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気になるノウハウ!

ライター:一色先生

2023.03.15

教えて!一色先生「デザイン思考でオフィスカイゼン」

トッシーこと、一色です!こんにちは!

オフィスカイゼンに10年前からかかわっていますが、こんな声をよく聞きます。

「オフィスカイゼンって何から始めればいい?」
「オフィスカイゼンに取り組みたいけど、カイゼン策が見つからない」
「カイゼンアイデアを常に生み出し続けるって大変」


100点満点のオフィスならオフィスカイゼン策は見つからないでしょうが、そんなことはまずありません。 企業を取り巻く環境は常に変化、同じ状態は続きません。その変化に対応していくにはオフィスカイゼンは欠かせない活動です。

今回は、オフィスのカイゼン策を考える上で効果的な、【デザイン思考】についてご紹介します!

筆者はオフィスデザイナーとして約45年間活動してきました。そのうちオフィスカイゼン活動は10年間。いろいろなオフィスでのカイゼンを見てきましたが、オフィスカイゼン活動が活発なオフィスには共通の特徴があります。

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問題が起きてから対応するのではなく、オフィスワーカーも気づかないような潜在的なニーズを見つけようと取組んでいるかどうか。

ユーザーが口に出してはいないが、何となく不満に思っていることに気づくアプローチがあるかどうか。

ニーズの本質としての潜在ニーズをつかもうと意識して行動しているか。
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潜在ニーズをつかむためにはデザイン思考が適しています。

1.そもそもデザインとは

みなさんは「デザイン」をどのようにとらえていますか?デザインは意匠、形のことだと思っている人もまだまだ多いようです。筆者はオフィスデザインを始めて数年たった時に、「デザインって何か」を考えたことがあります。いいオフィスのデザインと、よくないオフィスのデザインの違いをいろいろ見ていた時に、その答えに気づきました。

簡潔にいうと「デザイン」は「生き方(イキカタ)」です。つまりミ・ノウ・カタチの3つが揃ってないとダメ、ってことなんです。

イミ:根本の目的、何の為に存在しているか、コンセプトが明確であること
キノウ:そのものの役割、働きがきちんとあること
カタチ:そのうえで心地よいカタチとして表れていること


目的や存在価値があいまいで形だけ主張しているものはデザインとはいえません。組織メンバーが働く場としてオフィスは特に、イミ、キノウ、カタチは重要です。



2.デザイン思考とは

デザイン思考とは、デザイナーの行うデザインプロセス手法のことです。「ユーザーも気づいていない本質的なニーズを見つけ、試作を使って試行錯誤を行う創造的な問題解決アプローチ」です。実際のユーザーの行動や経験をもとにデザインしていくのがデザイン思考です。



3.デザイン思考のプロセス

デザイン思考のプロセスとして、代表的なものがスタンフォード大学d.schoolが開発した「デザイン思考の5つのプロセス」です。

▼参考:「デザイン思考マインドセット+スキルセット」廣田章光、 「これからのデザイン思考」小山田那由他



4.オフィスカイゼンにあてはめる

デザイナーはユーザーの代弁者。いろんな役を演じる役者になってプランを考えています。例えば筆者は”オフィスカイゼンマン”時代、よく通勤の電車の中でなりきりシミュレーションをイメージしていました。たとえば

「今日は新人になり切って出社から仕事を始めるまでの体験を想像してみよう!」
「今日は女性ワーカーの気持ちになってオフィスの中を行動してみよう!」


なんて具合に。

プロセス①共感
ユーザーの気持ちになってみよう。たとえば冬、コートを着てオフィスについたビジネスマンをイメージ。
⇒多人数ロッカーの扉を開け、コートを脱いでハンガーにかけます。多人数ロッカーには同じようなコートがすでに多くかけられています。

プロセス②定義
求めているニーズは何かを想定しよう。
⇒同じようなコートがかかっている…帰るとき自分のがどれか迷うかも?

プロセス③問題解決
同じようなコートがかかっている中、自分のコートを見つけるための解決策をできるだけ多くアイデア出ししよう。

プロセス④試作
それぞれのハンガーに違いをつける、を採用。
⇒ハンガーの首の部分にしるしをつけよう。マスキングテープを巻いてみよう。

プロセス⑤検証
検証用ロッカーを1つ選び、種類の異なるマスキングテープを巻いたハンガーをかけて実際に使ってもらおう。
⇒マスキングテープは複数のタイプちがいがあった方がいい
⇒それではマスキングテープの色を虹色のように複数の異なる色にしよう
⇒使ってみると、もう少しタイプが多い方がいいようだ
⇒マスキングテープは一重巻きだけでなく、二重、三重タイプも用意してみよう

こんなふうに試行錯誤を重ね、オフィスの中に展開したところ、ユーザーから「気が利いた旅館の女将のようなカイゼンですね!」という嬉しい声もありましたよ。

どうでしょう、虹色ハンガーのカイゼン策はイメージできたでしょうか?

5.デザイン思考でオフィスカイゼンのメリット

デザイン思考のアプローチでは、アイデアをできるだけ多く出していきます。これはどうか?違うかな?と思うようなものでも、言ってしまいましょう!「なんでもいいからとりあえずやってみよう」という習慣がつくと、失敗を恐れずにチャレンジする癖がみんなに浸透していきます。

これからの時代は新しいことを生み出すためにも、失敗を恐れずにどんどんトライする風土づくりはとても重要です。デザイン思考では出されたアイデアを否定することがないので、異なった意見を気軽に言いあえる雰囲気が生まれます。多様な意見を柔軟に受け入れるようになるので、新しい視点や気づきを得られるようになります。

いいことづくめですね!

6.まとめ

デザイン思考はデザインのためだけの考え方ではなく、すべての人が活用できます。不満、不都合、不具合、不足、不十分、不快など、日常の不のつく状態を、いろいろな立場の人になりきって観察するだけで、新しい気づきを得られるようになります。デザイン思考をぜひカイゼン活動や仕事の場面で活用してください。 ここまで読んでいただいてありがとうございました。

(今回紹介した内容は、「デザイン思考マインドセット+スキルセット」廣田章光(日経BP)、 「これからのデザイン思考」小山田那由他(エムディエヌコーポレーション)、「コクヨオフィスカイゼン委員会」を参考にしています)

一色先生

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ライタープロフィール

コクヨに42年間オフィスデザイナーとして勤務。オフィスデザインだけでなくオフィス研究やオフィス運営維持活動も担当。オフィスやカイゼンに関する講演は全国で50回以上実施している。2019年にはデザインスタジオを開業。オフィスのコンセプトづくりやコンペ提案のアドバイスを対応。
水彩画家として個展やカルチャースクールの絵画講師、公募展への応募なども行っている。2020年には初出品した水彩画が日展入選。はやくスケッチ旅行を再開したい。

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