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気になるオフィス!
他社のオフィスってなんか気になる!いろんなオフィスをご紹介します!

ライター:マーシー

2021.05.14

世界規模でオフィス全閉鎖・リモート移行に踏み切ったSlackのワークプレイス戦略とは

ビジネス向けのコミュニケーションツールとして、2013年にアメリカでリリースされて以来、瞬く間にシェアを拡大したメッセージプラットフォーム『Slack』を展開するSlack社のワークプレイス戦略が、これまでにも増して、新型コロナ以降まずます注目を集めています。今回、その動向を探るべく、WorkplaceチームのAPAC(アジアパシフィック)シニアマネージャーであるTina Chapman さんにお話をお伺いしました。

Slackのスローガン「Where Work Happens」(日本語:その仕事、Slackで。)を記した床の間がある東京オフィスの入り口付近(コロナ前に構築)

―昨年の新型コロナの影響で、どんな変化が生じましたか?

Tina Chapmanさん(以下、Tina):新型コロナウイルスの感染拡大は、我々にとっても、働き方の大きな転換点となりました。企業がリモート、またはリモートと出社を掛け合わせたハイブリッドな働き方を採用しつつビジネスを成功させるためには、柔軟性とスピード感が求められています。

コロナの感染が拡大した2020年3月以来、Slackでは全世界でオフィスを閉鎖。業務を中断することなく、職場を従来の物理的な「オフィス」から(Slack社の主力製品である)『Slack』上に切り替え、100%分散型のリモート環境に移行しています。

コラボレーションを意識して作られた東京オフィス(コロナ前に構築)

―全オフィスを閉鎖とは思い切った決断ですね。今後のオフィスはどのように活用されるのでしょうか?

Tina世界各地の社員が、いつからまたオフィスで働き始めることが可能になるのかというスケジュールは、今のところ明確には決まっていません。今後については、社員からの希望があれば、リモートワークを継続する、またはオフィスワークと自宅勤務を組み合わせた柔軟な働き方を選べるような選択肢を検討しています。

そもそも、オフィスにはさまざまな役割があると思うのですが、その機能は分散して活用できるのではないでしょうか。会社のロゴを掲げた、サンフランシスコにある我々の本社は、お客様や採用候補者を招いたり、全社集会を開催したり、人々がランダムに交流するには最適な空間ですが、コロナ以前と全く同じ状況での活用は当面は難しいと考えています。

米国サンフランシスコにあるSlack本社 ©Garrett Rowland and Amy Young

オフィスのあり方については今後も検討を続けます。オフィスから遠く離れた地域に住む社員は、フルリモートで働きつつも、年に数回程度はオフィスに顔を出してもらうのが良いかもしれません。オフィスの近くに住む社員は、毎週もしくは隔週で集まってアイディアを出し合い、優先順位を決めてから、作業に取り組むことが理想的かもしれません。作業場所は、オフィスでも、自宅でも、コワーキングスペースでも、お気に入りのカフェでも構わないと思っています。

―オフィスの閉鎖で大きな混乱は生じませんでしたか?

Tinaオフィス閉鎖にあたり、Workplaceチームは、人事部、法務部をはじめ、プライバシー、社員の安全性、セキュリティを担当する各部署と戦略的に連携し、グローバルで信頼性の高い情報を一か所に集約することにしました。これにより、都市別の新型コロナウイルス関連データを的確に分析できるようになったため、社員の安全を考慮したオフィスの閉鎖、再開を速やかに決定できる仕組みが整備されました。

―なるほど、グローバルのチームワークとスピード感で大きな混乱なく乗り超えられたのですね。社員の方々からは何か要望は出ませんでしたか?

Tinaオフィスを閉鎖しているため、社員同士の交流や、お客様との打ち合わせに関する要望がこれまでに多く挙げられています。社員が仕事を進める上で求めているものの多くは、リアルでのコミュニケーションなのではと感じていますが、Workplaceチームとしては、それに変わる新たなコミュニケーションを、『Slack』やアプリの連携を活用して生み出せるような工夫を続けています。

例えば、『Slack』上に拠点ごとの雑談チャンネルを設ける、バーチャルでのAll Hands MTG(日本オフィス全社会議)や、新入社員を交えたランチ会を実施するなどが挙げられます。

また、社員からは、Wi-Fiの高速化、各種オフィス機器の使用、オフィスチェアの利用といった要望も出ましたが、社員が最も気にしていたことは、今後のオフィスの活用についてでした

多くのハイテック企業が永続的に物理的なオフィスからの撤退を図り、分散型の働き方を推進している中で、当社としても、社員の声に耳を傾けながら、オフィスの役割を再定義し、将来どのような職場環境を作りあげていくのかを本格的に検討している段階です。

Zoomの連携なども活用し社員が気軽に雑談できる場を積極的に設けている

―自社の『Slack』をどのように活用されているかを知りたい読者に向けて、活用法を具体的にお聞かせください。

Tinaコロナ以前から、業務とは別に『Social』というワークスペースを『Slack』上に設置しており、趣味や所属を同じくする社員同士が繋がれるチャンネル(例:ペット好きの集まる#dog-or-cat、日本語ファンが集まる#lounge-japanese、カレー好きが集まる#Curry-jpなど)を設け、部署やロケーションを超えた繋がりや交流を楽しんでいました。コロナ禍になり、さらに意識的に「雑談チャンネル」を設け、社員同士が気軽に日常の出来事やトピックを話し合う場を積極的に作り出しています。

加えて、全社的に『Donut』というコミュニケーション用の外部アプリと連携し、週に一度程度、ランダムに集められたメンバー同士で、コーヒー&ドーナツ、そして会話そのものを楽しむ場を設け、その内容を各オフィスの『Donutチャンネル』へ投稿するという社内交流も行っています。

Slackの連携アプリとして知られる『Donut』を社内でも活用

―リモートワークを推進するために会社側が行った工夫は何かありますか?

Tina社員のリモートワークをより快適なものにするため、昨年(2020年)、設備や備品(マイク、PC用のカメラやヘッドセット、液晶ディスプレイ、デスクなど)を揃えるための補助金を、全社員に支給しました。そうした十分な額の補助金の導入も、リモートワークへのスムーズな移行に役立ったのではと感じています。

―コロナ前と後を比較し、見えてきた本質的な課題はありますか?

TinaSlack全体として、コロナ後は「企業文化」にさらなる重点を置くようになりました。これまでも重視していましたが、役員会議などでより頻繁に議論されるようになりました。これまで培ってきたボトムアップ型の文化に加えて、オープンなコミュニケーション、速やかな意思決定・フィードバックの実施といった、「より分散型の働き方に寄り添った企業文化」が今後加速していくことでしょう。

Slackとして重要視しているのは、次の二点です。

一つは、情報の透明性です。社員はみな、『Slack』上のチャンネルでの、オープンでフラットなコミュニケーションを前提として働いているので、全社員が社内の様々な情報や知識を活用できるような透明性の高い環境が常に整えられています。

もう一つは、心理的安全性の担保です。会社のトップから直接、社員向けのメッセージを発信したり、新入社員入社時に、その社員を全社に紹介したりすることで、外から入ってきた人たちがすぐに溶け込みやすい組織風土作りに努めています。さらに、互いの投稿への積極的なリアクションを促したり、社員同士を称賛し合う習慣を作ったりすることで、お互いを思いやる企業文化の醸成を促しています。

コロナ禍においても、当社のWorkplaceチームは、困難な状況に負けないレジリエンス力を発揮し、刻々と変化していく環境に、柔軟に順応してきました。

―困難な状況とは?

Tina感染拡大による先行きが不明瞭な中、Workplaceチームは、社員が業務に対する目的意識を維持できるように、日々心がけ動いています。また、社員が自身と家族の安全を守りつつ、新しい働き方と生活様式に適応できるようサポートを提供し続けています。

その他にも、会社全体の年度ごとの達成すべきゴールや事業計画などを、本社の経営陣から発信するだけではなく、各部署のチャンネル上で繰り返し共有することで、全社員の共通認識としての定着化をはかる努力の一端をWorkplaceチームも担っています。

加えて、会社として、社員が全ての業務アクションを行う際に、Slack 社員の4つの性質 (Slackらしさ)を体現しているかを常に意識するように、あらゆる機会を活用し、周知し続けています。

Slack 社員の4つの性質 (Slackらしさ)

―Workplaceチームが今後取り組みたいことをお聞かせください

Tina新型コロナの影響により、「デジタルファースト」への転換が加速しています。
将来のオフィスは「毎日仕事をしに行くところ」ではなく、「より目的意識を高めた空間」に変化していくことは間違いなく、そのためにも、オフィスデザインにより一層注力する必要があると考えています。

Workplaceチームにとっては、様々なチャレンジに直面している今こそが、社員が求める、より良い労働環境を提案できるタイミングだと考えています。

今後、オフィスが再開した際には、社員が出社時間を自由に選択できるような、よりハイブリッドな働き方への変革に取り組んでいきます。これまでオフィスには各個人のデスクを用意していましたが、これからはデスクを予約して利用するなどの運用スタイルを検討中です。

高速Wi-Fiや最新の会議用ツールなどのインフラをより一層充実させつつ、コラボレーション・チームワークの活性化を促すことで、コロナ後の新たな時代に求められる、人と人とのつながりを中心とした、ダイナミックな職場が実現できると期待しています。

Tina Chapmanさん

        *       *       *

日本においても、東京の大手町1-1-1という抜群のロケーションにオフィスを構えるSlack。オフィス全面閉鎖というのは大変勇気のいる決断だったと思います。ですが、その決断で得られたものの大きさは計り知れないと感じました。コロナ禍を組織が変化する一大チャンスとみなし、次世代の働き方の模索を続けるSlackの動きにこれからも目が離せません!

INFORMATIONSlack社について
Slack はチャンネルをベースとしたメッセージプラットフォームの先駆者です。私たちはこれまでビジネスコミュニケーションのあり方を大きく変えてきました。今や何百ものユーザー企業の皆さまが Slack を使ってチームの目指す方向を揃え、使うシステムを 1 カ所にまとめ、ビジネスを前に進めています。安全かつ世界最大規模の企業に対応できるエンタープライズ級の環境を提供できるのは Slack だけです。
たくさんのビジネステクノロジーが存在するなかで、Slack はまったく新しいレイヤーだと言えます。「一緒に働く」がより効率的になり、使っているすべてのソフトウェアツールやサービスを 1 カ所にまとめられ、必要な情報が簡単に見つかる場所。つまり Slack は仕事の中心なのです。
HP:https://slack.com/

Tina Chapmanさん
SlackのWorkplace担当APAC(アジア太平洋)シニアマネージャーとして、オーストラリアのメルボルンを拠点に、アジア太平洋エリアのWorkplaceチームを統括。Slack社員が最高のパフォーマンスを発揮して素晴らしい仕事を達成できるように、美しくかつ機能的な職場環境の実現に情熱を注いでいる。
マーシー

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ライタープロフィール

2019年入社。金融・不動産・製薬などで総務業務に長年従事。オフィス好きが高じて、プライベートでも独自のオフィスツアーを企画するなど、オフィス訪問がライフワークとなっている。週末などに非営利分野の活動も精力的にこなしている。強くないのにお酒好き(焼酎派)。

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2019年入社。金融・不動産・製薬などで総務業務に長年従事。オフィス好きが高じて、プライベートでも独自のオフィスツアーを企画するなど、オフィス訪問がライフワークとなっている。週末などに非営利分野の活動も精力的にこなしている。強くないのにお酒好き(焼酎派)。

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