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気になるオフィス!
他社のオフィスってなんか気になる!いろんなオフィスをご紹介します!

ライター:セッキ―

2025.02.28

第一生命日比谷ファースト:古きを活かし、新しきを創る。三度目の大きな挑戦がいまここに

有楽町駅から皇居に向かって徒歩数分。そこに第一生命日比谷ファーストはあります。

その堅牢な造りが評価され、かつてはGHQ本部として使用されていた歴史を持つ旧第一生命館。日本で最初の相互会社として1902年に創業し、2010年には国内大手生命保険会社では初めて株式会社化・上場する等、今日に至るまで、「変革と挑戦」を何度も繰り返す第一生命グループの本社として、戦後日本の復興を見守ってきました。

そんな建物が昨年、大胆なリノベーションが実施され 「つながるWell-Beingオフィス」 という新たな形へと生まれ変わりました。社員同士のつながり、社外や地域社会とのつながり、そして未来へのつながり――。

歴史を受け継ぎながら、次の100年へ。
世紀を超えて「変革と挑戦」を続けてきた第一生命グループの、オフィスに込められた想いに迫ります。

「一生涯のパートナー」としてお客さま第一主義を掲げ、人々の安心で豊かな暮らしと地域社会の発展に貢献する、との経営理念のもと、1902年創業から120年を超える歴史がある同社。

経営戦略として2030年までに目指す姿をこのように提示しています。

*新たなチャレンジの推進
*「つながり」の創出
*サステナブル、Well-Beingの実現


経営課題として導き出されたこの3つを掲げた大きな挑戦として、今回のオフィスのリノベーションを実施することになったのです。

「変革と挑戦」の伝承、3つの大きな挑戦

第一生命グループはこれまでにも大きな挑戦をしてきました。それがこの図にわかりやすく整理されています。

一つ目の挑戦 ― 第一生命館の誕生

まず一つ目の挑戦、1902年日本初の相互会社として創業、その際に今のオフィスビルの礎となる第一生命館を建設。その土地はもともと警視庁の本庁舎が建てられていた場所であり、関東大震災による焼失の末、民間に払い下げになった土地。その4区画のうちの3つを第一生命が入手しました。

その地盤の脆弱性から、堅牢な建物を建てることはかなり難しいとされていました。しかし、「いかなる天災からもお客さまの保険証書を守りたい」という創業者の想いのもと、当時アジア初ともいわれる潜函工法によって、地下4階地上7階建ての日本一堅牢で安全な本社、第一生命館が誕生しました。

▼旧第一生命館(画像引用元:清水建設歴史資料館サイト

二つ目の挑戦 ― 増築しDNタワー21へ

1993年。その旧第一生命館が「100年耐えうるスケルトンインフィル」を目指し増改築を実施。皇居側から見て後方半分ほどの区画が地上21階まで増築され、DNタワー21としてリニューアルしました。隣接する「農林中央金庫有楽町ビル」と一体化させるため、二つの建物の一部を取り壊し、再構築しながら、最先端の高層オフィスビルへと生まれ変わらせるという大きなプロジェクトでした。

現在外観が二段構えに見えているのはその増築の結果なのですね。このタイミングで、21階まで高くなった建物の高層フロアに第一生命の多くの部署が入居しました。

▼旧DNタワー21(画像引用元:千代田区観光協会ホームページより

三つ目の挑戦 ― 第一生命日比谷ファーストへ

そして三つ目の挑戦が今回のリノベーションです!この旧DNタワー21が、「つながるWell-Beingオフィス」をコンセプトに「第一生命日比谷ファースト」として生まれ変わり、昨年第37回日経ニューオフィス賞や、第19回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)において優秀FM賞を受賞しました。

ではここから、どのようなオフィスなのか、たっぷり見学していきます!!

   *      *      *      *      *

ビルに入ると、いかにも頑丈な稲田石の壁や天井が目に飛び込んできます。1階はVOCA展や「サラ川」の略称で知られる「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」などの展示スペースが広がり、地域社会とのつながりを体現できる場に。第一生命グループの受付ロビーは2階です。まっすぐに受付へと向かうエスカレーターはまるで参道のよう!

ここはM2階。災害時の帰宅困難者受け入れ施設にもなっているほど、広く余裕のあるスペースです。

ん~参道感ありますね!ダイナミックかつ厳かな雰囲気です。
あっ!

こちら、2階の受付に到着!総務部ファシリティサービス課ラインマネジャーの鎌田さん、本日はよろしくお願いいたします!

受付の奥に会議室がずらり。天井がとても高いんです~~
会議室のガラスの光沢感、わかりますか?93年の増改築の当時から使われているというオパールガラス。上品な輝きでとても美しいです。

今ではもう生産できない貴重なものだそうで、第一生命の歴史をつなぐモニュメントとして額に入れて飾っている会議室もありました。風化しないともいわれる稲田石や歴史を映すオパールガラスなど、決して華美にならず、質実剛健な佇まいは安心を提供する生命保険事業を体現する装飾です。

さて、受付の会議室ゾーンを離れ、1階まで降りてぐるりと別の入口へ回ります。こちらは従業員用のエントランス。バイオフィリックデザインのうえにアロマが焚かれていてとても癒される雰囲気です。

第一生命専用で入居するフロアは4.5.10.11階。まずは4階へ。稲田石の廊下が続くのですね。ずんずん奥へ進みます~ これもし一人で来たらちょっと迷子になりそうです(汗

おジャマしまーす!

さていきなりですが…

★セッキーの気になるポイント★

ロッカーの横に配置された集中ブース。ここ、すごいんです!
まず、ロールスクリーンを閉めてより集中度をアップして使えること。そして驚いたのが上部に設置されたぶら下がり棒!!これ初めて見ました!さらにはデスク部分を折りたたみ、スクリーンを閉めれば礼拝室にもなる仕様!これは素晴らしいアイディアです♪

やぐらスタイルのミーティングコーナー。ビビッドな赤のパネルはフェルトの吸音材です。

無機質なキャビネットにはグリーンのシートが程よい間隔で貼られていて、ちょっと目の癒しになります。これ、実は日比谷公園で実際に写真撮影し、シート状にデザインしたというもの。手が込んでますね!

続いて5階の執務エリアです。

今回のオフィスを設計する際、二つの実現すべきポイントがありました。
1.経営が求める「アイディアは交差点から生まれる」しかけ
2.社員が求める「オープンでフラット、自律的な仕事」ができる環境


そこで、執務空間「アクティブ」の中心に「ストリート」を置き、偶発的な出会いを創出するレイアウトになりました。座席数も少なめ(フロアは出社率6割想定で構築され、その一部のみ部署専用エリア)にすることで半強制的にストリートに出てくるしかけとし、ストリートの利用促進につなげています。

ストリート上には丸みのある、温かみを感じさせる什器が多いですね。

全国に拠点を持つ同社、常につながりを意識できるよう、各地域の木材を使って造作家具を展開しています。

執務スペース「アクティブ」には組み換え自由な什器を用い、ゆるやかなエリアアドレスとしています。日比谷と豊洲の二大拠点の間でも部署移動を行ったことも、今回の大きな変革でした。詳しくは、後ほど!

こちらはラウンジです。広々として気分転換になりそうですね。

なんと天井が吹き抜けに!外光を感じ、かなりリフレッシュできそう!

次はその上のLOFFT(ロフト)階です!

ここはもともと共同入居をしていた農林中央金庫とフロアを二分していた食堂でした。今回退去されたことで一棟まるまる第一生命所有となり、外部からテナントを多く受け入れたことで、この食堂フロアをフルオープンに。全テナントが利用可能な共用フロアになりました!

キッチン側は清潔感のある若草色のタイルが一面に。
 (左)入り口すぐのところで手を洗えるのは親切で効率的。
 (右)トレーを置くだけで完了のスマート会計!

健康を意識したメニューが掲示されています。

お昼ご飯を調達したらLOFFT(ロフト)へGO!まるで植物園に来たような、グリーンが満載です!

二段構えのビルの低いほう(本館)部分の最上階にあたるこちらは、天井から差し込む外光が心地よく、グリーンも映えます。

石畳の感じがとてもステキです。

どこで食べようか迷っちゃいますね。

なんといっても、皇居を見渡すこの絶景。筆者なら一日中ここで過ごしてしまうかもしれません。

奥のほうにはファミレス席もありました!ポータブル電源も完備していて、ゆったり仕事できます。

あ、先ほど見上げた吹き抜けのラウンジが見えます!

反対側の奥にはガラスの個室も。会食などにも利用できますね。

バーカウンターを備えた広いスペースは、イベントや勉強会、セミナーなどに活用できます。

わぁ、リラクゼーションルームも♪

そしてこの建物には特別なお部屋が…
GHQに接収されていた当時、マッカーサー元帥が使用したという部屋がそのまま残されています。椅子もデスクも当時のまま。「トップに立つ者たるや、即断即決すべき」との精神で、引き出しのないデスクを使っていたそう。

それにしても床も天井もため息が出るほど手の込んだ丁寧な造りです。隣の部屋は資料館になっていました。

廊下には当時の貴重な画像が掲示されていました。

大部分が当時の面影を残した大会議室。なんとスクリーンをあげると創業者である二代目社長のお顔が!!ここは、日本国憲法の原型となるGHQ草案が作成された場所で、日本の変革の中心だった場所ともいえる歴史的価値を持ちます。

傷んで補修されたところもあれば、そのままを活かしているところもあって、大切に使われていることがわかります。ここにいるだけで長く歩んできた会社の歴史を感じることができるお部屋です。

こちらのお部屋は、かつての「貴賓室」とのこと。建物の堅牢さを象徴する二重扉の入口や、英国チューダー王朝風の内装が特徴的です。 また、当時から使われている絨毯や窓、天井、壁、床、暖炉などが、長い歴史を物語っています。

続いて10階です。ここにもセッキーの気になるポイントが!!

★セッキーの気になるポイント★

フロアの入口に手洗い場がありました!!!なんとここは、パンデミックに事前に備えることを目的とした建築の評価基準である「パンデミックレディ」を世界で初めて適用された建物でもあるとのこと!これは感染症に対する意識が格段に上がりますね。

ほかにも、一人当たりの面積を広く取るなどの配慮がなされています。

役員フロアも少し見せていただきました。大きなガラスの部屋はグループの取締役が利用する場所で、壁に沿って一人ひとり区切られたスペースがありました。コンセプトのオープンネスの考え方から、個室は設置されていません。

プロジェクト責任者インタビュー

今回の大改築では、日比谷と豊洲の2つの本社にそれぞれ「リノベーション担当」を置いてプロジェクトが進行しました。各部署から任命された、総勢100名からなる会議体です。移転回数は20回を超え、多いケースでは3回の引っ越しを経験した社員もいたそう。どのように進めていったのか、ファシリティサービス課の鎌田氏にお話をうかがいました。

第一生命ホールディングス株式会社
第一生命保険株式会社/総務部ファシリティサービス課 ラインマネジャー
鎌田 仁様

鎌田さん
:2019年からプロジェクトがスタートしていまして、初めに従業員に働き方に関するアンケートを実施しました。さらに入社10年前後の若手中堅社員から選抜し延べ約120名体制でワークショップを実施。約4か月で多くの意見を収集しました。

ですがその後、コロナ禍を受けて働き方が大きく変わったため再度ワークショップを実施したのが2021年。ここで出た意見は直接経営に説明しています。 また若手だけでなく役員や全部署の部長と個別対話を行い、懸念点を吸い上げ、取りまとめていきました。

――今回のコンセプト、「つながるWell-Beingオフィス」ですが、LOFFTはそれを象徴していて、大きな挑戦のひとつと感じました!

鎌田さん:はい、LOFFTは、屋根裏部屋の”LOFT”と休憩やリフレッシュを表す”OFF”をかけた造語です。以前は交流など意識したことのない単なる食堂でした。今回のタイミングで入居するテナントさんすべてが利用できる共有のフロアとし、”社外とのつながり”の強化を目指しました。

このような協創スペースをビル内に展開していることは大きな価値だと思っています。自然に交流が生まれるのを待つのではなく、テナント企業合同で意見交換会を実施しました。いまちょうど、全館でLOFFT利用に関するアンケートも実施中なのですよ。

――それは楽しみですね!テナントさんも協力的で素晴らしいです。

鎌田さん
:実は、日経ニューオフィス賞の現地審査の際にアドバイスをもらったんです。「ぜひもっとここを使いこなすべき」と。当社グループの従業員があまり仕事でここを利用できていないという実態も確認できていますので、そこは課題と感じています。

――一棟まるまる第一生命が入居しなかったのですね。部門配置の工夫がなされていますか?

鎌田さん
:テナント貸しによる収益という狙いと、また、もう一つの本社である豊洲と部署を大きく入れ替えて、関連部門をそれぞれにまとめることができました。交通利便性の良さと文化遺産的なブランド力を持つ日比谷には、お客さま対応部門と運用部門。そして柱が少なく見渡しの良いメガプレートが特徴な豊洲には、イノベーション等の営業を促進する部門や人事部門を集結させ、それぞれの建物の持つ強みを活かして事業を加速する狙いです。

また、複数フロアに分散していた運用部門が、今回一つのフロアにすべてまとまったことなど、関連する部門を同じフロアに集約することも大きな業務効率につながっています。

――なるほど。皆さんの反応はいかがですか?

鎌田さん
:今回のリノベーションで移転工事を全部で22回していますが、その都度それぞれ、移転1か月後にヒアリング調査をしてきました。 環境が整っているか、さらに実際にその行動をしているか、の視点でヒアリングしています。

たとえば

●部内外の人と雑談する環境はあるか/実際に雑談をしているか
●リフレッシュしやすい環境はあるか/実際にリフレッシュできているか


リフレッシュというテーマに関しては、エリアは設けられているが、雰囲気的にさぼっていると思われそうでできない、そういったカルチャーがない、といった意見があることがわかり、部門長を含め意識の改善に取り組んでいます。

ほかにも自販機のキャッシュレス化、ペットボトル専用のごみ箱の設置などもありました。意見に対して出来ることは対応し、コンセプトに沿わない要望についてはしっかり伝えてご理解をいただくよう取り組んでいます。

すべての移転工事が完結した2023年の12月には大掛かりなファシリティ調査を行い、従前のオフィスで課題としていた視点で、おおむね数値が上昇したことが確認できています。

また全体を通して、「リノベーション後のオフィスは働き方改革を後押ししているか」との問いに対して、87.5%が肯定的な回答をしています。 入居者に渡す運営マニュアルのタイトルを「Journey」とし、今後も継続的にPDCAを回していく旅路に向かう事務局の覚悟を形にすることで、よりよい執務環境を作っていく姿勢です。

――作って終わりではなく、継続されるのが素晴らしいです!ありがとうございました。

◆編集後記◆

今回、第一生命グループのオフィスリニューアルについて取材をさせていただきました。最新のオフィスビルに移るのではなく、歴史ある建物を活かしながらアップデートする。その選択の背景には、「長く受け継がれてきた価値を大切にしながら、未来へとつなげていく」という確固たる意志がありました。

リニューアルされた空間が華美にならず、質実剛健を象徴するようなデザインで統一されていたことも、第一生命グループの企業姿勢そのものが表れていると感じました。

特に気になったのは、LOFFTです。柔軟な発想で空間を開放し、新たな価値を生み出す試みが進められています。オフィスが単なる「働く場所」ではなく、企業文化やコミュニティの発展を支える場として進化していく様子を目の当たりにしました。

このオフィスが、どのように使われ、どのように変化していくのか――今後の展開がとても楽しみです!

Information第一生命保険株式会社 https://www.dai-ichi-life.co.jp/

*所在地:東京都千代田区有楽町1-13-1 第一生命日比谷ファースト
*オフィスの延床面積:約40,000㎡
*従業員数(当該オフィス利用):約2,000名
*オフィスの企画:清水建設株式会社、株式会社イトーキ
セッキ―

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ライタープロフィール

整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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