ライター:セッキ―
2025.03.25
本社を大阪に構え、就労継続支援B型事業所「ワンダーフレンズ」や放課後デイサービス「エミット」などの福祉事業を展開するReSowホールディングス。「わくわくを社会に。感動から人生は変わる。」をモットーに、障害者雇用が生まれる社会福祉事業と就労事業を融合させた取り組みをおこなっています。
営業20年の経歴を離れ、2023年10月に入社した髙本さんは、総務担当者としてこの短期間で会社の中心的存在として頼られています。当時43歳にして、未経験の業界、未経験の仕事に飛び込んだ彼が、「総務は会社のヒーロー」と言い切るワケは?
そんな彼の業務に向かう姿勢を取材しました。
――ご入社までの経緯について教えてください。
髙本氏(以後敬称略):不動産の営業を20年やっていました。今の社長はその時のお客様でした。新規に設ける拠点の物件探しや、従業員の社宅用物件探しなどをお手伝いさせていただく中で、ずっと「うちで一緒にやらないか」と声を掛けられていたんですね。
私は基本的に骨をうずめるつもりでやるタイプなので、当時の職をやめる気はなく適当にかわしていました。ただ、この会社の社員さんと会話するときはいつも、いい会社なんです、と魅力を話されていて、「もし何かあった時は、ここにお世話になろう」とは思っていました。
それからいろいろあって、在籍していた会社が縮小していくことになり、成長企業だったReSowホールディングスにお世話になることに決めたのです。社長とのおつきあいは10年に達していました。
――10年もの期間にわたる社長からのラブコールが実った形ですね!はじめは不動産担当としてご入社されたとか。
髙本:はい、店舗開発やフランチャイズの際の物件選定などを担当するイメージで入社しました。ただ、会社として不動産免許の取得に時間がかかるため、ひとまず本部の業務をやらせてもらうことになりました。
――本部ということですが、総務業務もやりつつ統括的な立場。不動産ではなくそちらを担当することになった時の心境はいかがでしたか?
髙本:私は営業ひとすじで生きてきたため、経理や人事にはある程度イメージがあったのですが、総務というと不明瞭で。勝手に、「会社の重要なことを担う部署」、「会社の未来を考える部署」というイメージがありました。ですので、プレッシャーを感じる反面、この歳で未経験のことに挑戦できるというワクワク感で胸がいっぱいでした。
――好奇心を刺激されたのですね。まずどんなことから動きましたか?
髙本:まず、社員の声を直接聞きにいく、ということを徹底的にやりました。
始めの印象として、迷っている人がたくさんいる、疑問にぶつかったときに誰に聞いたらいいのかわからない、たらい回しにされるというのが聞こえてきたんです。これをまず何とかしたいと思って動きました。
当社は、オフィスには本部のメンバー20名程度ですが、そのほか各地に30を超える事業所があり、そこに配置されている社員たちのほうでも同じようなことがたびたび起こっていました。業務が進まない、終わらないと帰れない、など愚痴も聞こえてくる。ただ知識もないので、自分ができることをやろう、と思いとにかく声をかけて「言いやすい環境」を作っていった感じです。
――全体を見る立場に髙本さんが配置されて道ができたのですね。
髙本:そうかもしれません。ずっと中にいる人には気づけないことがありますよね、外から入ったからこそ見える景色を大事にしようと思いました。担当が決まったりルールが決まったりしたら社内のチャットツールに貼って共有していく、というのを地道に進めていきました。
始めのころは自分のことだけで精一杯という雰囲気から、だいぶスムーズに進められるようになり、和気あいあいとしたオフィスに変わったと思います。
――印象的なエピソードがありましたら教えてください。
髙本:昨年10月、初めて利用者様を中心とした運動会を開催しました。社長からかねてよりずっとやりたいといわれていたことだったので実現できてよかったです。現場の指揮や運営を、総務・広報を中心にその他本部メンバーで協力して担当しました。
利用者様は障がいをお持ちの方がほとんどなので、ケガをしないように細心の注意を払いながらゼロから企画を組み立て、何度も体育館に足を運んでコンサルタントの方々とも話しあいながら進めていきました。各事業所の利用者さま同士が触れ合う機会は通常ほとんどありませんので、そういった機会を作れたのは価値があったと思います。
――仕事の姿勢で気を付けていることはどのようなことですか。
髙本:福祉業界出身ではないため、まだまだ知識不足なところは否めないのですが、寄り添う気持ちを忘れないように常に気を付けています。こちらが一生懸命考えて「これだ」と思っても、実際の現場の皆さんが心地よく利用できるのかどうか、は見落としてはならないポイントです。また、センシティブな面もあるので言葉遣いにも気を遣います。
また細かいことですが、声をかけられたときは必ず手を止めてその人のほうを向いて話を聞くようにしています。年齢や経験の上下関係なく聞く姿勢を心がけています。
――小さいことのようですが重要な姿勢ですよね。広報の方が“駆け込み寺のよう”とおっしゃっていましたが、髙本さんはなんでも受け止めてくれそうな雰囲気がありますね!
髙本:ありがとうございます(笑)。何度同じことを聞かれても全然イラっとしない、というのは営業マン20年で培われたのかもしれないですね。みなさんと感覚が違うようなのですが、お客さんと8時間も9時間も話すなんていう場面もまったく気にせずできるんです。
――!ふつう「早く帰ってほしいな…」とか思っちゃいますよね。髙本さんの根っこが「寄り添う」という塊でできているみたいですね、子供のころからそうだったのですか?
髙本:どうでしょうか…絵にかいたようですけど、高校生くらいのときにはもう、目の前でおばあちゃんの荷物を持ってあげるとか、雨が降ってきて傘がない人がいたら自分の傘を渡して濡れて帰りますし、駅前の自転車をバタバターって倒してしまった人がいたら助けてあげるとかそんなことを普通にやっていましたね。
――(!)困ってる人を助けにいく、スーパーマンのようですね!
髙本:まさに、私は総務はヒーローだと思っています。それも、影のヒーローが理想です。その人がヒーローになれるように下支えしているような存在。私に助けてもらった、とかそういうことは表に出さなくて全然いいので、私がいることで2ランクくらいアップしたみたいな状態を目指してます。
見返りはまったく求めてなくて、その人の笑顔が見たいというのが根底にあって、人が幸せそうだったら自分も幸せっていう順番なんですよね。よく「しんどくないですか」って聞かれますが、全然そんなことなくて。自分のために生きなさいって言われるほうがしんどいかもしれないです。
不動産事業で独立する選択肢もあったのですが仲間が好き、人が好きなのでその道には行かなかった。もちろん社員を雇えば一人ではないですが、私はやはり仲間とは同じ目線でやりたいんですよね。
――一緒に働く仲間がいて、その人たちが困っていたら話を聞いて助ける、道を作る、というのが自然とできる、今の職種は適任だったんですね。今は営業に戻りたい気持ちはないですか?
髙本:ゼロですね。はっきり言えます。石の上にも三年ですから、今の仕事が自分に合っているかどうかはまだどちらとも言えませんが、興味やワクワクのほうが強くて、いろいろ挑戦してみたい気持ちです。
――一番最近ありがとうと言われたシーンは?
髙本:本社で、各拠点から施設長が集まるイベントをやったことがありました。ある施設長さんがわざわざ自分を呼びつけて、新しく入ったスタッフに向かって言ったんです。
「困ったときはいつも髙本さんに助けてもらってるんですよ」
「髙本さんが入ってから会社が良くなった」
メールなどではなく、わざわざこうして会った時にいろんなまわりの人に伝えてくださったことがすごく胸にささりました。やっていること自体はすごく些細なことなんですよ。でもその一つひとつがこの「ありがとう」につながってるのだなと思って、嬉しかったですね。
――髙本さんが逆に苦しいと感じるのはどんなことですか?
髙本:自分自身に知識がないことが苦しいですね。福祉の分野はなかなか奥が深くて、日々勉強を積み重ねてはいますが、判断がつかないような仕事がときどき舞い込んできます。本当は30分でできるような書類作成が何時間もかかってしまう。自分のイメージと業務でできることのギャップがあって、その苦しさは日々ありますね。
――総務部門でこれから活躍する人たちに向けてメッセージをお願いします。
髙本:よく、「不動産屋の営業って毎日いろんなお客さんが来るから飽きないよね」と言われていました。実際はそんなことはなくて、大体性別や年齢層などでパターンがあるものでした。
仕事って、たいていはマンネリ化してくるものだと思うんです。人事や経理などルーティンの多い仕事と違って、僕の中では総務はマンネリ化しない業務だと思っています。総務はなんでも屋さんという面もありますが、私のイメージは、総務が会社の中心にいて、そのまわりに人事・経理・労務などがいて。種々雑多なことも含めて様々なことを請け負って、飽きずに働ける部署、それが総務だと思っています。誇りをもって取り組んでほしいなと思います。
――ありがとうございました!
◆編集後記◆
ご自身の評価は二の次、支えたその人が輝いてくれればそれでいい――取材していて、見返りを求めまくりの自分がちょっと恥ずかしくなりましたね(笑)
誰もがついていきたい、と思えるような方でした。ここまで献身的な方が管理部門のトップに立たれていると、皆さんが仕事をやりやすいのだろうなと想像します。オフィスの雰囲気がだいぶ変わったのではないでしょうか。10年以上も前から髙本さんの志向を見抜いていた社長、素晴らしい采配です。
「自信はないが誇りはあります」
そうおっしゃっていた、どこまでも謙虚な髙本さん。3年経って、髙本さんが自信を持った姿で、またお会いしたいです。
プロフィール | 髙本 清志(たかもと・きよし)
ReSowホールディングス株式会社/後方支援グループ統括 総務担当者 高校卒業後、音楽活動を経て、23歳頃から不動産業界で賃貸物件の仲介業務を約20年経験し、現職社長からの引き合いで2023年10月ReSowホールディングス入社、現職。 |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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