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2010.09.08

高橋朋之:楽天株式会社/人事部ファシリティ管理課
「急成長企業のファシリティ担当者の取り組み」

1997年の設立以来成長を続け、今や世界から常に注目されている楽天。

現在では従業員数(連結)も約6,000人規模(2010年6月時点)となり、オフィスも15拠点、計15,000坪を展開する大企業となった。

この楽天の急成長をファシリティという面から支えているのが、人事部ファシリティ管理課だ。この課は、計8名の部隊で、ファシリティの戦略立案からビル選定、構築に伴うプロジェクト管理、そして運用管理にいたるまで、ファシリティに関わる業務全般を担っている。
その一員として、現在の楽天本社オフィスである「楽天タワー」や、2010年にオープンしたばかりの「楽天タワー2号館」を主に担当しているのが、今回ご紹介をする高橋朋之氏だ。
今回のインタビューでは、高橋氏に、急成長企業におけるオフィス創りの秘訣を伺った。

人員計画やM&A計画と併せて移転や増床を検討

四半期毎に数百名が増員している楽天。どの様なタイミングでオフィスの移転や増床を決めているのだろうか。

「新卒・中途の採用計画を見ながら、ある程度の先の見込みを立てておき、経営陣に対してレポートしています。M&A等の計画が持ち上がり、見込みよりも早く床が足りなくなる状況が見えて来てのアラームを経営陣にあげることもあります。そこで、意思決定がされれば、移転や増床を行います。

とはいっても、世の中の環境変化が激しい中、それに適応するように楽天のビジネスも日々変化をしています。このような状況下で、何年も先の予定を見越すことは容易ではありません。そのため、移転や増床に当たっては、オフィスの賃貸借契約を余り長期にしないことや、オフィス稼動後の変化にも対応できるような、フレキシビリティを持ったファシリティの構築も心がけています。」

人事や経営層と連携してオフィスを構築

移転や増床が決まった際、どのような体制でプロジェクトが進められるのだろうか。

「プロジェクトが発生した際は、課のメンバーの中から2~3人がアサインされます。その後、外部のプロジェクトマネジメント会社を選定し、設計者や施工者の選定を進めます。

また、社内での意思決定プロセスとしては、弊社のファシリティ管理課は人事部に所属するため、会議においても人事に関わることと並列で都度報告をする場が設けられ、人事計画と連携してオフィス構築についての検討を行います。

さらに、大規模なプロジェクトであれば、社長の三木谷やマーケティング担当役員との会議も適宜設定しながら、プロジェクトを進めていきます。特にオフィスは目に見えるものであり、実際に使用する社員やお客様からの反応も出やすいので、三木谷自身もオフィス構築に関しては踏み込んで会議に参加しています。」

現状の基準値を基に要件定義を進める

それでは実際にどのようにファシリティの要件定義をしていくのだろうか。

「地方拠点のような小規模プロジェクトでは、机の位置一つで全体のレイアウトも変わるので、おおよその必要面積を決め、まず全体図面を描いてみて要望通りになるかを測ります。
大規模プロジェクトについては、現状のデータを基に一人あたりの面積等の基準値を使い、執務フロアや会議室エリアの検証を行います。それと同時に、カフェテリアなどその他特殊な要件については別途計画をしていきます。
また、会議室については、イスのない会議室をつくり、無駄な会議を減らすことで、会議室の数を最低限に抑えています。また、オープンなミーティングスペースをつくることで個室会議室を減らし、設備工事等コスト削減も行っています。」

スタンダードレイアウトを基本に個別対応をしていく

大企業になるほど、スタンダード化と個別対応の判断が難しいところだが、楽天はどのように対応しているのだろうか。

「基本的にはまずスタンダードなレイアウトを作成し、そこから個別対応が必要な事業部については、調整をしていく方法を取ります。

例えば、銀行や証券など、監督官庁からオフィスに関するガイドラインが出されていたりする事業部は、必要に応じて一定の区画を設けたり、コーポレート部門等の法的に書類保管が義務付けられている部門に関しては、収納量を増やしたりといった対応をしています。」

賃貸借契約時の交渉と工事の入札がコスト削減のポイント

社員数も多く、管理するオフィスの対象面積も大きい楽天では、ファシリティコストも相当なものであることが予想される。その中で、コストという観点からどのような点に注力をしているのだろうか。

「コスト削減の観点から特に注意しているのがビルとの賃貸借契約時です。まずは、賃料。弊社のファシリティコストで一番大きいのは賃料です。管理しているオフィスの規模も大きいため、ちょっとした坪単価の違いでも総額でみれば大きな違いが出ます。賃料は、最初の契約の時が重要であり、少しでも賃料を下げられるような交渉をしています。
併せて、空調や光熱費等についても契約時に交渉し、ランニングコストを下げる取り組みもしています。
また、工事区分については踏み込んで交渉を行っています。契約の際に、テナント側で施工業者を選定できる工事区分を増やすようにし、出来る限り設計や工事に対する柔軟性を確保できるように心がけています。
そして、契約後の構築フェーズにおいては、工事内容に応じて適切な業者にお声掛けをし、それぞれの工事項目毎に入札を行うことで、コスト削減に繋げています。」

組織変更対応はなるべくまとめることで運用コストを削減

「また、入居後の運用フェーズにおいても工夫を行っています。弊社では毎月組織変更があるのですが、ユニバーサルレイアウトとIPフォンを導入しているため、ちょっとした荷物の移動は個人単位で対応してもらっています。そして、大規模な移動や工事が発生するものは、なるべくまとめて行うといった方法を取り、コスト削減を図っています。」

これからのビジネス展開に合わせたファシリティ戦略が今後の課題

今後も更なる成長が期待される楽天。今後、どのようなファシリティ戦略を考えているのだろうか。

「現在楽天では、急速に事業領域の拡大が進んでいるため、そこに対応したファシリティを構築・運用していくことが、課題となっています。

新卒や中途の採用といった単純な人員規模の増加だけでなく、今後は地方展開による更なる拠点数の増加や経営の多角化による異業種との合併、そして楽天ビジネスの国際化に向けての対応が必要となり、人事部ファシリティ管理課としても、新しい試みが求められています。」

変化に対応できるようなファシリティづくりが重要

最後に、急成長企業に求められるファシリティ戦略とはどういったものなのかを伺った。

「入居後でも変更がしやすいようなつくり方をすることが重要です。現在のビジネスシーンでは、オフィスが出来た後で、経営や人事の戦略が変更になることは往々にして起こります。

そういった中で、ファシリティ構築において初期の段階で過大な投資をしすぎないことや、フレキシビリティの高いファシリティをつくることなど、当初の計画外の変更等が発生しても、俊敏に対応できるようなつくり方をしておくことが重要だと思います。」

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今回のインタビューを通して、ファシリティを経営資源として捉え、戦略的なファシリティ構築・運用を行うことが企業の成長には欠かせないことを改めて認識した。
楽天では、ファシリティ業務を人事部の中に置き、また経営層とも密な連携をとることで、将来の変化にも対応できるような、柔軟性を持ち合わせたファシリティ戦略を立て、実行している。
このように、経営の視点からファシリティを考えることで、長期的なコスト削減にも繋がり、投資効果の高いオフィスを実現している。
情報化やグローバル化が進み、常に変化し続けるビジネス環境への対応は、どの企業にとっても課題であろう。
そういった意味でも、更なる成長・進化が予測される楽天が今後どういったファシリティ戦略を打ち出していくのか注目していきたい。

プロフィール高橋 朋之

楽天株式会社人事部ファシリティ管理課に所属し、同社のファシリティ全般の業務を担当している。
主な担当プロジェクトとしては、現在の本社であり、グッドデザイン賞も受賞している「楽天タワー」、
2010年に新たに構築された「楽天タワー2号館」がある。
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