ライター:一色先生
2024.11.30
一色です!こんにちは。
毎年8月に発表される「日経ニューオフィス賞」。今年の受賞オフィスはもうチェックされましたか?
昨年、もしくは今年中にオフィスを移転した企業のみなさんの中には、来年度の受賞に向けて応募の準備を検討している方もいるでしょう。また、日ごろからクリエイティブで機能的なオフィスを研究するのが好きな方もいらっしゃるでしょう。
今年の日経ニューオフィス賞受賞オフィスにはどんな共通点があるのか、ここ数年の特徴の変化など、気になっている方も多いと思います。
今回は今年(2024年)の日経ニューオフィス賞受賞オフィスに見られるキーワードと受賞事例、またここ数年のキーワードの変遷についても解説します。
日経ニューオフィス賞の受賞オフィス16件は下記のような内容になっています。
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経済産業大臣賞受賞
・清水建設 温故創新の森NOVARE
クリエイティブオフィス賞(今年は2件)
・タケダグローバル本社ビル6-19階
・ネットワンシステムズ イノベーションセンター(netone valley)
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16件の内訳は関東ブロック11件、近畿ブロック2件、東北、中部、九州ブロック各1件でした。
▼画像引用元:NOPA公式ホームページより
日経ニューオフィス賞受賞オフィスのキーワードの変遷
受賞オフィスのキーワードについて、2021年から2024年までの変遷をまとめました。
(ニューオフィス賞全国審査委員長や、ニューオフィス推進協会会長の受賞オフィスに対するコメントから、筆者が独断でまとめた個人的見解になります。)
年度によって関心の高いものが上位のキーワードになっています。最近の特徴は空間だけでなく、体験価値を変革するような要素が強くなっているようです。
1.2021年受賞オフィスのキーワード
①イノベーション・共創
②ニューノーマル
③ウェルネス
④地域活性化
⑤サステナブル
2.2022年受賞オフィスのキーワード
①ビジョン体現
②ウェルビーイング
③ニューワークスタイル
④地域活性化
⑤サステナブル
⑥セレンディピティ
3.2023年受賞オフィスのキーワード
①ビジョン体現
②ウェルビーイング
③セレンディピティ
④EVP(従業員提供価値)
⑤サステナブル
⑥地域活性化
4.2024年受賞オフィスのキーワード
①ビジョン体現
②EVP(従業員提供価値)
③オフィス活用
④ウェルビーイング
⑤サステナブル
⑥地域活性化
※2007年にニューオフィス推進賞にクリエイティブオフィス賞が設けられてから、ずいぶんと経過しました。日経ニューオフィス賞はクリエイティブオフィスのベンチマークの事例を紹介する賞とも言えます。「クリエイティブ」は目指すべき当然のことなので、傾向のキーワードからは外しています。
今年の受賞事例とポイント
今年の特徴としては、
・「従業員体験の変革を目的としたDXを促す場としてのオフィス」
・「個人の成長を促進するEVP(従業員提供価値)への関心の増大」
・「オフィスをつくった後のオフィス活用への視点」
など、オフィスのあり方が、ハードとしてのスペースからよりクリエイティブな課題を生み出すワークへとシフトしてきています。
それでは、特徴的なキーワードについて事例を交えて紹介していきますね。
1.ビジョン体現
企業が何を目指しているのか、共有すべき目的は何なのかをオフィスの中にどう埋め込んでいるか、という視点です。
事例:清水建設 温故創新の森「NOVARE」
事業構造、技術、人財のイノベーションをスパイラルアップし、コンセプトである「超建設」を具現化するため、旧渋沢邸を含めた5つの機能の複合オフィスを構築しています。
画像引用元 清水建設公式ホームページ
2.EVP(従業員提供価値)
2023年から出てきたキーワードで、企業が従業員に提供できる価値を探求し具体化することです。
事例:タケダグローバル本社
武田薬品工業は研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニー。ワーキングコンセプトは「Ways of Working」。理想的な働き方を実現するためのオフィスです。
個人およびチームの学習と成長の促進を目的に大型のラーニングセンターを設置しています。従業員が成長することなしに、組織の創造性が高まることはありません。EVP(従業員提供価値)向上のポイントは、従業員の成長にいかに貢献できるかということでもあるといえそうです。できるオフィスを、いかにつくりあげるかがますます重要になってきそうです。
画像引用元:NOPA公式ホームページ
3.オフィス活用
オフィスの運用維持については、いままで強くスポットライトがあてられることはなかったのですが、今年は、組織のパフォーマンスを高めるための「オフィス活用」の重要性が注目された年だと感じました。
事例:LION本社オフィス
コンセプトは「行きたくなるMYBEST OFFICE」。オフィス空間構築にあわせて総務部に「ベストオフィス構築グループ」を設置し、オフィスの運用面のしかけを活性化しています。休日のオフィスを地域活性化に活用する新規事業の構築など、オフィス施設を利用した活動を行っています。
画像引用元:NOPA公式ホームページ
下記のキーワードについては、どのオフィスも多かれ少なかれ含まれるようになってきました。
4.ウェルビーイング
健康で幸福、つまり「健幸」なワークスタイルを考慮したオフィスです。
5.サステナビリティ
人間、社会、地球環境の持続可能な発展をどうとらえているのか。
6.地域活性化
企業が元気になるだけでなく、地域や社会も元気になるような活動をどう行っているか。
7.全体を通して共通するもう一つのキーワードが、「オンリーワン」
日経ニューオフィス賞を受賞しているオフィスにすべてに共通するのはオンリーワン。年々受賞のハードルが高くなっています。「他にない独自性はなにか」、すぐに答えられるようでないとハードルは超えられません。
以上2024年の日経ニューオフィス賞受賞オフィスの傾向をキーワードで紹介しました。
なお、日経ニューオフィス賞受賞オフィスの紹介冊子は例年1月か2月に発行されています。NOPA(ニューオフィス推進協会)のホームページで購入できますので、ぜひ手に取ってみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
参考情報 | ▼オフィスの広場 気になるワダイ!
2024.01.31 「2023年日経ニューオフィス賞受賞オフィスの傾向は?」 2023.04.07 「日経ニューオフィス賞応募の前に知っておきたいこと」―審査の視点を紐とく―」 2021.08.25 「日経ニューオフィス賞ってどんな賞?受賞オフィスのキーワードは?」 |
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ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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