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オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

2015.01.05

小野常寛:結縁企画/代表
「カフェでつなぐ、伝統といま。お寺とひと。」

冬のある日、千葉県市川市にあるお寺「回向院(えこういん)別院」を訪ねました。赤や黄色に紅葉した樹木に囲まれた風情あるお寺の門をくぐると、聞こえてきたのはササーッ、ササーッと落ち葉を掃いている音。静寂の中に溶け込む自然の音とマッチしてとても清々しい気分になりました。

カフェテラ(寺)ス 回向院」を運営する株式会社結縁(けちえん)企画。その代表、小野さんは、正真正銘の僧侶です。

日本にはおよそ77,000ヶ所 、コンビニよりもはるかに多い数のお寺が存在します。そんな身近であるはずなのにほとんど足を運ばないお寺を、もっと身近な存在にするべく、カフェを運営し始めてもうすぐ1年。起業にかけた想いと、普段めったに聞けない宗教のお話、伺ってきましたよ。

―もともと家系がお寺だったそうですね

僧侶である祖父を小さいころからずっと見ていて、“人を幸せにする“職である僧侶になりたいと思っていました。大学在学中に比叡山での修行を終え、その後米国留学して宗教学を学びました。帰国後、一般企業に就職し、2014年の1月に起業、4月にカフェをオープンしました。

―なぜ一般企業に就職されたのですか

家系がお寺だったので、僧侶になることは描いていたのですが、寺院内の環境だけに身を置いていては視野が狭くなってしまいます。良い僧侶になるためには、世の中のことを知らなくては、との想いが強くあり、また「世の中」は日本だけではなく世界を意味しておりましたので、小学生の時からの最終的な夢である「国際的僧侶になること」は、今も変わっておりません

そういった想いから、主体性とスピード、グローバル性を身につけることを課題に置き、これが就職においてのキーワードとなりました。30歳過ぎには寺に戻るつもりだったので、なるべく早く成長できる場をと、主体性を発揮できてスピード感のあるリンクアンドモチベーショングループに入社。3年後にはグローバル性のあるベンチャー企業を1社経験し、その後の選択を迫られるときを迎えました。

選択肢としては、次の転職先を探す、海外のお寺で修行をする、などあったのですが、たまたまご縁と出会いがあり、人としての成長と今後のつながりという意味では起業するタイミングと判断し、結縁企画をスタートしました。

―それにしてもお寺をカフェに、というお考えは面白いですね。運営は大変そうですが。

日本に77,000ものお寺がありますが、その多くにまず間違いなく、客室と厨房があります。でも、葬儀や法事など、行事がない時はあまり使われていない。これだけの設備があるのにもったいないと思いました。地域との親交を深める、お寺をオープンで親しみのある存在にする、その為の一つの受け皿がカフェだと思っております。お寺側は日々の業務で忙しいので、その受け皿作りの一歩を支援させて頂いております。

お寺でのカフェ運営は3つのパターンがあります。
1.お寺が無償で運営
2.お寺が有償で運営
3.第三者に委託して運営

1も2も、経済的に余裕のあるお寺が多いです。うまくいけば人気が出てメディアに取り上げられたりしますが、なかなか気軽に始める、というわけにもいきません。さらに2は税制上のややこしい手続きなど手間がかかります。
3がうちのパターンです。鎌倉ではこのパターンが多く、成功しているお寺が多いですね。

都会のお寺には都会に合った在り方があるし、そのお寺ならではの特徴もあるので、いきなり外の世界の人が飛び込んで運営することは難しい。でもそういうことを外から一緒にやっていかないとお寺はなかなか変わることはない。そこで僧侶ということと、社会人経験が活きました。

ゆっくりお話が出来、落ち着けるようなカフェは社会から必要とされているし、なんといっても入りやすい。いざお寺に行こうといっても圧迫感やなんとなく入りづらい感じがありますよね。僧侶である私が都内のお寺を回っても感じることです。そうじゃなくてお寺はもっと公共的にあるべきだと思うのです。内装をなるべく変えずに、お寺そのものの良さを活かした場づくりも使命だと思っています。

―2011年の大震災から、地域親交の重要性が語られるようにもなりましたね。

それも一つのきっかけではありました。あの時期、仏教界への期待や、心の拠り所としての場づくりが声高に言われるようになりました。高齢化、少子化、核家族化、地域性がないなど、今ある社会問題に対して、お寺が解決できることがあるのではないか。そういった役割を事業としてやってみようと思いました。

―ロゴがとても印象的なのですが、どういった想いが込められているのでしょうか

地図記号で寺院を表す「卍(まんじ)」が型どられており 、それを一筆書きにすると4つの四角形が出来ます。「仏・法・僧」の三宝と「社会」の4つの世界観をそれぞれ四角形で表しています。それを円(縁)で囲い、「三宝と社会を縁で結ぶ」、という意味が込められています。また、仏教の五色(ごしき)である赤・青・黄・白・黒を使ったロゴになっています。社名の「結縁(けちえん)」も、仏教用語です。

―なるほど。なんだか日本人なのに恥ずかしいくらい知らないことばかりです。

日本人はよく「無宗教」と言われますが、幸せならそれでいいと思うのですけどね。戦後30年成果主義で成長を遂げてきた時代、お金だけが拠り所になってしまった時代から現代になり、それだけでは幸せでないと世の中が気づき始めているように感じます。幸せの要素は、経済的、物質的といろいろあるのですが、「精神的な幸せ」については、伝統仏教や神道などが新興宗教に比べてどの程度担えているかは疑問です。日本の財産である1,500年の歴史ある仏教が、その価値を存分に発揮していかなければ先祖や仏教界の諸先輩方にも失礼にあたり、もったいないと思うのです。

―最後に、座右の銘を教えてください。

「忘己利他(もうこりた)」―“己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり”。 (※その場で毛筆で書いてくださいました)

伝教大師最澄の言葉です。自分のことを忘れて他人に尽くしなさい、という意味です。人間はとかく自分のことばかりを考えがちですから、常にこの言葉を忘れないように心掛けております。今日はありがとうございました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の取材では今までほとんど触れることのなかったお寺の存在、宗教のお話と、お寺カフェという大きな可能性を感じることができました。周囲に目を向けてみると各地のお寺で、カフェとまではいかなくとも座禅会や写経、書道教室など様々なイベントが行われていることを知りました。

昔からずっとあり、不変と思えるものでも視点を変えればまったく違う大きな可能性に変化するのだということを教えられた気がします。日本人として、日本に住まう者として、大切にすべき文化や伝統にもっと目を向けてみようと、新年にあたり気持ちを新たにさせてもらう気付きをいただきました。

プロフィール小野 常寛(おの・つねひろ/じょうかん)
株式会社結縁企画 代表取締役/天台宗僧侶 律師

高龍山明王院普賢寺四十三代目として生まれ、都立国際高校、早稲田大学第二文学部で学ぶ。
早稲田大学に在学中Lewis&Clark college留学。在学中比叡山延暦寺 行院にて四度加行満行。

大学卒業後、人事組織コンサルティングのリンクアンドモチベーショングループにてコーポレートコミュニケーション支援事業に従事。その後、スタートアップベンチャーのアレックスに参画しオンラインコマース事業の立ち上げに従事後、僧侶兼事業家として独立し株式会社結縁企画を創業。

*事業ミッション
「今を生きる人々への仏教を通じてより多くのご縁の機会をつくりこころが豊かになる社会作り実現する」
*自身のビジョン
「日本の和の仏教を世界とつなげる日本初の『国際的な僧侶』になること」

*「カフェテラス 安詳寺」も運営。http://anjoji.cafe-teras.net/about
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