SONY, 1979年発売)
コンセプト:「音楽を持ち歩く」
新しい価値:
•それまでオーディオ機器は据え置き型が主流だったが、個人が好きな音楽をどこでも楽しめるようになった。
•音楽の聴き方に「パーソナルな体験」を導入し、ヘッドホンを使うスタイルを定着させた。
•若者のライフスタイルや通勤・通学時の行動を変革した。
▼画像引用元:HH News & Reports
② iPhone(Apple, 2007年発売)
コンセプト:「電話、インターネット、iPodの融合」
新しい価値:
•物理ボタンのないタッチスクリーンを採用し、直感的な操作性を実現。
•通信端末としてだけでなく、アプリによる拡張性を持ち、スマートフォン市場を創出。
•インターネットを手のひらで使える時代を本格化させ、デジタルライフスタイルを大きく変えた。
▼画像引用元:iphone Mania
③チキンラーメン(日清食品, 1958年発売)
コンセプト:「お湯を注ぐだけで食べられるラーメン」
新しい価値:
•それまで手間がかかったラーメン調理を、一瞬で簡単に作れる食品に変えた。
•乾燥麺という保存性の高い形態で、長期保存が可能になった。
•忙しい現代人や手軽に食事をしたい層に画期的な解決策を提供。
▼画像引用元:日清食品 安堵百福クロニクル
④カップヌードル(日清食品, 1971年発売)
コンセプト:「容器一体型のインスタントラーメン」
新しい価値:
•容器に直接お湯を注ぐことで、食器が不要になり利便性を大幅に向上。
•屋外でも食べやすく、災害時やアウトドアなど新たなシーンでの食事スタイルを確立。
•グローバル市場でも成功し、インスタント食品の世界標準を築いた。
▼画像引用元:アスキーグルメ
⑤ディズニーランド(1955年, 米国開園 / 1983年, 東京開園)
コンセプト:「夢と魔法の王国」
新しい価値:
•子どもだけが楽しむただの遊園地ではなく、家族みんなで楽しめるストーリー性とキャラクター体験を重視したテーマパークを創出。
•清潔で安心できる環境、徹底した接客(ホスピタリティ)で他の遊園地との差別化。
•現実を忘れ、完全に物語の世界へ没入できる空間を提供し、多世代に愛されるエンターテインメントに。
▼画像引用元:ディズニーリゾート公式サイト
これらの事例に共通するのは単なる新技術の導入ではなく、それぞれ自分が面白いと思うことや、疑問を感じたことに着目し、自らありたい姿を追求し今までにないコンセプトを具現化している点です。人々のライフスタイルや行動を変える「新しい体験の提供」に成功しています。
あなたも疑問を感じるアンテナを立てて、新しい問いや視点を生み出すことを日々の暮らしの中で、ぜひ意識してみてください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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