ライター:セッキ―
2014.03.26
住宅、店舗、オフィス、大学、病院、美術館、スタジオ、集会所、保育園、、、多岐にわたる施設での設備工事や照明のスタイリング・コンサルティングを手がける有限会社EOSplus(イオスプラス)。「そこで生活する人になりきる事をポリシーとし、建築家のデザインに [+α] の環境提案をする」を掲げ、年間120件余りのプロジェクトをわずか10数名でこなしている。中でも小学校校舎をオフィスに改修した吉本興業の例や、相田みつお美術館、代官山の蔦屋書店などの設計は代表的な実績となっている。
「社長になりたい!誌面に名前が載る仕事をしたい!」
野望多き青年が“設備設計のスペシャリスト”になるまでの道のりを伺った。
※有限会社EOSplus http://www.eosplus.net/
設備設計に興味をもったきっかけ
「学生時代は全く建築には興味なかったです。決して目立ちたがりの性格ではなかったけど、関電工に入社して早々に“社長になりたい!”と漠然と思ったんです。あちら側に立ちたい、と。電気工事の現場監督だった当時は同僚や先輩の仕事にまで顔を出して他人の何倍も仕事しました。でもふと気づいたんです。社長は東京電力から降りてくるんですよね、6年かかりやっと気づきました(笑)。」
社長になれないとわかると潔く退職、設備設計の会社へ。本格的に設備を学び始める。95年、開催中止となった世界都市博覧会で予定されていた数多くの建設パビリオンは、同社がすべて電気設備を担当。遠藤さんはこのプロジェクトに参画していた。
「実現こそしませんでしたが、名立たる建築家たちと仕事ができたことは本当に楽しかったです。独立して一番に仕事をもらったのはこのときご一緒した建築家たちばかりだし、いまの自分を支える根幹となっていると思います。」
“日本一”へ向けて、独立。
当時、日永設計在籍中に務めていた専門学校の非常勤講師。評判が良かったため翌4月から常勤となるよう依頼を受けたという。
「在籍ちょうど10年でした。先生になるのもいいかなって思って退職したのですが、7月だったので翌4月までつなぐために設計事務所を開いて、それでも食べていくには足りないので同時に仲間とパソコン教室を開校。昼は設計事務所、夜はパソコン教室。これがまた結構好評だったんで軌道に乗ったころ仲間に任せて、自分は本格的な独立に向けて準備しました。原動力になったのは、単純ですけどね。(壁一面に並ぶ建築雑誌を手に取り開いてみせて)これですよ、これ。こんなふうに名前載りたいー!って。好きか嫌いかではなく、みんなが手を挙げないような、誰もやったことのない仕事を率先してやるスタンスをずっと心がけてきました。」
2000年に独立したその頃から“東京一”、“関東一”、“日本一”と目標を掲げていた遠藤さん、古い手帳に書いたメモをずっと保存してある。
利用者の立場になりきり、最善の提案を
「コンペで勝ち抜いた瞬間が一番嬉しいですね。勝つためには、利用者の立場になりきること。たとえば美術館の設備であれば、そこで働く人、訪れる客たちの立場、老人ホームの照明なら、介護する側、される側の立場。理解を深めるために介護ボランティアに参加したこともあります。使う人の気持ちを理解して初めて、有用な提案ができます。吉本興業の改修では、既存の建物を活かした設計、香川県の大きな商店街のアーケードには省エネを意識したLED照明など、その場に合った提案力では負けないつもりです。」
しっかり利用者の側に立ってもらえる、“縁の下の力持ち”的な安心感。なかなかスポットの当たりにくい業界ではあるが、設備士のスペシャリストとしての多大な魅力と可能性が、遠藤さんの背中には見える。
めげない・へこまない・あきらめない
2005年に世間をにぎわせた耐震偽装問題以降、資格にかかわる規制が敷かれ業界全体が厳しくなっていく中でも、遠藤さんは規制緩和にむけて積極的に国や機関に訴えていく活動をしている。
「NHKの子供番組の歌に出てくる一節、“めげない・へこまない・あきらめない”が、僕の座右の銘なんです。あともう一つ、“Make a problem your friend”。困難にぶつかってもそれを友人と思いなさい、という意味で。だから何か問題が起きたりすごく忙しくなると、逆にいつもニヤニヤしてますよ(笑)」
ご自身の歩んできた道をきちんと整理してまとめたファイルを見せながら説明する姿が、とてもイキイキとして印象的だ。自らの仕事に、この業界に、誇りを持って闘っているからこその自信に満ちている。もう手掛けたことのない施設はないのではないかと思われるいま、遠藤社長は、今後人材育成に注力していきたいという。こんな躍動感あふれる社長がそばにいたら、何でもできそうな気さえしてくる。
「関電工時代の先輩たちはいま、役員や支店長になっていたりしますが、未だに言われるんですよ、ああいうことをやった後輩は遠藤以降いなかったよ、って。」
どんなに規制が厳しくなろうが、周囲もみな同じ。常に前を向いて、新しい仕事に率先して取り組み、業界全体が盛り上がるようにと、できる限りの努力を惜しまない姿勢が大事なのだと教えられた気がする。そう、ニヤニヤすることも、忘れちゃいけない。常に笑顔で仕事をするのはとても難しいことだが、その笑顔が、同社を日本一に導いていくのだろう。
プロフィール | 遠藤 和広(えんどう・かずひろ)
㈱関電工で建築及び施工について6年間学び、その後㈱日永設計で10年間木林茂利氏に師事。 1998. 9 青山製図専門学校 建築設計・設備科非常勤講師 1999. 7 ㈱日永設計 退職(役職:設計室ED-1室長) 1999. 8 EOS設備工房 設立 2001.10 有限会社イオス設備工房 に改組 2008. 9 有限会社EOSplus に改称 -同社著書・記事掲載文献- 『最高の住宅照明をデザインする方法』(EOSplus著/エクスナレッジムック) 『ようこそ建築学科へ!』(遠藤氏執筆記事掲載/学芸出版社) ほか、記事掲載文献多数。(以下参照) http://www.eosplus.net/press/ |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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