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気になるこの人!
オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

ライター:セッキ―

2021.04.30

「“防災人間ドック”の受診はお済みですか?現代の若者にこそ伝えたい、面白い防災!」
松田 哲:フラップゼロアルファ/代表取締役

大切な人の電話番号、いくつ記憶していますか?

実家の電話番号は記憶しているけど、母の携帯番号は・・・
災害伝言ダイヤルは知ってるけど、連絡したい相手の番号はいくつ覚えてる?
消火器の使い方習ったのいつだったっけなあ
そういえばビルの階段ってどこにあるんだろ?

皆さん、思い当たることありませんか?

会社の避難訓練といえば。
想定したタイミングで開始の放送が流れ、
「低層階でよかったよねえ」と同僚とおしゃべりしながら階段を下り、
エントランスの広い場所で、避難MAPや備蓄品の非常用缶入りパンを受け取って終了。

慣れ親しんだ避難訓練。本当に被災時助かるのでしょうか?

メスを入れたのは、松田哲さん・株式会社フラップゼロα/代表取締役社長
体験型の防災アトラクションを開発し、日本各地で自治体や企業向けに展開しているんです。

もともと脱出や謎解きをテーマにエンターテインメントとして体験(参加)型ゲームを展開していたものが、自身の阪神・淡路大震災での被災経験と合致した。そのノウハウを活かし、融合させることで生まれた「体感型防災アトラクション®」。これまでなかった“おもしろ防災コンテンツ”は、スタートこそ伸び悩んだものの、第3回国連防災世界会議(2015年3月)で発表したことを皮切りに、以後着実に広まっていきます。現在は24都道府県で採用され、約6.5万人の参加者を数えるまでに。

松田さんはなぜそこまで防災の変革にこだわるのか?
コロナ下で始まった新しいコンテンツ、「リモート型防災アトラクション®」とは?

自らの被災体験をもとに改革を進める松田氏の話は非常に説得力があり、熱意が感じられます。この記事を読んでいただいた皆さんの、一人ひとりの行動が変わりますように。

リアルを追求した全く新しい防災訓練

―「体感型防災アトラクション®」が人気とのことですね。

松田)若者に流行の謎解きや脱出ゲームなどの要素を取り入れた体感型の防災アトラクションは、弊社のメインコンテンツのひとつです。

弊社は、防災教育推進事業と地域活性化事業の2つの柱で構成していまして、防災アトラクションのほか体験参加型の謎解きゲームなどを各自治体などで地域活性に取り入れていただくケースが多くなっています。現在24都道府県、参加者延べ6万人に到達しました。

―どんな内容なのでしょうか?

松田)一言でいえば、テーマパークのような仕立てです。ホールや体育館のような広い場所を使い、音響、映像、照明をフルに使って災害現場に変身させます。参加者に、災害時におこる「不便」「不自由」「焦り」「混乱」「不安」という「リアルな体感」をしてもらうことで、意識改革を促すことが狙いです。

大型スクリーンで、災害発生のニュース報道が流れるところから始まり、「焦る」気持ちを煽り、被災時に自分がどうなるかを疑似体験してもらう、そして逃げる道程で謎解き形式の防災ミッションをいくつもクリアしていってもらい、脱出。

最後に、防災のレクチャーを用意しています。実はここが一番重要。これはテンプレートでなく、参加する自治体や企業の状況に合わせてしっかり事前にヒアリングし、毎回カスタマイズしているレクチャーです。自分の実際に住んでいる土地、就業している場所などでシミュレーションすることにより、「自分ごと」としてとらえてもらうことが狙いです。

参加後のアンケートはほとんど好評価で、地震の次は風水害、その次は熱中症、などと要望を次々にいただくことがあります。タイトルは多種多様なものを用意していますよ。

―すごい、面白そうですね!体験型のアトラクションにしたのはどのようなお考えからですか?

松田)まさにその“面白そう“というのがとても重要なんです。昔は“義務感”で人が動いた時代でしたので、避難訓練に関しても特に疑問をもつことなく皆さん参加していましたよね。ですが今の時代はそれでは人は動かない。カフェでも観光地でも「行かなければわからなかった」ことが、ネットやSNS情報のおかげで、「行く前から」内容がおおむねわかってしまいます。つまり「美味しそう、楽しそう、面白そう」と感じない限り行動変容は起こらない時代になりました。

例えば会社のビルで実施される避難訓練。毎年同じ内容ではありませんか?あれなら行かなくても大丈夫、と多くの方が思っているでしょう。「参加しない理由」についてアンケートをとってみると、「毎回同じ内容だから」「毎回同じ参加者だから」、そして目立ったのが「面白くないから」なんです。

―防災に面白さを求める時代なんですか(笑)!確かに、内勤だと必ず参加してましたが営業の人はいつもいない、というイメージですね。

松田)当社の防災教育推進事業部「防災Revo」で掲げるスローガンは、「面白き こともなき防災を 面白く」。ご存じ、長州藩の高杉晋作が詠んだ辞世の句に倣ったものです。

世の中の価値観が変わったのであれば、それに則したものに変えていかないといけない。被災時に最も活躍してほしい若い層に参加してもらうためには、「面白そう」と思ってもらえなくてはならないということです。どうしたら興味を持ってもらえるか、というのはどの分野でも考えることなのに、日本では少しでもゲーム性を取り入れると「ふざけてるのでは?」と言われてしまう風潮があります。でも、時代も気候も激変したにもかかわらず、「防災訓練とはこうあるべき!」と昔と変わらずに何十年も同じことをやってきた結果が、“人が集まらない、本当の被災時には役に立たない”防災訓練を生んでしまっているように感じています。

でもいくら有効な情報でも、参加してもらえなかったら届けることはできません。参加のハードルを下げ、防災に関する“興味関心を引き出すまったく新しいきっかけづくり”を、との方針で作ったのが「次世代型防災コンテンツ~体感型 防災アトラクション®」なんです。

―参加してもらわなければ何も始まらないですもんね。確かにビルの避難訓練は毎回ワンパターンでした。

松田)そうですよね。「喋らずゆっくり落ち着いて、怪我をしないように避難してください」と言われますが、これは避難訓練を安全に終わらせるための教訓であって、実際の発災時は、多くの人が「我先に!」と焦って走って将棋倒しになることだってあり得ます。津波や火災が発生したならば、大声で知らせる必要もあります。だからこそ、リアルな”焦り”や混乱があった時に自分がどうなるのかを多くの方に体験して欲しくてアトラクションを生み出したんです。

コロナ下の課題をクリアする新たなコンテンツ
「リモート型防災アトラクション®」


―時代に即す、といえばコロナ禍によって課題にも変化があったと思いますが、新たな取り組みを教えてください。

松田)はい、コロナ禍によって「3密回避」が大きな課題として浮上しました。防災訓練と言えば必ず人が密集しますので、この課題をクリアできるコンテンツを、との要望が多く寄せられました。そこで昨年、「リモート型防災アトラクション®」を開発・リリースしたのです。
https://flapzeroalpha.jp/bousai-rt/

よく、YouTube動画の制作を提案されることがあるのですが、間違いなく飽きると思いませんか?5分で離脱されますよ(笑)。我々が目指したものは、LIVEだからこその「焦り」や「混乱」を体感でき、楽しみながらも没頭して学べるコンテンツであることを意識しています。

コロナ下でも災害は待ってくれません。リモートによって感染症の不安を持つことなく、また場所を選ばずに実施できますので、今まで避難訓練に参加しづらかった層も参加できます。例えば、
◎在宅で家族(小さな子供連れの家族や高齢者、また外出が困難な方々など)と一緒に
◎全国に支社を展開する企業様が全社一斉に訓練を実施する
など、さまざまに活用いただけます。

―なるほど。在宅勤務者が増えていますので、リモートは助かりますね。在宅での危機管理意識も芽生えそうですね。

松田)基本的にZOOMを使い、当社でファシリテートします。発災時の映像を時系列に沿って追体験させながら、要所要所で突然、行動の選択を迫られる質問が登場!それに伴いレクチャー(座学)を展開します。8割ほど誤回答する場面もあり、勘違い、思い込みがいかに多いかがわかっていただけると思います。「あ~ここでみなさん全滅です~!」とかっていじったりもしますよ(笑)。

―楽しく学べそうですね!企業で実施するとチームビルディングに使えそうだなと思いました。笑いを交えてやることで、知識として記憶にも残りますよね。

松田)リモートの反響もあり企業様からの依頼も増えてきています。某大手不動産系企業では新人研修でも使っていただきました。

2015年に発表した当時はまったく実績がなく、世の中で見たことも聞いたこともないサービスですので、興味があっても予算がつかない期間が2年半ほど続き、自腹を切ってなんとかやってきました。やがて、凸版印刷さんのように「防災意識の改革」という課題に共感してくださった企業と組ませていただき、ようやく全国各地の企業や自治体に展開していくことができました。

「このままじゃダメだ」
松田さんを突き動かすもの


―これまで歩んでこられた道のりを教えていただきたいです。

松田)これまでの半生を振り返ってみたら、本質的にボランティアや社会貢献というテーマにはスイッチが入るタイプなようです。20代の間は事業をやりながら、国連に関わる活動に参加していました。アフリカの後進国において、教育と治療ができる移動型の診療バスを作るため、救急車を有志で購入し改造を依頼。ケニア、エチオピアなどの5か国に送り届ける支援をしておりました。そして代表の一人として現地に赴くことで、貧困国とのご縁ができ現地の子供たちを、彼らにとっては夢の国である日本に招待する、といったこともやりました。

もともと維新派といいますか、息子の名前にも使うくらい坂本龍馬が好きで、「改革・変革」が大好物(笑)。従来のやりかたがうまくいってなければ運動会でも文化祭でも手を出して変革を進めてきました。なので右向け、と言われても一度は左を向く、それで失敗や遠回りすることも多く、終わってから「あ・・・やっぱり右だったな、」と(笑)。

リモート型防災アトラクション®をファシリテートする松田氏

―なぜ防災というテーマに注目するのですか?

松田)私自身、1995年の阪神・淡路大震災を経験した被災者の一人です。神戸市三宮区で当時22歳、7階建てのビルの6階におりテーブルの下に潜るなんてことは全くできず、テーブルや冷蔵庫ごと吹っ飛んでいました。

街全体も燃え、ビルというビルが倒壊していました。まさに「映画の世界」です。近所の高校の体育館で2週間ほど避難生活を送りましたが、当時はまったく統制もされてないものですから、毛布の取り合いとか普通に起きていました。自分の身は自分で守らなければ生き残れない。誰もが我先に…でした。

この時の体験が今の防災アトラクションの根底にあり、発災時の感覚、いわゆる「いざという時」に自分達がどのようになるのかを疑似体験できる機会が必要であると強く感じました。地震だけでなく、気候の変動により風水害など災害は年々増加しており、現状の避難訓練と共に、更に時代に即した「自分事に」なる機会の創出を急がなければと思い立ちました。

―最近は地震も多発していますし、常日頃から意識を高めていかないといけませんね。

松田)ひとつ質問しますね。大切な人の連絡先をいくつ覚えていますか?

災害用伝言ダイヤルは171、これは知ってる人も多い。でも連絡取りたい人の電話番号はスマホにしか入ってない。発災時に、スマホが落下して画面が割れて見えない、水没して電源が入らない、更に今時では、電話番号はなく「LINE電話」が若い人たちの主流です。もし発災時に電波が不通になると誰の連絡先も分からない・・・という人が多くなるでしょう。その時、どうやって家族や仲間と連絡を取ることができるのでしょうか?

―ほんとですね…スマホは必ず無事、とは限りませんよね。LINEも繋がらないかもしれませんし。

松田)BCPも重要ですが、どんなに仕組みを用意しても結局使うのは人。家族の安否確認が取れなければ、仕事を放り投げて帰りたくなりますよね。

「便利は退化、不便は進化」と私はよく言っているんです。不便だからこそ人は進化していった。現代では便利なものが増えたために逆に危険だなと感じるシチュエーションは多々あります。ですからアトラクションの中のわずか数十分の中でも混乱、不便、不安、焦りを再現し、いつもならわかってる、できると思うことをやってもらう。いかにわかってないか、できないか、勘違い、ひとまかせにするかがわかるんです。

―どんな人に体験してほしいですか?

松田)まずは、いざというときに要になる30~40代の若い世代です。企業でも、防災担当者はあくまで主催者となり、自社の若手社員をメインに、自社の習熟度がどれぐらいのレベルなのかを確認していただきたい。私は防災アトラクションを「防災の人間ドック」と呼んでいます(笑)。

もうひとつは、子供たち。教育はいかに子供時代から浸透させるかが重要です。当社のアトラクションは結構学校でも実施しているんですよ。特にリモート型防災アトラクション®は、2021年半ばあたりからタブレット対応をしていきますので、期待していただきたいです!

最後に、主催者側の方々です。「こうあるべき」と思って長らく実施してきた方々が「時代は変わった」と認識したのなら、その担当者にこそ知ってもらいたい。訓練の実施そのものが重要なのではなく、中見こそが重要なのだと。ぜひ体験してほしいですね。

―今後の展望についてお聞かせください。

松田)まずは47都道府県の全ての県での実施、そして参加者10万人到達です。更に、これまでハードルが高かった「高齢者施設のスタッフ向け」「学校防災教育」を展開して参ります。また、世界的にも大災害の体験国家である“メイドインジャパン”の教育ソフトとして、自信をもって海外に提供していきたい、と思っています。リモート型もできたのでいよいよ、というところですね。

海外の支社で働いている日本人は多く存在します。避難所が日本ほど整備されていない海外では在宅避難の優先を余儀なくされます。もちろん防災訓練なども同様に、日本ほどの機会はない地域が多いです。だからこそ発災前後〜避難生活を疑似体験して、物心共にどのような準備が必要かを認識してもらう。それを日本から世界に発信できるわけです。今年中にどこかしらで提供できればと思っています。

―海外!夢は広がりますね!まずは日本制覇、応援してます!

取材を終えて

筆者の防災意識は結構高め、と自己認識していますが、松田さんのように実際に被災体験をしている方の話には、当然ながら強い説得力がありました。そして、防災への備えに対しての考え方、意識を根底から改革しようという松田さんの姿勢には熱意と覚悟が感じられました。

東日本大震災で被災した東北地方での活動において、「あれだけの震災を経験したのに、もう防災意識が薄れている」とも感じられたそうです。あの震災から10年、また最近地震発生頻度が高くなっています。どうか誰もが「自分ごと」として防災をとらえることができますように。この記事を読んで、ぜひ若い人たちにも意識を持ってもらいたいと切に願います。

Infomation松田 哲 (まつだ・さとし)
株式会社フラップゼロアルファ/代表取締役
危機管理士 N-1614
https://flapzeroalpha.jp/

体感型防災アトラクション® https://flapzeroalpha.jp/bousai-at/
リモート型防災アトラクション® https://flapzeroalpha.jp/bousai-rt/
防災Revo  https://bosai-revo.com/

◆お問い合わせ
TEL:06-7174-3804 ※10:00~18:00(土日・祝除く)
問合せフォームはこちら
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ライタープロフィール

整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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