必要なのは人のつながり～体感型イマーシブ空間「uralaa」の今

「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか？」

そんな問いから生まれた、イマーシブ空間演出サービス「uralaa（うらら）」。

過去にもオフィスの広場でご紹介したことがあるのですが、→会議室が大自然に飲み込まれた？！圧倒的没入感で非日常の世界へ「uralaa」

このたび、その「uralaa」がさらに進化！
新しいショールームも完成したとのことで、再び訪ねてきました。そして今回は、サービスの背景にある“想い”をもっと深く知りたくて、代表にもじっくりお話を伺ってきました。

uralaaとは

uralaaは、会議室のような箱型の空間を、正面、左右の壁面、天井の4つの壁を使って、継ぎ目のない映像を投影する技術を用い、没入体験できる空間を作りだすもの。四角い部屋とプロジェクタとインターネット環境さえあれば、おおがかりな工事なしでスタートできます。

そしてアプリにログインし、1,000以上の映像から好きなものを選びます！投影されたその空間に一歩足を踏み入れるだけで異空間にワープしたような気にさせてくれるサービスなのです。

（▼画像引用元：公式ホームページ）

まさに「持ち運べる森林浴」と謳われているとおりで、過去（2022年7月）に筆者が初めてその空間を体験させていただいたときは、とにかく美しい自然の映像と音で癒されたのを鮮明に覚えています。（だって思わずウトウトしちゃいましたから）


新ショールームは6m四方の「パーク」と「四畳半」

今回足を運んだのは、白金に新しく展開されたショールーム。到着して通された部屋は、窓がなく天井の高い無機質な空間…それが！！
壮大な海岸線が眼前に広がっていました。

「こんにちは～」と代表の辻木さんが登場すると手元のスマホでポチポチ。すると次はまったく趣の違う映像が流れ出しました。

動画なので、バンドが演奏している前で、右の壁から左の壁までリズミカルにダンスする姿をずっと見ていられるんです。

以前見てきたコンテンツは、流氷や大海原、リスが動き回る森の中など、大自然を迫力の音とともに体験できる、そんなイメージでしたが…

毎日増殖するそのコンテンツは今や1,200を数え、まさにどこでもドア！！かなり進化してました！

市販の360度カメラで撮影された映像でもコンテンツとして展開できるので、学生が農業体験したときの映像や、一般人が入ることのできないワイン農場のブドウ収穫の様子もありました。 また自治体と連携することでなかなか足を運べない地域のお祭りの様子なども展開され、観光地の魅力発信にも貢献しています。


ちなみに筆者がおススメのコンテンツは…

京都の旅館からの眺め♪　この時期にぴったりでしょう？それから、走る電車の運転席の眺めです！ちょっとふわっとする感覚と駅を走り抜ける爽快感がたまらない！

uralaaの新たな挑戦

1）CGや生成AIを使った空間プロデュース
今回新たな取り組みの一つとして、AIで作られた映像を見せてもらいました。ユーザーの空想の中の映像を可視化できることで新たな物語が生まれそうです。

また事故防止や、防災観点での映像も。目の前で車がぶつかる映像や、津波が家の中に押し寄せる映像はとても迫力があり、驚かされました。

2）LIVE中継で新分野へ
新たにLIVE中継の技術が加わり、今後スポーツやエンターテインメントの分野にも展開が期待されます。すでに大阪府美濃市とのコラボで、現在開催中の大阪万博において、ヘルスケアパビリオンに常設されているそうです。EXPOへお越しの方はぜひチェックしてみてください！

またLIVE中継の第一弾として、今年の8月には北海道で一番の規模を誇る「勝毎花火大会」をLIVE中継することが決定しているそう。涼しいお部屋で夜空に上がる大きな花火を見上げることができるって、幸せすぎますね！
※観覧ご希望の方は記事の最後の【募集のお知らせ】を！


3）四畳半の個室「uralaa yojo-han」
もう一つ、今回のショールームの目玉ともいえるuralaaの新しい挑戦。
え、ここ？おジャマしまーす…

なんと、四畳半の個室スタイル！その名も「uralaa yojo-han」です。このようにリラックスしながら別世界に瞬間移動。こちらは天井なしの3面投影、ぐっと身近に迫った空間で、より没入感が高い体験が可能です。

（▼画像引用元：uralaa showroom）

ちなみに取材したときはヘッドレストとミニテーブル付きのフカフカリラックスチェアが3台置かれていました！どんなマッサージチェアより快適な入眠が可能だと思いました！(笑)


代表インタビュー

フォレストデジタル株式会社
代表取締役CEO　辻木勇二さん

――新ショールームおめでとうございます！それにしても「四畳半」には驚きました。

辻木さん：ありがとうございます。四畳半タイプはぐっと距離が近くなり、没入感も高いのが魅力です。省スペースで設置可能ですから、例えばオフィスならエントランスでの演出やリラックス空間として活用するほか、喫煙者でいうところの喫煙ルームみたいなイメージで設置してもらうのもいいですよね。

――オフィスのリラックス空間として、曜日によって映像のテーマを変えたりしてもいいですね。多くの企業が出社率を上げるための施策に課題を抱えていますから。

辻木さん：われわれ社員の多くはYahoo！（現LINEヤフー）出身のエンジニアで、大きな空間を作ることもできますが、今回このような少人数用の小さな空間で同じ時間を共有する体験を提供したのは、人とのつながりをより強く感じてもらいたいという想いからです。

スマホの画面を見るのでなく、顔を上げて、みんなで野球やサッカー観戦をしたり、音楽を聴いたり、そういう空間が「未来のお茶の間」みたいになっていけばいいなと。

――以前からずっと伺いたかったんです。創業時の想い「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか」の問いは、いつごろ、どんなきっかけで生まれたのでしょうか。

辻木さん：遡ると、「発展途上国の人々の暮らしを良くしたい」という想いが自分の中に芽生えたのは高校生のころからです。最初はアジア開発銀行に就職しマニラに駐在して橋や発電所をつくったりしていました。その後は財務省で地球環境問題に取り組みました。

2008～2010年ごろでしょうか、iPhoneの登場によって世界中みんながワクワクしていて、自分もその一人でした。それが途上国にも広がって、ネットに触れたことのない人たちも可能性を感じるようになりました。

当時タイにいた若者がUdemyというサービスを使って、スタンフォードやハーバードなど名のある大学の講義を受けて学ぶ様子を見て、強く感心したことを覚えています。 そこから、今度は「インターネットで人を幸せにしたい」と大きく方向転換したんです。今までとは手段は変わりましたが根っこにある「人々の暮らしを良くしたい」という想いは変わらずにやってきました。

ただこのものすごい技術を一人1台手にできる現実の中で、ぽつりと違和感が生まれました。

インターネットによって効率性と利便性は加速度的に上がったけど、じゃあ心の面はどうか。周りを見渡すと、みんな下を向いている。駅の階段で、電車の中で、歩きながらもみんなスマホに没頭している。もちろんメールやSNSで、コミュニケーションは取りやすくなりました。簡単につながることができるようにはなったけれども、果たして本当に人々は幸せになっているのだろうか、負の面もたくさんあるのではないか、と思ったんです。

――たしかに、家にいてもLINEで会話する夫婦、とか、友達と一緒に公園に行っても別々にゲームをやる小学生たち、なんて話はよく耳にしますね。

辻木さん：今我々が大事にしているキーワードは「つながり」です。

顔を上げて同じ時間に同じ空間で同じ情報を共有することで「つながり」を感じられることが、幸せの一つなのではないかと思うのです。

「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか」
これは、これからもずっと問い続けていくものだと思っています。

――ありがとうございました。

◆編集後記

今回「uralaa yojo-han」を構築された背景について、辻木さんの創業時の想いとともにお聞きすることができました。

リモートワーク定着により出社率がおさえられ、社員の帰属意識や仲間意識が薄れたことに課題を感じている企業も多いですよね。でも、空間そのものを一緒に味わえる仲間がいるって、会社に所属している醍醐味ですよね。

ぜひ一度uralaaを体験してみませんか？

リラックスした雰囲気の中で過ごす時間が、社員同士のつながりを取り戻し、あるいは強化し、課題解決のヒントになるかもしれません。