ライター:セッキ―
2020.06.17
「在宅勤務モード」から徐々に「出社モード」へ移行している企業が多いと思いますが、皆さんの会社ではどのように出社率コントロールをしていますか?また、人事/総務部門の皆さんは、自社オフィスへの出社率がどのくらいになっているか、把握できているでしょうか?経営陣からヒアリングされたり、取材等で回答する機会も増えてくると思います。
もともとがテレワーク中心の筆者自身も、たまに「今日はオフィスに何人くらい集まってるのかな~」なんて気になるときがあります^^
そんな中、、、
「うちの大変優秀なオフィスマネジャーが、kintoneを使って着席チェックインアプリを作ってくれました!」との情報が。
なぬ。
あのkintoneで?オリジナルで作れるの?それは気になる!早速取材させていただきました!
お話を伺ったのは、オフィス移転の仲介から内装設計・工事、家具や通信インフラ整備までトータルに提案してくれる、株式会社フロンティアコンサルティングの総務をご担当する平永さん♪ 東京本社以外に国内に7拠点、海外にも4拠点を抱える規模で、東京本社には約110名ほどのスタッフが在籍しています。
普段からkintoneのメンテナンスを担当し、業務改善にも積極的に取り組んでいるそうですよ。総務をおひとりで担当しているというんだから、すごい!最後に、【作り方レシピ】も公開してくれますよ!
―御社では緊急事態宣言が出されてから、どのような体制に?
東京では、全員が原則在宅勤務になりましたが、役員や管理職などどうしても出社が必要なメンバーが10名ほど出社している状況でした。各拠点では、支店長のみが出勤しあとは在宅勤務という体制を敷きました。
―今回作られたアプリは、どのようなものですか?
サイボウズが提供する業務改善プラットフォーム「kintone」の中で作った、座席チェックインアプリです。座席の利用記録に加え、検温と体調のチェックができるものにしました。
―アプリを作ることになった経緯を教えてください。
コロナ問題に対し、当社では緊急対策本部を立ち上げました。私はそのメンバーの一人で、いわゆるガイドライン、【マスク着用、手洗いうがい、してはいけない行動】などを策定しましたが、当然ながら各自が実施しているかどうかは不明です。健康でない人が出社しないようにしなくてはいけないし、また、セキュリティカードで入退室管理をしていないため、誰が出社しているかのログを残すこともしていませんでした。
そろそろ緊急事態宣言が解除になりそう、そろそろ出社してもいいかな、となる前に、何かしらのルールを決めないといけない、ということで議論は以下のように整理されました。
1) 出社する場合には何かしらのアクションをつけたい。
2) 出社者のログを残したい。
初めはアナログに、紙での運用を考えましたが、ペンを使いまわすと菌が心配、ということもあり、Googleカレンダーに書く案にまとまりつつありました。でもなんとか社内にあるシステムの中で、簡単で安心に利用できるものはないか、と土日の間に思考をめぐらせ、「kintoneを駆使してやれる!」と思い立ったんです。
―さすが、いつもメンテンナスをされている方ならではのアイディアですね!
―アプリの使い方の流れは?
出社した人は、
---------------------------------------------------------------------------
1)座席に設置されているQRコードを読み込む
2)【チェックインする】をタップし開始時刻と終了予定時刻を入力
3)以下の二点にチェックを入れる
□検温を実施した
□体調に異常はない
---------------------------------------------------------------------------
これでチェックインが完了です。
社員はスマホでkintoneアプリを利用しているので、QRコードを読み込むのも、出社状況を確認するのもスマホで手軽にできるのはよかった点だと思っています。
社員のアクションが最低限で済むように設計し、なるべく確実に使用してもらえるようにしたかったので、離席する際のアクションはありません。
東京都心周辺よりも、拠点の方が先に宣言解除になったので、まず拠点から利用をスタートしました。それで試行できたので、そのまま東京本社でも解除とともに利用スタートとなったわけです。
―座席の間隔を空けるなどのルールはどう決めたのですか?
まずオフィスの図面上で、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ半径150~200センチメートルの円を描き、利用可能な席を限定していきました。そしてその席ごとのQRコードを作成します。以下は名古屋の図面です。例えば赤いマルの座席は本当は使えるのですが、通路にも十分な空間を確保したかったので利用不可にしています。
拠点は全席完全にフリーアドレスで、東京ではフリーアドレス+一部の部署が固定席になっています。利用可能席を限定すると、当然席数が減りますが、「固定席の部署だけはそのまま固定席を使える」というわけにはいきませんので、固定席を解体する必要もありました。それで全体を、この辺が〇〇部、この辺が△△部、と部署ごとに席数を決めて振り分けていき、出社可能人数を決めていきました。いつ誰が出社するかは、各部署に決めてもらっています。
利用不可の席に置くシートは設計デザイン部が作成してくれました!また、会議室入り口には入室可能人数を掲示しています。
―なんか裏の作業のほうがすごく大変そうですね。
そうなんですよ!!
3日間くらいでアプリを作って、まず拠点の図面を作ってみて試し、次は東京、と。図面作業は設計デザイン部に依頼しましたが、座席の割り振りは総務側で実施しています。部署によって出社率が違うので、全体のバランスをみた上での調整は総務が得意な範囲かもしれません。
―そんな作業を在宅で、たった3日でやり遂げるなんて、尊敬します!
―社員さんたちの反応はいかがですか?
今のところ問題なく使ってもらえています。出社するときに、「私健康です」と言いたい気持ちもあると思うんですよね。そこで何もしなくていいのかな?という不安感を持っていた社員もいたと思います。ログをとるだけでなく、そういった安心感を与える効果にはつながったのではないかと思っています。
また、全社員がオフィスの座席利用状況を閲覧できるので、在宅ワークをしていても誰が出社しているか確認できますし、管理側としても利用してもらえているな、と確認することができます。
―kintoneって活用の幅が広いんですね。
業務改善にはかなり利用できると思います。コロナ前からも、安否確認や本の貸し出しなどに活用したいという話は議題に挙がっていました。工夫のしがいがあると思いますよ。もっともっとシステムに詳しい方がいる企業さんなら、ぜひいろいろ作ってみてほしいです!
* * * * *
今回は取材にご協力いただき、ありがとうございました!
それではお待ちかねの・・・
「ナレッジ共有したほうが世の中のためになると思いますので、惜しみなく!」ということで平永さんよりレシピのプレゼントです!!^^
◆◆◆◆◆◆ 座席チェックインアプリの作り方手順 ◆◆◆◆◆◆
Kintoneで2つのアプリを作ります。
①座席一覧アプリ
②ログ登録用アプリ
まずオフィスの座席一覧を作成し、そのレコードをレコード番号と一緒に掃き出し、Word等で差し込み印刷し、QRコードを生成しておきます。
①に【チェックインする】アクションを設定します。
②で検温実施、体調管理等の項目を設定します。
①から②のアプリに飛ぶように設計することで、QRコードを読み込む
⇒チェックインするボタンを押すことで②にてログの回収ができる仕組みです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
なるほど、、、って、システムにめっぽう弱い筆者にはちんぷんかんぷんですが^^;
ありがとうございました!皆さんもぜひ挑戦してみてください!
* * * 編集後記 * * *
社員の安全やメンタル面に配慮し、限られた日数の中でアプリを作り、着席時のルールを丁寧に作りこんでいった平永さん。コロナピークに突入する前にたまたまサーバーの入れ替えを実施したため、外部からのアクセスも問題なくできた、という幸運も手伝って、慣れないテレワークも大きな問題なく進んだそうです。「全社員が、”自分たちが今すべきことは何か”を自主的に考え、みんなのファインプレーが大きく影響した結果です」。
素晴らしい!見習いたい姿勢ですよね!
同社では、主に”働きすぎを避ける”目的で、自宅でのワークを禁止してきたとのことでしたが、今回のコロナ禍で実際にやってみた結果、自宅で働きたい要望も出ているとか。今後の働き方改革にも注目していきたいと思います!
※フロンティアコンサルティング社が手掛けたオフィスの「気になるオフィス!」取材記事はこちら!!!
Information | 株式会社フロンティアコンサルティング
*設立:2007年2月 *社員数(グループ全体):259名(2020年1月1日現在) *拠点:東京本社/横浜支店/名古屋支店/大阪支店/福岡支店/ 札幌オフィス/ 静岡オフィス/広島オフィス *関係会社:ベトナム現地法人/香港現地法人/上海現地法人/アメリカ現地法人 ●オフィスのトータルコンサルティング ●オフィスのデザイン・設計・内装工事全般 ●オフィス移転のプロジェクト管理 ●オフィスの原状回復工事 ●オフィスの物件仲介業務 ●オフィス家具・OA機器等の販売・リース業務 ●ビルの改装工事・外壁工事・設備工事全般 |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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