ライター:セッキ―
2014.01.29
私たちが日常触れているさまざまな空間(オフィス、テーマパーク、食堂、ホテル、住宅など)の企画・設計・運営を通じ、新しい生活スタイルをプロデュースするUDS株式会社。グッドデザイン賞、日本ファシリティマネジメント大賞技術賞など、数々の賞を受賞してきた同社の事業ヴィジョンは、「空間と仕組みをデザインすることで、新しいスタイルを提案し、人と人がつながる時と場所をつくる」こと。その特徴的な事例として、1年前にオープンしたコワーキングスペース「LEAGUE(リーグ)」も、「未来のビジネスフレンドが集まるプラットフォーム」というコンセプトを体現し、反響が広がっている。
今回はそのUDSの代表取締役であり、“セレンディピティの演出家”とも言うべき、中川敬文さんにお話を伺った。
◆UDS株式会社
http://www.uds-net.co.jp/
◆LEAGUE
http://league-ginza.com/
空間を軸に国内外問わず様々な活動を展開
「対話」をキーワードに現場へ足を運びスタッフの苦労話や「やりたいこと」を積極的に聞き出す中川社長。実はまったく英語が話せないというが、キッザニア東京のメキシコ版企画や中国の職業体験施設企画、オランダのコワーキングスペース企業など、海外の企業との仕事を楽しむ。“知らない相手を受け入れて、知らない相手に自分を伝える”をモットーに垣根なくコミュニケーションをしていく姿に、若いスタッフも多くの刺激を受けているに違いない。そんな中川社長がいま一番注力しているというLEAGUEでの様々な取り組みを紹介したい。
対話の場作り
「LEAGUEを中心とした“対話の場作り”が現在の最重要ミッション。企画・設計・運営という機能的な強みを活かして、「対話が生まれる場所にソフトを生み出す」という思いをこめて、昨年LEAGUEを立ち上げました。世の中の不動産で休日のオフィスほどもったいない場所はない、と思うんですよね。休日を上手く稼働させて有効利用したい、と。そしてオフィス単体でなく “街の中でオフィスはどうあるべきか”を僕らなりに考え、街に開かれた場所にしたかったんです。第一目標としては“ここに集まった人たちが仲良くなりビジネスフレンドになってくれる”事、その次は、“その人たちが、銀座の街や人とつながっていく。”そんな反応が理想でした。」
なんと一年足らずでその目標は達成された。パーソナルブースの、3区画の利用者たちが仲良くなり、3社連合で今より家賃も高くスペースも広い4階に移った。人が集まり、つながり、成長している証である。
「イベントで一番受けがよかったのは2階のキッチンを利用した『築地フーディー」。築地の仲買人さんを迎え、真鯛をその場でさばく。そのフルコース料理に合うワインやパンを銀座にあるデパートやお店から提供してもらいみんなで試食、という会です。休日のオフィスの有効利用としても、街づくりの貢献としてもすごく理想的ですね。」
第二の目標である「銀座の人たちと仲良くなる」というテーマも、なんとも銀座らしい形で達成された。さらにその範囲は地方へも広がっている。
「ザ・漁師’sネットワークという全国展開の団体があって、新鮮な魚と日本酒を用意し、一般消費者を呼んで未来の漁業を話し合うという会を主催していたが、場所がなかなかなくて困っていたそうで。2階キッチンがちょうどよくはまったのでお貸ししています。こうやって地方とつながっていきたい。」
◆ザ・漁師’sネットワーク
http://www.joyf.co.jp/index.html
高校生との取り組み 〜いつ行っても会える、あそこに行けばなんとかなる、それが『居場所』
数多くの仕掛け作りをしてきた中川さんの活動の中でもいま最注目したいのは、高校生との関わりである。いまや40代のビジネスマンでこれだけ高校生と友達付き合いができる人物はいないのではないか。
「LiKE! WORKという高校生との取り組みですが、NPOでやろうと以前から決めていたんですが、NPOの立場からすると“場”がないんです。貸し会議室とか、公民館とか探せばあるけど、なんか『居場所』にならない。『居場所』って、いつ行っても会える、大体あそこに行けばなんとかなる、という場所。そんな場をつくっていくことが僕のこだわりですね。LEAGUEに入居する企業から、高校生に商品開発の会議に参加してもらいたい、という話も。『居場所』があるからこそつながると思うんです。」
◆LiKE! WORK(ライクワーク)
http://like-work.jp/
「いま一番力を入れてやっているのは、『みらいミーティング』というものです。LiKE! WORKの仲間、つまり大人が定例会議をしている時に高校生に来てもらうんです。テーマは、『ゆるキャラってなんで売れてるの?』といったレベルの話から『学歴と仕事の成果の相関は?』『2020年東京の治安はどうなっているか?』なんていう話まで。高校生だからといって子供扱いすると痛い目に遭うんです。話す内容も考えていることもすごい面白いですよ。伝えたいのは、高校生と社会人でも対等に話せば新しい価値が生まれる。それが仕事の原型ということ。やり方によって楽しめる。自分がしっかり考えを持てばどんな人とでも仕事ができるということ。」
変わらない信念…“人と違うこと”、“誰よりも早く行動”
「色んな活動をしていますが、その根底には “人と違うことをやりたい”という思いが強くあります。昔からその傾向はあって、大学選びでもみんなと同じ東京の大学に行くのが嫌で関西の大学に行ったんです。漫才ブームとかに興味があったとか、そんなノリですけどね。地方とか街づくりとかに興味があるのは大学時代の影響が強いです。基本ノリが軽いんです。深く考えることがそんなに得意でないので、その代わり誰よりも早く行動する。企画力も営業力も自信がないから、先手を打ってやってみる、ちょっと複合させてみる、とか。
経営者という役割においても、チェックするだけ、指示出すだけの仕事はなんかダメで。自分の特徴が出ないし、自分である必然性がないと思ってしまうんです。自分にしかできないことをやっていないと、役に立ってない感じがして。」
さまざまな取り組みを次々と展開する中川社長の原動力は、こんな信念に基づいているのかも知れない。
今の時代、FacebookをはじめとするSNSやインターネットで多くの情報が飛び交い、ともするとそれだけで満足してしまう、ちょっと冷たい世の中になっているように感じていた。しかし、これらの活動はすべて『居場所』があるからこそ、よりいっそう輝き、躍動し、ホンモノになっていく。いかにリアルの場が求められているのかということを証明している。ネットだけでは得られない「体温」を、『居場所』を通じて感じたいと、みんなが求めている、そんな気さえする。
インタビュー時間をオーバーしてもまだ話し足りない様子の中川社長、そのエネルギーは尽きることを知らない。来年からは都内の高校の課外授業、広大な土地を活用しての本格的な街づくりの仕事も任されているという。
褒め言葉はいつも「若くていいね」。そんな社長のいま一番の課題は“加齢”とのこと。「若い時は知識がなくてもとにかくスピード勝負で動いてきたが、スピードも衰えてきたし、シフトチェンジ中ってところです。自分の老化は避けられないのでね、高校生との取り組みを始めたのはそれもきっかけのひとつです。」
と笑う。中川社長の次の『居場所』はどこになるのか、ますます目が離せない。
プロフィール | 中川 敬文 UDS株式会社 代表取締役社長 昭和42年3月生まれ、東京都出身。関西学院大学卒。 平成元年4月株式会社ポーラ化粧品本舗(現株式会社ポーラ)入社。 平成3年1月株式会社オーディーエス入社、翌年7月同社上越ウィング マーケットセンター開設事務局ディレクターを務める。 平成11年2月株式会社都市デザインシステム(現UDS株式会社)入社。 平成13年6月取締役、平成15年6月代表取締役副社長を経て、 平成23年1月代表取締役社長就任(現任)。 |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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