ライター:セッキ―
2025.01.31
今回は、10年前に移転したオフィスを全面リニューアルされたSBテクノロジーさんにおジャマしました!
実は筆者自身、まだライターとして駆け出しだったころ、このオフィスを取材させていただいたことがあり、そのときの広大な空間にただただ圧倒されてしまった記憶が、今でも鮮明に残っています。
特に印象深かったのは、ワンフロアおよそ1800坪という規模感を活かしたダイナミックな設計、そして、オフィス全体をぐるりと囲む「グリーンベルト」でした。
まるで昨日のことのように思い出されるその景色が、今回のリニューアルでどのように進化したのか…。期待を胸に、いざ新しいオフィスへ!
変わり続ける働き方、そしてリニューアルへの道
2014年2月、新宿イーストサイドスクエアに移転したSBテクノロジーさん。それからの10年間で、働き方は大きく変わりました。その変遷を振り返り、今回のリニューアルによってどのような課題解決を目指したのか、整理してみましょう。
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2014年 新宿イーストサイドスクエアに移転
2018年 東京オリンピックを見据え、全社的にテレワーク導入を開始
2020年 コロナ禍以降の働き方を見据え、オフィスワーク主体かテレワーク主体かを選択可能な制度を導入
2022年 円滑なコミュニケーションを目指しリニューアルを決定。社員アンケートを実施
2024年 8月 オフィスを全面リニューアル
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リニューアルに向けた課題とねらい
10年前のオフィス設計は、当時の働き方に合わせものになっており、時代とともに働き方が進化していったことでいくつかの課題が浮き彫りになっていきました。
△ 100%出社が基本
→◎ ハイブリッド勤務へ対応するために席数やスペースの見直しが必要
△ 固定化した執務席
→◎ 部署を超えたコミュニケーションの活性化を目指す
△ WEB会議の増加
→◎ フォンブースの新設や集中ブースの増設が必須
さて、これらの課題をどのように解決したのか。実際のオフィスの様子を見ていきましょう!
SBテクノロジーさんのオフィスで欠かせない特長といえば、やはり「グリーンベルト」。今回のリニューアルでこのグリーンベルトがどうなったのかは、気になるところですよね。
「グリーンベルト、どう進化したの?」
「そもそもグリーンベルトって何?」
そんな疑問を持たれた方も多いはず。
そこで、まずは執務室全体の平面図を使って、グリーンベルトの秘密に迫っていきます!
下記の画像のグリーンで塗られた部分が「グリーンベルト」です。
▼リニューアル前…出社して仕事をするための場所
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●グリーンベルト:オフィスの外周をぐるりと囲み、その上に多様な打ち合わせスペースや休憩スペースを配置。
●執務エリア:中央に長いテーブルが整然と並ぶ固定席。効率的に仕事ができる一方、部門を超えた交流が生まれにくいという課題がありました。
●「動」と「静」の区分:グリーンベルト上のスペースは「動」、執務エリアは「静」。メリハリはあるものの、偶発的なコミュニケーションや新しい発想が生まれる場としては課題が残る配置でした。
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▼リニューアル後…コミュニケーションやイノベーションを起こす場所
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●グリーンベルトの進化:外周にあったグリーンベルトが内側に伸長し、ワークエリアのほか新たに設けられた3つのエリアも含め、オフィス全体をつなぐ存在に。
●全席フリーアドレスを導入:固定席を廃止し、社員が業務や気分に合わせて自由に席を選べる環境に。
●曲線的なデザイン:デスクにも曲線的な形状を採用し、空間に柔らかさと動きをもたせることで、自然と活発なコミュニケーションが生まれる設計に。
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社員は、働き方についてオフィスワーク主体かテレワーク主体かを選択でき、現状では常時3~4割の方が出社されているとのこと。
また、設計会社選びには数社でコンペを実施。完全に新しいデザインにするよりも、これまでのSBテクノロジーらしさの特長となっていた「グリーンベルトを活かしつつ進化させる」デザインに票が集まり、前回と同じ設計会社に決定したそう。
ではお待ちかねオフィスツアーをスタートしまーす!
ご案内いただいた法務総務部の岩崎さん、広報部の馬場さんのコメントを交えてお届けします。
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【レセプション&ミーティングエリア】
そうそう、このエントランスの不思議なオブジェ。10年ぶりにまたやってきましたよ!
以前はたくさんのモニターがディスプレイされていた木目の壁には、未来を感じさせるラインアートが施されていました。社長がフリーハンドで描いたものをアートにしているそう!なるほど、凡人にはない発想です…さりげなくてとてもスタイリッシュ♪
右のほう、会議室が並ぶミーティングエリアに入っていきます。公園のような雰囲気ですね!
逆方向から見た景色。会議室のサインがドデカくて見やすいのは、リニューアル前と同じです。
社内外でオンラインミーティングの機会が増えたため、いくつかの会議室がハイブリッド仕様に!どこに着席してもディスプレイが見やすく、会議室側とリモート参加者側の視線を合わせやすい工夫がなされた半円型テーブルの会議室。湾曲したホワイトボードも特徴的ですね。会議室に設置されたカメラは、人がいるところを追いかけてくれる優れモノでした!
フェルトっぽい吸音材、こんな柄も初めて見ました!
大きなセミナールームは2つに仕切っても、つなげて広くも使うことができます。それにしても感性を刺激しそうな真っ赤なセイルチェアがずらーーーっと。かっこいい。
ではここからオフィス内に入っていきます~!外周をぐるっと一周しながら、3つの新設エリア【イノベーションエリア】【ウェルネスエリア】【カフェ・イベントエリア】からチェックしていき、最後に【ワークエリア】をご紹介してまいります。
おジャマしまーっす!
立派な祭壇!年度初めに会社の発展を願って祈祷を行うそうです!
窓際にいくつかこのような場所が出てきますが、隠れているのは電子レンジやウォーターサーバー、自販機など。出社人数に合わせて数を減らしたそうです。
【イノベーションエリア】
なんともさわやかな美しいカーテン!ステップで高さをつけていることで気持ちの切り替えができ、特別な空間になっています。
オフィス全体のトーンに合わせたグリーンと白のグラデーションがきれいなカーテン♪このカーテンでも、ホワイトボードでも空間を仕切ることができて、会議体にあわせて机も自由に変えられます。
なんだかハッピーなフラワーモチーフのテーブルが見えてきました!(名称:Blombo/ブロンボ)
寄りかかって会話が弾みそうなデザインがコンセプトなのだそう!交差点で人が出会うポイントにいくつか置かれていて、こんな感じで活用されているシーンが結構見受けられるとか♪
公園の入り口などにあるガードレールみたいなものも、このように腰かけて軽やかにワークできちゃいます!オフィス全体が大きな公園のような雰囲気です。
今回のリニューアルでかなり注力したという植栽。社員からは「自然光がたくさん入り、グリーンがあってリラックスできる」という強めのリクエストがあったのだそう。
岩崎さん「リアルに地面から生えているような植栽のデザインで、公園のような雰囲気を醸し出し、オフィス全体にリラックスした空気をもたらしています。さらに、レイアウトも非常に考え抜かれていて、天井裏にあるメンテナンス機材をうまく避けながらデザインされているんです。」
この植栽に沿ってワークポイントがあるんですが、板などで仕切るよりも自然な目線隠しになっています。贅沢!!
木の形のミラー、このオフィスらしさが出てますね。
さあ次はフロアの角部分、まばゆいほどのグリーンと自然光が差し込んでいますね!
【ウェルネスエリア】
社員の健康管理やリフレッシュを目的に新設されたグリーンたっぷりのこのエリアでは、トレーニングもできちゃう♪仕事もできるしランチも休憩もこちらで。
テーブル付きのエアロバイクでは新宿の景色を見ながらミーティングも!いいなぁ、これうちにほしいです!雲梯(うんてい)もあるんですね~。いや~健康的!
極めつきはケール100%青汁の自販機!レモネードもあります!
新宿の景色といえばこちらの席も贅沢ですね~ブラインド全部上げてくださいました(汗
高所恐怖症の方は要注意です。
【カフェ・イベントエリア】
広々としたカフェスペースがでてきました!石畳のような床やライトもステキで屋内なのにテラスにいるような雰囲気。ステージもあります!なんだか海外に来たような。
馬場さん「ここでは、通常のワークスペースとして利用できるだけでなく、昼食をとることも可能です。以前は大人数を集めたイベント開催の際は、(赤いセイルチェアが並ぶ)セミナールームを利用するしかありませんでしたが、今回のリニューアルでステージや必要な機材が備えられたことで、イベントやセミナー、朝礼など、多目的に活用できるスペースとなりました。また、今回オンライン配信対応となりました。」
こんな掘りごたつのようなスペースも。
こちらの椅子は馬場さんのお気に入りだそう♪ふかふかで心地いいです。
SBT marketと称したオフィスコンビニ。高層ビルはランチ時のエレベーターがなかなか来ないから、これは嬉しい♪
【ワークエリア】
外周をぐるりと一周チェックしたところで、【ワークエリア】をみていきましょう。
カーペットの色がグリーンではないエリアが全部で3か所。なだらかな曲線状のデスク、ローテーブル、ハイテーブルが置かれ全席フリーアドレス。さらにフォンブースや集中ブースなど必要な什器がワークエリアごとに一通りそろっています。
社員の要望が強かったのがモニター関連です。例えば、モニターアームの設置や画面のサイズに関するもので、画面の位置や向きの変更、2台使いも可能になり、オフィス環境が改善されました!
こちらの画像ではみなさん着席していますが、スタンディングワークが可能なハイテーブルもバランスよく配置されており、歩いている人との目線が合って談笑もうまれやすいですね。
岩崎さん「今までと違って、デスクとデスクの間をジグザグと通っていけるのもコミュニケーションを誘発するしかけになっているんですよね。みなさんの顔が見えて視線も合うので話しかけやすいです。」
ホワイトボードでゆるく囲われたチームテーブルでは、チームのミーティングやまとまった作業ができるような作りになってますね。
こちらは人気の集中ブース。
集中ブースに設置されているのはマルチタスクに最適な湾曲している横長モニターでした。長時間利用しないこと、飲食はしないこと、通話や会話をしないことなど、注意書きが置かれています。
集中ブースの付近にはフォンブース。
岩崎さん「今までは一人でも会議室を占有しているケースがあり、そのため会議室不足が深刻でしたが、フォンブースの設置でだいぶ会議室の有効活用が可能になりました。」
ワークスペースの中央あたりに柱があり、その付近にロッカーやクローゼットなどが集中しています。こちらのロッカーは大小あって、オフィスワーク主体の社員とテレワーク主体の社員で割り当てが変わるそう。
こちら、巨大な傘立ても!上部が開いているので湿気がこもらなくていいですね。移転する前のオフィスでは、傘立てがいつもごちゃごちゃしていた、との反省から、こんなきれいな傘立てになったそう♪雨の日が楽しみですね^^
ワードローブも通路の目線から隠れるように設置されています。
こちらは、パントリーコーナーですね。コーヒーマシンは某コーヒーショップのものと同じ機械が入っているとのこと。出社の楽しみが増えるというものです★
電子レンジはなんと1900Wでコンビニレベルのハイパワー!“お弁当あたため行列“のストレスを軽減したいとの配慮から。こうした小さなことの積み重ねによって、出社のストレスを軽減できるんですね、勉強になります!
ここまでで、オフィスツアー終了となります!
リニューアルプロジェクトインタビュー
岩崎さん 法務総務部(右)
馬場さん 広報部(左)
――今回は移転ではなくリニューアルというスタイルを選ばれました。同じ区画だからこそ「進化」感がよくわかりますね。
岩崎さん:ありがとうございます。この10年で変化してきた働き方に合わせてグリーンベルトも形を変えて進化して、「多様な働き方で挑戦し続ける」というビジョンに沿ったオフィスに仕上がったと思います。
完全に新しいデザインに変えるという案もありましたが、SBTらしさとして定着していたグリーンベルトを残すことで、居心地の良さ、安心感といったものも実現できたように思います。
――私も10年の時を経てまた訪問させていただき、感慨深いものがあります!
ただ、先ほどから大きな忘れ物をしている気がするんですが…
岩崎さん:そうですよね!(笑)こちら、まさに「挑戦」をテーマにしたウォールアートをご覧ください!
©KOSUKE OKUDA(画像引用元:OVER Alls公式ホームページ)
▼図面右下の矢印からオフィスに入るとすぐ目に入る場所に設置されている
岩崎さん:オフィスに到着しこれから業務をスタートする際に、行くぞ!と気合が入るようなアートです。これ、実際に社員が走るところを動画に撮って、それを絵にしているんです。この真ん中に走ってるのが私です!
――まさか社員さんとは!とてもダイナミックで躍動感あふれるアートですね!なるほど、コーヒーマシンや電子レンジはこのアートの裏側部分だったのですね。
馬場さん:今回、SBテクノロジーのシンボルとなる壁画を導入しませんか、とオフィスの設計を依頼したディー・サイン社からご提案を受けました。コンペを実施し、株式会社OVER Alls(オーバーオールズ)さんに描いていただいたものです。
代表の方とディスカッションを重ねる中で、こちらのビジョンやパーパスをもとにどういったことを表現したいのかということを丁寧にヒアリングしていただきました。
岩崎さん:グリーンベルトとリンクする芝生が描かれていることで、その向こうにつながるイメージが持てます。転びかけた人に手を差しのべている様子も、協力しあって挑戦していくことの大切さをよく表現していると思います。
――岩崎さんはいつもどのあたりを使ってお仕事していますか?
岩崎さん:総務カウンターという場所がありまして、そのあたりにいつもいます。カウンターに座ることもありますよ。
馬場さん:総務グループは、以前は他の社員と同じで長いテーブルの中の一画にいるという感じだったので、例えば新しく入社された方には分かりづらいとの声がありましたが、リニューアル後はカウンターを設けたことで格段に分かりやすくなりました。
――工事期間はどのようなご苦労がありましたか?
岩崎さん:フロアの半分に人員を寄せて、もう半分が工事しているという状況でした。そのときばかりはオフィスワーク主体の方にもテレワーク勤務を増やしてもらい対応しました。音が出る工事はなるべく土日にしていただくようにしましたが、やはり日中のにおい問題はありました。執務しているところとの境目にビニールシートのカーテンを天井からかけて仕切ったりはしてみましたが、なかなか厳しかったですね。
馬場さん:10年ぶりということで荷物が相当量あり、書類の廃棄などもあってかなり骨が折れました。キャビネットや袖机なども今回を機に相当減らしています。
――みなさん貴重なご体験をされましたね。
コミュニケーションの変化はいかがですか。
岩崎さん:今まで単に長いテーブルで固定席だったので、部署を超えての接点がほとんどなくて。朝来ても自席へとまっしぐら。でも今は変形テーブルの間をジグザグと歩くようになって、部署が違っても声をかけやすくなったんです。
馬場さん:先日社内ブログのための取材をしているときに、その場にいる人に写真撮影をお願いしたら気軽に応じてもらえて。オフィス全体に活気が出てきた実感があります。
実は2024年からドレスコードを解禁しまして、朝礼で代表から「今日からもうネクタイを外していきましょう」という声かけがされたんですね。私個人としてはすごく好感が持てました。
岩崎さん:オフィスをデザインされたディー・サインの今村氏と弊社代表の阿多が対談*した時、代表が上下白の服装で登場したんですよ!代表が率先して「カジュアルだけどおしゃれな服装」をしているので、僕も意識していきたいなと思いました。
※SBテクノロジーブログ/SBTのスベテ「本社オフィス全面リニューアルで臨むコミュニケーション戦略」
――社長さま自らドレスコード解禁を体現!スーツの人口が減るとだいぶ会社の雰囲気が変わりますよね!もしかしたら社内結婚とか増えたりしそうじゃないですか?^^
お二人:それはいいですね!
――ご報告、お待ちしております!
◆編集後記◆
いかがでしたか?
「オフィスに活気が出てきた」とはこちらまで嬉しくなりますね!
10年前から確実な進化を遂げていて感動もひとしおでした。
以前も外周に様々なスペースが配置され、集中する場所とコミュニケーションの場にメリハリがついた素敵なオフィスでしたが、10年という年月で働き方、出社の頻度、社員の生活も多様性が出てきて、一番パフォーマンスが上がるための対応をたくさん考えられてきたのだなと思います。その集大成が今回のオフィスリニューアルなのだと思いました。
今日はどこで仕事しようかな、と迷うほど多種多様なワークポイントがあり、出社したい気持ちを増幅するなあと感心するばかり。海外のおしゃれパークといった印象の、とにかく自然が盛りだくさんのデザインは、グリーンベルトの上を歩いていると本当に公園の中で過ごしているようで、心地よさ満点のオフィスでした。
今日はありがとうございました!
Information | SBテクノロジー株式会社 https://www.softbanktech.co.jp/
所在地:東京都新宿区新宿6丁目27番30号 新宿イーストサイドスクエア17階 PM:株式会社文祥堂 設計:株式会社ディー・サイン 壁画アート:株式会社OVER Alls |
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ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
ライタープロフィール
整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!
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