LINE―多彩なスタンプやゲームでスマホライフを楽しませてくれる、無料のメール＆通話アプリ。いまや世界230カ国で利用されているLINEを提供しているLINE株式会社で働いている櫛井さん。 その裏の顔は、”941”というナゾのネーミングをされた自身のブログで大量のはてぶを叩き出す有名ブロガー。ん、どっちがオモテだ…？

櫛井優介。私たちはいまこの人が気になってしかたないのです。

櫛井…くしい…941。 そう、 941ブログ 。毎月2-3件のペースで都内企業に次々突撃取材し、やわらかいコトバでその社内をあらわにする、言うなれば”ユル系オフィスハッカー”？？スタートして5年間、彼の訪問した企業は70社を超える。

彼はなぜ、オフィスを取材するのか。
何の使命を負って世の中に発信し続けているのか。

私たち、「オフィスの広場」にとって今一番”気になるこの人”、櫛井優介さんにお話を伺いました。

―個人でいろんなオフィスを回られていますが、きっかけを教えてください

2009年4月からスタートした企画なのですが、所属している会社がオフィス移転することになったんです。そのオフィス作りにあたって、当時の上司から聞かれたんです。
「どこかかっこいいオフィスとか、知らない？写真とかないかな？」
お客様先などでいくつか思い当たるところはありますけど、写真はさすがになくて。それで、それ以降なるべく打ち合わせなどの際に「よかったら社内撮らせてもらえませんか？」とお願いするようになったんです。せっかくなのでそれをブログに書くようになったのがきっかけです。

―上司の一言からスタートしたのですね。それにしてもたくさん訪問されていますよね

最初は片手間で始めたのですが、次第に色々な会社を見てみたいという想いが強くなっていきました。もともとアニメ製作会社のインターネット部門で受託開発をしていて、大手の会社の雰囲気はおろか、世の中には他にどういった会社があるのか、福利厚生などの制度なんかもまったく知らなかったんです。当時の勤務状況も結構きつくて、体調が悪いけど有給という制度すら知らなかったですし、、、だから「色々な会社が世の中にはあるんだよ」というのを、世間知らずだった当時の自分に向けて書いているような感覚です。

これは理由としては後付けですが、インターネット業界を知りたいと思っている学生さんや転職しようと思っている他業界の人たちに少しでも伝わればいいなと思って続けています。

―素晴らしいですね。それがモチベーションになっているのですね。

ありがとうございます。最近のオフィスって、その会社のビジョンを表現していたりとか、経営者の想いが込められていたりするところが多いじゃないですか。オフィスのこのエリアがなぜこの色なのか、とか、どうしてここにこれが置いてあるのか、とか、細かいところを聞いてみるとそれぞれ意味があったりして結構面白いんですよ。とかく、派手なつくりとかドリンクやお菓子が無料みたいな福利厚生の良さとかに目がいきがちですけど、それよりもどんな経営者がどんな想いでオフィス環境を用意しているのか、どんな仲間がいてどのように仕事をしているのか、のほうが大事だと思うんですよね。

―確かに。単にオフィスのデザインを伝えるのでなく、そこに込められた想いを知ることができるのは貴重ですね。結構ありがたがられるのでは？

はじめて訪問したり、引っ越したあとに改めて訪問した際には「オフィスづくりの参考になった」とよく言われます。あと、記事をみて採用につながったケースがあると取材したときに必ず紹介してもらえるので反響を感じることはできますが、嬉しいというかなんか不思議な気持ちになります（笑）。

ぶっちゃけて言うと、自分自身はオフィスはなんでもいいと思っています。机と椅子があって、Wi-Fi環境が整っていて、駅から近い、とかそれくらいでよいなと。しかしオフィスを作る側や経営者の視点でいうと、クリエイティブな発想が生まれやすいようにとか、社員が快適に仕事できるようにとか、みんなの気持ちがひとつになってとか、そういうことを実現したいんだと思いますし、そういうのを職場に求めている人たちの目に届けばいいなと思ってます。

―取材先はインターネット系企業のことが多いようですが？

限定しているわけではないのですが、成長している会社や話題の会社をメインにお邪魔させてもらっています。あとはやはり一風変わったオフィスだったり、一度取材したところが移転したら再度お邪魔したり。最近は人から紹介されることが多いですね。事前に簡単な概要をもらって、ユニークなオフィスであれば取材させていただいてます。「オフィス来てください！」とTwitterで連絡がきて、じゃあ行きます！ということもあります。

—これまでで印象に残ったオフィスを教えてもらえますか。

マイクロソフトさんは豪華でしたね。規模が違いました。当然ですがPCやデバイスなど最新機器が揃っていて、めちゃくちゃカッコいいです。ドラマのセットとして使われることもあるみたいで。2,000人が働いているオフィスなんてなかなか想像出来ないですよね、相当なコストがかかっていると思います。

あとすごく変わっていたのはバーグハンバーグバーグさん。変わった面白いコンテンツをたくさん創ってる会社です。会社が始まってまだ間もない頃で、当時は中目黒のシェアオフィスを使われていたんですが、そのまま紹介しても面白くないということで、目の前にある空き地をオフィスとして演出するという…いつもはパッと行って撮影してすぐ終わるものなんですが、ここだけは事前にブレストをしましたね。

あと、一番小さいオフィスはオーマさんでした。社長さんと有名なプログラマとあと数人で当時やっていて、ワンルームのアパートなので取材する部分が全然なくて、キッチンを社員食堂と称して、焼きそばを作ることをネタにしちゃいました（笑）。

―そういうとき、個人でやってらっしゃるブログだと自由でいいですよね・笑

はい、今後の自信にはなりました。ワンルームがいけるならどんなに小さなオフィスでもいけるなって。


―ドラマで使われた架空のオフィスも取材してましたよね？

ネクストイノベーションさんですね。石原さとみさんのドラマに出てくるオフィスで、なぜか中二階があったりとか、やたらと1人あたりのスペースが広かったりとか、絶対日本では作らないような仕掛けがたくさん盛り込まれてました。

―かなり細かいところまで取材されていますが、どんなところに興味を惹かれますか

引っ越ししたから来て下さい、と言われることが多いですが、落ち着いてから行かせてもらうようにしています。オフィス設計をした人の意図とは違う使われ方をしていたり、一生懸命作った細工がまったく使われてない、なんてオフィスにはよくあるケースですよね（笑）。運用で変わっていくのが面白いし、そういうことが大事だと思うんです。

私が働いている会社でも以前、芝生を張ったリフレッシュ用のエリアを作ったのですが、日本人気質でしょうか、いざオープンしてみたらみんな靴を脱いで上がってしまって、そのまま定着して今では完全に”ゴロ寝スペース”になっています。

―普段されているお仕事内容について教えてください。

開発部門で技術系のイベント運営と、人材支援室を兼務しています。前者は「こんなことをしたい」というアイデアだけの段階から相談があって、一緒に企画を作るところからはじめてイベント運営まですべて行います。後者は人材採用の広報支援で、採用強化しているセクションのイベントやセミナーなどの広報、業務の内容をインタビューしてそれを掲載していく、などしています。他にも全社にまたがるイベントなどを担当しています。

もうやり始めて６回目になるんですが、社員の子供たちを会社に呼んで見学してもらおうというイベントを今年もやる予定です。子供用の名刺や社員証を作ってあげたりして、結構喜ばれる企画なんですよ。

イベント運営は様々な部署の人を巻き込んでいく必要があるので、社内コミュニケーションはとても重要だなと普段から考えながら仕事をしています。

―そういった他部署間のコミュニケーションにもオフィス環境は重要ですよね。今回私たちは、「気になるオフィス！」と題していろんなオフィスをご紹介するコンテンツを新設します。ぜひLINEさんにもお邪魔したいです。

はい、ぜひ。今まで、色々な人がオフィス紹介コンテンツのシリーズ化を試みては消えていくところを何度も見てきていますが、御社は本業ですので絶対続くと思います。ぜひ頑張ってください。

―ありがとうございます。私たちも早く櫛井さんのような人気コンテンツになれるよう頑張ります！今日はありがとうございました！