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気になるノウハウ!

ライター:一色先生

2023.10.27

教えて!一色先生:心豊かに働けるように―オフィスにおけるアート導入効果

トッシーです、こんにちは。

筆者、実は水彩画家としても活動しています。

幼少のころから絵を描くことが好きで、小学校に入る前から地面や、新聞に入っていたチラシの裏面に絵を描いたりしていました。すごい運動音痴だったので絵の世界に入ることが多かったです。

高校時代は美術クラブに入って3年間毎日石膏デッサン。30歳ごろからハガキサイズの小さなスケッチブックを持ち歩いて、どこかに行くとスケッチするというの始めて今でも続けています。最近は年に数回、グループ展や公募展用に大きな水彩画も描いています。

あ、なんの話かって?すみません(汗

今回はオフィスにおけるアートの効果がわかる取組事例を紹介します。

絵を描きたいと思うときは、心が動いたものや美しいと感じたものを、平面に再現したいと思ったときです。2次元の紙に、3次元の空間をいかに感じさせるかと意識しながら表現しています。

▼「100年先も・小豆島」(水彩画F80:1455×1120) 

▼「鎌倉・六地蔵交差点」(F0サイズ:180×145)

筆者が絵を描くのは、絵を通じて心が豊かになる人を増やしたいからです。

これはオフィスでも同じですよね。心を豊かにする方法はいろいろありますが、そのうちの一つとしてアートは有効です。

今回はオフィスにおけるアートの効果がわかる取組事例を紹介します。

1. 企業理念・ビジョンの浸透

企業のありたい姿や目指す方向性を明確に定義している会社は、アートを選択するときにも企業の想いが反映されるものです。アートを通じて企業理念やビジョンを発信することができます。

企業の独自性や、価値観を反映したアートがあることで、従業員や来訪したお客様に企業姿勢や考え方が伝わります。

ZOZO本社オフィス
ファッション通販サイト「ZOZO TOWN」の運営・開発・物流などを主力事業としている株式会社ZOZO。ZOZOの企業理念は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を」です。 オフィスの中には、さまざまなアートが展示されており従業員のファッションセンスを高めることにも役立っており、会社の思いが伝わってくるようになっています。

▼ オフィスの広場/気になるオフィス!ZOZO:美術館か大人の図書館か。街とつながる新社屋は驚きの連続だった!より

来訪者や社員が通る廊下の壁には、額に入った5枚のTシャツが展示されています。これは上場時の鐘を鳴らすパフォーマンスの際に当時の5名の役員が着たものです。Tシャツは5枚そろうと「NO WAR」のメッセージが伝わるようになっています。それぞれは普通のTシャツですが、背後にあるストーリーを含めて一つにまとまることで、アートになっています。 社員にとっても、このストーリーを知っていると初めて訪れたお客様にも、きっと話したくなりますよね。

ユニバーサルミュージック

ユニバーサルミュージックは国内外の幅広いアーティストの作品を届ける世界最大の音楽会社。企業ミッションは「音楽を愛し 人を愛し 感動を届ける」です。 受付横の廊下には、社員から募集した17歳のころに聴いていた自分にとっての思い出のアルバムジャケットがディスプレイされています。ディスプレイのタイトルは17Wall(イイナウォール)とネーミングされていて、企業活動をイメージさせるビジュアルアートになっています。会話のきっかけとなるし、会社への帰属意識を高めることにも役立っているそうです。

▼Musicman ユニバーサル、東京オフィスが第32回日経ニューオフィス賞で「ニューオフィス推進賞」&「クリエイティブ・オフィス賞」受賞より

大和ハウスグループ みらい価値共創センター「コトクリエ」

大和ハウスグループ みらい価値共創センター「コトクリエ」は創業の原点ともいえる奈良県の平城京九条大路沿いに位置しています。「企業は人なり」「人が一番大切な問題。人に愛される人財になってもらいたい」という創業者の意思を、これからの世代にも受け継いでいくために構築された施設です。 多様な人々が出会い影響しあうことで「みらい価値共創人財」を輩出することをねらいとしています。

創業者の精神をみらいへ継承するために、創業者の「ことば」をアートとして再解釈して表現されています。直接「ことば」だけを伝えるのではなくアートの形で実体化することで、従業員にとって事あるごとに振り返りができ、大和ハウス工業のDNAをみらいへと繋ぐきっかけとなっています。

大和ハウスHP/創業者フィロソフィーギャラリーより

2.組織の活性化・コミュニケーション促進

オフィスに展示するアートを社員が共同で制作する試みも、組織活性化するうえで効果的です。コロナ禍以降、モバイルワークが増えたので従業員が共に経験を共有する機会が減ってきています。オフィスの中でアートを一緒につくるという経験を共有することはコミュニケーション促進や企業理念の浸透に役立ちます。

三井デザインテックCROSSOVER Lab
三井デザインテックのオフィスコンセプトは「CROSSOVER」(オフィスこそが真の融合・連携協力=CROSSOVERを体現する場)

コンセプトワードの「CROSSOVER」がオフィスにつながる壁面に大きく掲げられています。Oの字の部分は廃材となる木材に、カーペットやカーテンなどの廃材を貼り付けて、社員一人一人がピースを作って埋め込んでいます。ピースの裏には、新本社でどんなクロスオーバーを実現したいか、という初心表明が書かれているので、社員はこの前を通るたびに自分が書いたメッセージを振り返るきっかけにもなりそうです。

▼オフィスの広場/気になるオフィス!三井デザインテックCROSSOVERLab:多要素デザインからなる上質空間トリップ体験は、クロスオーバー盛り込みすぎだった! より

また、このオフィスには、社員が日常使っているツール(電卓、マウス、キーボード、長靴、三角コーンなど)を持ち寄って作られたアートオブジェもあります。一つひとつはなにげない、ありふれたモノですが、全体がまとまると新しい価値を生み出すアートになる点もクロスオーバーのコンセプトを感じさせますよね。

▼オフィスの広場「気になるオフィス」三井デザインテックCROSSOVERLab:多要素デザインからなる上質空間トリップ体験は、クロスオーバー盛り込みすぎだった!より

3.感性刺激・クリエイティビティ向上

アートがあることで、空間を元気に魅力的にすることができます。魅力的な空間は人を集める力が高まります。本物や美しいものに触れることが従業員の感性を磨くことにつながります。アートは快適で刺激的なオフィス環境をつくり出します。また、多様性を受け入れる土壌を育むことにも役立ちます。

グリー
日本のゲーム会社として多くの人に知られているグリーのオフィスコンセプトは「従業員のためのオフィス」。オフィス移転にあたり、一緒に働きたいと思う人はどんな人かを話し合って、「新しいものを生み出す人」、「自分の仕事に誇りを持っている人」、「穏やかな人」、「ものづくりに集中する人」などのキーワードをあげて、そんな人が集まるオフィスを追求しました。コロナ禍でも人が集まる場所を探すと、趣味や嗜好の合うお酒や音楽やアートのある場所にコミュニティが生まれるということがわかり、アートが施されたオフィスをつくりました。

全体的にインパクトのあるアートを壁面や柱などにダイナミックに取り入れて感性を刺激しています。

オフィスの広場「気になるオフィス!グリー:ダイナミックなアートで感性を刺激~従業員ファーストを追求したこだわりオフィスより

おわりに

今回はオフィスにおけるアートの効果が分かる取組み事例を紹介しました。

「美」という字の語源を調べたことがありますが、「美」は、羊が大きいと書きます。羊が大きいと食べるものに困ることがなくなるので、心にゆとりができて、豊かになるということのようです。

私自身、観る人の心を豊かにする絵を描き続けていきたいと思い取り組んでいますし、オフィスで働くこと自体が心豊かになるようにサポートできればと思っています。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

参考「THE BEST OF NEW OFFICE 2022」一般社団法人ニューオフィス推進協議会
「THE BEST OF NEW OFFICE 2021」一般社団法人ニューオフィス推進協議会
「THE BEST OF NEW OFFICE 2019」一般社団法人ニューオフィス推進協議会
ユニバーサルミュージック ホームページ
大和ハウス ホームぺージ
Musicman ホームページ
オフィスの広場 「気になるオフィス!!」
一色先生

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ライタープロフィール

コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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