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気になるノウハウ!

ライター:一色先生

2022.01.05

教えて一色先生!クリエイティブオフィスの共通項2~「実際の受賞オフィスに見られる共通項」

一色です、こんにちは!

前回はクリエイティブオフィスの定義について解説しました。
教えて一色先生!クリエイティブオフィスの共通項1~「クリエイティブオフィスってなに?」

今回はクリエイティブオフィスの共通項を紹介します。

■クリエイティブオフィスの共通項

さて、実際に受賞したクリエイティブオフィスには共通しているポイントがありそうです。 下記のとおり、6つの要素に分析してみました。

①ゾーニング
②レイアウト
③マグネットスペース
④見える化
⑤多様性
⑥根本的なこと

①ゾーニング ・・・ホット&クール

クリエイティブオフィスには共通しているゾーニングがあります。 それは入口周辺はホットで、入口から遠いところはクールということ。

執務スペースの入口周辺はいろんな人が集まるので、交流がスムーズに行われるように広場やハイテーブルで構成されていることが多いようです。

街で例えると、最も人が集まる駅前には広場、やカフェ、ショップなどが配置され、人と人の交流を促進される空間になっています。反対に駅から遠い郊外には、静かな住宅地や別荘などがあり、ゆったりと落ち着いた空間になっているのと同じです。

にぎやかなところがホットなエリア、静かなところがクールなエリアとなっているイメージを図にしています。

ホット&クールゾーニングは、地球環境と同様でバランスが取れています。地球温暖化の問題は、寒暖の差が小さくなって海流の循環が悪くなっているのが原因という指摘もされています。

②レイアウト・・・広場、回遊動線、交差点

次はレイアウトでの共通項です。
クリエイティブオフィスはコミュニケーション接点をいかに増やすかという工夫が多くなされています。

昭和の時代のオフィスは自分の机に向かって黙々と事務処理を行うことが良しとされていました。ですが今はオフィスの中をふらふら歩いて、自分の所属する部署の人と会話するのではなく、異なる部署の人との会話が求められていますね。そのようなコミュニケーション接点を増やすレイアウトの特徴は広場、回遊動線、交差点です。

オフィスの中に広場を作り、コーヒーを飲みながらの雑談ができるカフェスペースを作る。 散歩したくなるような回遊動線があると、歩くことでオフィス全体に視線を投げかけることができ視線があった人と会話の機会を持てます。また通路と通路が交差する交差点に、小さなハイテーブルがあるだけで出会った人とちょっとした立ち話がやりやすくなります。

あのディズニーランドもパークの中を回遊したくなる広い通路、入口に近いところの広場などこのようなレイアウト上の工夫で構成されています。

③マグネットスペース ・・・30m理論

人と人の交流接点を増やす工夫としてマグネットスペースという取り組みがあります。

MITの経営学教授のトーマス・アレン氏の提唱する「30m理論」というものがあります。 どんな理論かというと、組織内でのコミュニケーションは、人と人が物理的にどれだけ離れているかにかなり依存する。オフィス空間の中にコピーコーナーや、休憩スペースをつくったとしても30mを越えるとそこにはいかなくなるというものです。

筆者もコクヨのオフィスデザイナーをやっていた時に休憩コーナーや、コピーコーナーなどがどれぐらいの間隔で設置されているかを、大小さまざまなオフィス空間で調べたことがあります。どんな大きな空間でも、交流が促進されているコーナーは30m以内で設定されていました。(別の尺度でいうと、20秒で移動できるぐらいの距離を越えるとあまり使われない場所になると言えそうです)

④見える化 ・・・オープンインテリア

クリエイティブオフィスとして新築される自社ビルや研究所では見える化は共通する大きな要素の一つです。

多様な人とのダイレクトなコミュニケ―ションを増やすためには、だれがどこで何を行っているか気配を感じ取れるようにすることはかなり重要です。そのためオフィスの中央に外光が降り注ぐ吹き抜け空間をつくる。フロアを越えてお互いの姿が見える、オープンインテリアで遮るものが無い、という空間がつくられています。

⑤多様性 ・・・新たな気づきと発想

新しい価値を生みだす為には多様な考えとの交流が欠かせません。クリエイティブオフィスの共通項としての多様性は2つの意味があります。

できるだけ多様な異質な考えを持った人が集まることの重要性と、空間のなかで仕事や気分に合わせた多様な場所を選択できるというものです。自分だけでは思いもつかないような考えを持つ人との会話から、新しい気づきを得るきっかけができたり、環境を変えることで別の発想が生まれたりするためにも多様性は必要です。

早稲田大学の入山章栄教授は、イノベーションには「知の探索」を促すことが必要と述べています。

同じ組織で数年一緒に働いていると周辺の知の組み合わせはしつくしてしまう。 通常とはまったく違う幅広い知の組み合わせがあることが、新しい価値創造のためには欠かせません。

⑥根本的なこと

共通項の最後は”根本”です。

下図は流れ星の絵ですが、流れ星が流れているときに願いを唱えると叶うと言われていますよね。でも流れ星はいつ流れるかわからないし、流れても一瞬ですぐに消えてしまう。常日頃から願いを口にしている人でないと無理ですね。つまり、流れ星に願いを唱えることができる人は、叶えたい願いや、自分の目的を常に心に描いている人と言えます。常日頃から自分の目的や願いに向かって行動していることになるので、おのずと願いを叶えることにつながります。

組織力のところでも説明しましたが、組織の目的や達成したい目標を全員で共有する組織は、おのずとパフォーマンスが高まると言えます。オフィス空間の中に、組織が目指していることや大事にしていることが象徴的に伝わる要素を盛り込むこと、またオフィスのコンセプトを感じさせるエッセンスを反映させること。その大事にしていることを、社員に常に発信して気持ちを一つにすることを継続して続けていく、ということもクリエイティブオフィスをつくるうえで重要な取り組みになります。

アメリカが1960年代に月に人類を送り込むという壮大なビジョンを掲げ国民と共有することで、夢を現実にすることができました。 お祭りで神輿を担ぐ人が同じ法被を着て同じ思いで参加することで、結束力が高まります。 コンポン。組織として大切にしていること、基本的な考え方を核にすることが大きな力につながります。

■まとめ

いかがでしたか。 アナタのオフィスという“場”をよりクリエイティブオフィスに近づけることができそうでしょうか?

昨今はハイブリッドワークを実施する企業が増え、オフィスの減床はもちろん、オフィスを持たない企業も出てきています。組織のイノベーションには、新しい気づきやアイデアが欠かせません。それを生みだすためには多様な考えを持つ人同士の交流が重要と考えます。

フェース・トゥフェースのダイレクトなコミュニケーションによって、人の頭の中にある知恵に触れることができます。また新しい考えは、「そんな考えもあるのか」、「今までの考え方を見直してみよう」などと自分の考えを否定することで気づくことも生まれてきます。

バーチャルではなくリアルな五感を通じた交流に勝るものはないのではないでしょうか。 オンラインでの交流が主流になってきたからこそ、リアルの交流を可能にするオフィスでは、リアルでしか得られない体験や創造性が発揮できる場を用意できるといいですよね。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

また次回お会いしましょう。一色でした。

一色先生

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ライタープロフィール

コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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