ライター:一色先生
2022.09.14
トッシーこと、一色です。こんにちは。
オフィスづくりやオフィスの運営維持で、オフィス家具は欠かすことができません。
あなたはオフィス家具を決めるときにどんなことを意識していますか?
オフィス家具を導入するにあたり、知っておきたい基礎知識を紹介します。
オフィス家具について知っておくべきことは大きく次の4つです。
1.家具と人体の関係を知る
人体と最も密接な関係にあるものは衣服。衣服の次にくるのが、ベッドやチェアといった人を支える家具です。
体に合わない家具を使っていると姿勢が悪くなったり、疲労が蓄積されたりしがちです。
下図は人と家具の関係図です。
ベッドやチェアなど、人を支える家具は「人体系家具」、
デスクやカウンターなど、ものを支える家具は「準人体系家具」、
収納や仕切りをする、キャビネットや保管庫は「建築系家具」と分類されます。
人体系家具になるほど、人との係わりは強くなるので、使い心地や、座り心地などをより意識する必要があります。
2.人体寸法を知る
あなたは身長、体重以外に自分の体の寸法をどこまで把握していますか?オフィスを考えるうえで、人の姿勢における寸法を把握することは、とても大事です。
図は日本人の成人男女の標準的な身体寸法です。身長は男性が約169cm、女性157cm、目線の高さは男性155cm、女性144cm。
身長や腕の長さから収納家具の高さや、パネルの高さを配慮することになります。身体の幅は両手を自然に下げた状態で、男性約50cm、女性は46cmになります。通路やチェアの間隔を設定するときに必要な寸法となります。
オフィスを考える上で大事な数値の一つが座面高さです。
踵が床面についた状態で座面高さは男性は約42cm、女性は約39cm。
(座面の高さの目安は身長×1/4)
肘を90度に曲げた状態の高さはデスクの高さとの関係に影響します。座った時に体重が最もかかる骨盤の下方に突き出た部分を座位基準点といいます。
机上面と座位基準点の高さの差を差尺といいます。チェアの高さと机の高さの関係をとらえる上での重要な数値となるので、覚えておいてください。
(デスク高さの目安は、座面高+差尺(身長×1/6)
ちなみに腕の重さは体重の何%になると思いますか?
片腕の 手=1%、前腕=3%、上腕=4%。合計で8%ですね。
例えば、体重50㎏の人の片腕の重さは4㎏、結構重いですよね。肘付チェアがあると腕のストレスは軽減されますよ。
ちなみに頭の重さも体重の8%なので、片腕と頭の重さは同じなんです。
あと人体寸法で覚えておきたいのは、人差し指と親指でV字をつくった時の幅の寸法は約15cm。物差しがない時にでも大体の寸法を測ることができて便利です。(この15cmは昔日本で使われていた寸法の5寸。5寸釘は15cmです)
また肘から手首までの寸法は自分の足のサイズと近い寸法になります。面白いですね。
3.エルゴノミクスとユニバーサルデザインを知る
1)エルゴノミクス
エルゴノミクスは(ギリシア語の「作業」(ergon=work)と「法則」(nomos=law)との合成した言葉で、一般的には人間工学と訳されています。エルゴノミクスは道具や環境の使い勝手をよくするために、人と作業環境との関係を人間の特性から究明する学問のことです。
オフィス家具においても、エルゴノミクスはあらゆるところで配慮されなくてはならないとされています。人の姿勢と寸法、使い方とものの寸法、人とものの距離などが特に重要な要素となります。なかでもデスクとチェアはエルゴノミクスの視点が強く取り入れられています。
▼写真:気になるワダイ!チェアコンシェルジュが常駐するワークチェア専門店「WORKAHOLIC」より
2)ユニバーサルデザイン
エルゴノミクスと同様にユニバーサルデザインも知っておきたいキーワードです。
「ユニバーサル」とは「すべてに共通」、「普遍的な」という意味です。バリアを取り除くだけでなく、年齢や障害の有無、体格、性別、国籍などにかかわらず、できるだけ多くの人に、わかりやすく、利用可であるような「すべての人のためのデザイン」でなくてはなりません。
また、サインや提案書のような印刷物に使われる「カラーユニバーサルデザイン」という考え方もあります。誰もが認識しやすく、読み取りやすくするためのデザインが施されます。
▼京都市情報館より
人によっては、一部の色の組み合わせが区別しにくい場合があるので、注意が必要です。色の違いといった視点だけでなく、白黒コピーしても読み取れるように、明暗のはっきりした表示を心がけるだけでも、誰にでもわかりやすく伝わりやすくなります。
4. 公的機関の家具の選び方を知る
一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)では、オフィス家具に関する情報をホームページで紹介しています。
その中に「家具の選び方」として、イスやデスクの選び方について、下記のように提示されています。
①「安心・安全なイスの選び方」
・用途に合わせたイスを選ぶ
――執務用、会議用、休憩用など、座る高さや姿勢に合わせたイスを選ぶ
・床にあったキャスターを選ぶ
――カーペットなどの柔らかい床用(ナイロン・ハードウレタンキャスター)、フローリングなどの硬い床用(ソフト
ウレタン・ゴムキャスター)のキャスターを使用する
・イスを正しく使う
――用途以外の使い方はしない
・イスを調整する
「イスの安全チェック項目」
・座や背のクッションのへたり
・肘のガタつき、グラつき
・座やロッキングのガタつき、異音
・昇降部からのオイル漏れ、動作不良、グラつき
②「安全・快適なデスクの選び方」
時代によって変遷してきた最適なデスクの高さ寸法が紹介されています。
デスクの高さ寸法は 戦後は高さ740mm、その後700mm(1971年JIS)、現在は720mm(1999年JISの寸法規定は参考扱いに)となっています。
※720mmになった理由は次の3点
・日本人の身長も高くなった
・袖引き出しにA4サイズが2段収納できる
・肘の高さ670mmの車イスが天板下に入る
JOIFAのホームページでは家具の耐久試験や使い方のアドバイス、家具の保証期間、オフィスの地震対策なども紹介されています。
以上 今回は「オフィス家具・知っておきたい基礎知識」を紹介しました。
より働きやすい環境で、組織の成果を高めるためにも、オフィス家具の役割は大きいものがあります。
時には、オフィスを考える上でオフィス家具の基本的なポイントを意識してもらえればと思います。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました。
Information | 今回紹介した内容は 「オフィスづくりの基礎知識-人・組織:オフィスをとりまく環境を整える」一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)発行、JOIFAホームページ、「カラーユニバーサルデザイン」NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)著 ハート出版、京都情報館(京都市オフィシャル・ウェブサイト)を参考にしています。 |
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ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
ライタープロフィール
コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。 水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。
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