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ライター:セッキ―

2026.07.14

「目標達成」ばかりで疲弊する組織を救ったのは理念だった!離職率を10%削減した「クレド浸透」3つのステップ

「うちのクレドってなんだっけ?」
覚えていますか?自社のクレド。

「言葉は記憶してるけど、抽象的でいまいち入ってこないんだよなあ」
そんな会話が聞こえてきそうですね。

「クレド(Credo)」は、ラテン語で「志」「信条」「約束」を意味する言葉で、ビジネスの世界では、「企業の全従業員が心がけるべき行動指針や信条」をまとめたものを指すそうです。 企業理念が、会社が目指す大きな目標や存在意義(=どちらに進むか)であるならば、クレドは、日々の業務で「具体的にどう行動するか」の基準(=どう歩むか)を示したものになりますね。

医療系人材紹介を展開するMRT株式会社もかつて同様の課題に直面し、目標数字に追われ退職率が増加する危機にありました。しかし、2023年から独自の「クレド浸透3ステップ」を実践した結果、離職率を10%削減!

社員が自発的に動く組織へと変貌を遂げた、実践的な取り組みと学びをお届けします!

そもそもMRT株式会社ってどんな会社?

まずは、今回お話を伺ったMRT株式会社についてご紹介します。

社名: MRT株式会社
設立: 2000年1月26日
従業員数: 約300名(東京本社には約190名が在籍)
事業内容: 医療系人材紹介、医療情報のプラットフォーム提供

同社は、医師やコメディカル(医療従事者)を対象とした医療機関への人材紹介を中心に、オンライン健康相談・診療システムの運営、医療機関の経営支援など、日本の医療インフラを支える多角的なサービスを展開しています。

「医療を想い、社会に貢献する。」という使命のもと、急速に成長を続けている企業です。だからこそ、社員数が拡大するプロセスにおいて、「いかに自社のカルチャーを全員に共有し続けるか」が重要なテーマとなっていました。

現場を巻き込む!MRT独自の「ユニークなクレド」とは?

具体的な取り組みを見る前に、MRTが掲げる5つのクレドをご紹介しましょう。

キャッチーな言葉が並びますね。

1) みんなが社長:役職関係なく全員がリーダーシップを持ち、主体的な行動を重んじる指針
2) ファミリーシップ:仲間を信頼して結束し思いやりを持って接すること。チーム内で自分の得意を活かし、苦手を支える意識をもって行動しよう
3) 美10凝視:「美点凝視」をもじったもので相手の長所を10個言えるくらい深いコミュニケーションを心がけよう
4) おもしろおかしく:平日5日間、多くの時間を共有する仕事環境。たとえ思い通りにいかなくても、ネガティブな気持ちを引きずらないように楽しむ工夫を
5) 3分ルール:スピードは相手に感動を与え信頼につながる

すべては「お客様に選んでいただく」ための行動指針。当初は、これらは
【名刺サイズに印刷され、入社当日に説明をされた後、社員証の裏に入れておく】
というのがお決まりだったそう。なんとなく、何が起こるか想像できますね……

クレドが形骸化し、組織に危機がおとずれる

MRT株式会社 HRセクション シニアリーダー
鳥居さん


「入社初日に一度説明をした後は、社員はほとんど触れる機会がなかったんです。現場に出てしまえば日々の目標に追われる日々が始まります。そこでコロナ禍に突入し会社のカルチャーもコミュニケーションも薄れていき、だんだんと退職者が増えていきました。

2022年の年末に、あるチームのマネジャーから依頼されたんです。『うちのメンバーがモチベーションが落ちているようで、第三者の立場から話を聞いてあげてほしい』と。

はじめは個人的な悩みかと思っていましたが、組織全体の課題ではないかと感じ、結果30~40名ほどの面談をすることになったのです。多くの人が、目の前の目標に必死になっていて、達成できなければ落ち込み、モチベーションが下がって会社に行きたくなくなる、辞めてしまう、という負のループに陥っていることがわかりました。

面談の中でクレドについて聞いてみると全く答えられなかったんです。驚いたことに管理者までも同様でした。」



クレドを組織の血肉に変えた「3つのステップ」

そこで同社は、2023年からクレドを生きた指針にすべく動きます。

各チームの管理職によって「クレドを体現できているメンバーかどうか」を基準に「クレド推進委員」を選出。その約25名で、月1回・90分の「クレド会議」を行いながら、以下の3ステップで浸透を進めていきました。

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【ステップ1:浸透(とにかく覚える)】
▼ クレド推進委員が「クレドテスト」を実施
▼ 強制的に記憶させることで、まずは「100%言える状態」を作る
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最初の最重要課題は、とにかく「クレドって何だっけ?」をなくすことでした。認知度を強引にでも引き上げるため、選抜されたクレド推進委員たちが自らチームメンバー向けの「クレドテスト」を作成・実施!
これにより「いつでも100%答えられる状態」を作り上げ、形骸化していたカードすらも不要な状態になっていきました。

-----------------------------------------------------------------------
【ステップ2:業務/行動に紐づける】
▼ 管理職自身が「できていること・できていないこと」を言語化
▼ 社内チャット(Slack)や感謝ツール(Unipos)にクレドのワードが登場
-----------------------------------------------------------------------

言葉を覚えたら、次は具体的な「行動」につなげるステップです。まずは管理職が「抽象的なクレドが、自分たちのどんな業務行動に紐づいているのか」の理解を深めることから始めました。

管理職が自分のチームを振り返り、「クレドの視点で、できていること・できていないこと」を洗い出し、メンバーを賞賛する際にもクレドの言葉を意識して使うようにしたのです。

この取り組みは、社内のデジタルコミュニケーションにも劇的な変化をもたらしました。

・Slack(社内チャット): 業務のやり取りの中で、自然とクレドが登場するようになる。
・Unipos(ピアボーナス・感謝を伝え合うシステム): メンバー同士で感謝を送る際、「#みんなが社長」「#美10凝視」などのラベルを付けて投稿する文化が定着。

これにより、「どのクレドがどんな行動に紐づくのか」を理解でき、常にクレドを意識する環境が整いました。

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【ステップ3:課題をクレドで解決(実践する)】
▼ 日常の業務課題に対し、「どのクレドを使って解決するか」を議論
▼ ワークショップを通じて、管理職からメンバーへと落とし込む -----------------------------------------------------------------------

こちらの最終ステップは、現在進行形で取り組んでいるそう。
「自チームの課題を、クレドを使ってどう改善・解決できるか」を考える実践的なワークショップで、他チームの取り組みをシェアしながら、具体的な解決策を模索します。

【実際に会議で上がった課題の例】
管理者がチームのSlack全体に向けて、「●●の対応、誰かお願いします」とチャットを投げたところ、誰も反応せず1時間半も放置されてしまった。

「この問題に対し、『どのクレドが足りていないか?』という視点で考えます。ここで登場するのが【みんなが社長】というクレドです。自分がやらなくて誰がやる!という当事者意識があれば、全員宛てのメッセージであっても放置されるはずがありません。」(鳥居さん)

この課題を解決するために、次の会議までにどんな行動を起こすべきか」を、クレドを共通言語にして管理者たちが話し合い、現場の改善へと繋げています。


ビフォーアフター:クレド浸透がもたらした変化

この3ステップの取り組みにより、MRT株式会社の社内には目に見える大きな変化が生まれました。 1. 離職率が10%削減!
2022年から2023年にかけて、課題となっていた離職率が10%も削減されました。その後も低い水準をキープしています。目標数字だけを見て疲弊していた組織が、クレドという「働く意味や行動の指針」を得たことで、心理的安全性や定着率がグッと高まった証拠です。

2. 「どうすればいいですか?」という丸投げ姿勢からの脱却
以前は、少しでもイレギュラーな対応が発生すると、メンバーから管理職への「質問攻め」が発生していました。自主的に考えることをしない、つまり主体性が欠けている状態でした。 そこで、「みんなが社長」のクレドをベースに、「『どうすればいいですか?』という質問はやめましょう。『私はこうしたいのですが、こうしてもいいですか?』と、自分の意見をまず考えて整理してから質問しよう」という姿勢を根付かせていきました。

3. 「主体的行動」の社内表彰で、自発的な挙手が当たり前に!
クレドに沿った行動を評価する仕組みは、各チームの管理職に委ねられています。例えば、前述の「誰か対応をお願いします」に対して、すぐに手を挙げてくれたメンバーを毎月みんなの見える場所で表彰するようにしたチームがあります。この行動を「【みんなが社長】(主体的行動)に即した素晴らしい行動!」と称える動きを続けたところ、なんとメンバー全員がまんべんなく、自発的に挙手をするように変化したのです!


今後の展望と、これからの時代に必要な組織づくり

同社は現在、半期で10名以上の採用を目標に掲げ、採用活動を強化しています。
新卒10年目であり、HRセクション シニアリーダーとして現場を見続けてきた鳥居さんは、昨今の若手社員の傾向について、採用担当ならではのリアルな危機感も語ってくれました。

「私たちが大切にしているのは、会社と社員が互いに高め合える関係性です。働きやすさや制度(テレワークやフレックスなど)は、社員の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮するための土台だと考えています。

だからこそ、まずは『自分はどんな貢献ができるだろう?自分が発揮できる強みはなんだろう?』と主体的に考え、誰もが意識せずとも自然とクレドに基づいた行動ができる、そんな組織を目指していきます。

そのために、私たちはこれからも毎年趣向を凝らしながら、クレドを伝え続けていきます。」(鳥居さん)

まとめ

MRT株式会社の事例から学べる最大のポイントは「課題解決への一貫した紐づけ」です。 ただ言葉を覚えさせる(ステップ1)だけで終わらせず、日常の不満やトラブルなどの課題解決(ステップ3)にまでクレドを徹底的にしみこませたことが、血となり肉となっていった決定打と言えます。

そして、「共通言語としてのフレーズ選び」もポイントでしょう。同じ意味、意図でも「主体的な行動をとりましょう」といった一般的なスローガンなら、ここまで社員の意識に残ったでしょうか。「みんなが社長」というキャッチーな言葉だからこそ、合言葉のように浸透し、社内チャットなどのハッシュタグとしても使いやすかったのです。

理念がただの「壁の飾り」や「カード」になってしまっている企業のみなさん。ぜひ参考にしてみてくださいね!

InformationMRT株式会社 https://medrt.com/

所在地:東京都渋谷区神南1-18-2 フレーム神南坂3階
設立: 2000年1月26日
従業員数: 約300名(東京本社には約190名が在籍)
事業内容: 医療系人材紹介、医療情報のプラットフォーム提供
セッキ―

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ライタープロフィール

2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!

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2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。いつかはインタビューされる側になりたい!

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