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気になるこの人!
オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

ライター:セッキ―

2017.07.13

一色俊秀:コクヨ/“オフィスカイゼン委員会”カイゼンマン
「全国のカイゼンを共有し、日本のオフィスを活性化したい!」

オフィス家具や文具等で有名なコクヨ株式会社さんが、「オフィスカイゼン委員会」を立ち上げてもう4年も継続しているのをご存知ですか?

皆さん一度は感じたことがあるような、オフィスの日常に起こるちょっとしたモヤモヤを「カイゼン」していく活動。オフィスを快適に美しく維持管理していくことが、ひいてはその会社の雰囲気、業績にまでつながるなんて、、、

数多くの日本企業のオフィスづくりを手掛けてきた、日本を代表する老舗企業。今日はそんなコクヨ株式会社にご勤務されて40年、オフィスの遍歴を知り尽くす一色俊秀さんが、「オフィスカイゼン委員会」の旗振り役としてご活躍しているとのことで、たっぷりお話を伺いました!

―まずはご経歴からお聞かせください。

77年入社当時はインテリアレイアウト室という部署で家具のレイアウトをするデザイナーでした。コクヨがオフィス家具だけでなくトータルでオフィス空間の提案をするようになり、設計部隊が立ち上がりました。ちなみに入社当時の写真です(笑)。

86年オフィス研究所へ異動し主にショールームの企画を担当。93年ごろ設計部へ戻り、その後RDIセンター、ソリューション開発室などを経て現在は提案マーケティング部に所属しております。

―コクヨさんといえば全国27カ所のライブオフィス(以下、LO)が有名ですが、だいぶ古くから始まっていたことに驚きました。

1969年からスタートしています。当時はLOではなく、「生きたショールーム」と呼ばれ、“仕事している姿をお客様に見ていただく”という、画期的な試みでした。社長室さえも開放しているような状態でしたよ。
                      ※ライブオフィスの歴史

―コクヨさんのオフィスの多くがLOということなのでしょうか。

そうです。LOの目的は3つあります。働く姿を見ていただくことによるイメージアップ、より良い環境を取り入れることによる社員の士気(モラール)アップ、新しいオフィスシステムを実際に体験することによる商品力や提案力のアップ、これでずっと続けています。いろんなオフィス環境を試されるわけですから、社員はモルモットのようなものですね(笑)。これだけ長くやっていますから、失敗も結構しているんですよ。

―興味あります!どのような失敗ですか?

ノンテリトリアル、今のフリーアドレスのようなものを導入したときは、若い社員はマネジャーのそばに座らない、とか、外でも仕事できる環境を作るとなかなか社員が帰ってこない、とか。大規模なものでは、無線LAN300人という環境をトライしたとき、営業開始初日に回線がパンクし、電話もメールもできない、お客様とまったく連絡が取れない、なんて状況になったこともありました。急遽有線を引きまわして大変な騒ぎでしたよ。

でもこういったことを体験しているからこそ、お客様にも自信をもって提案できるという自負はあります。一足先に失敗するためには、他の人より一足先に実行しているわけです。やってみないとわからないことが沢山ありますから、まずやってみて、一足先に失敗する、これがLOのポリシーです。

―なるほど。失敗体験があったほうが、提案にリアリティが出そうですよね。

―LOはオフィスカイゼン委員会の活動の実践の場にもなっているとお聞きしました。まず発足の経緯から教えてください。

二代目の社長が「オフィスは畑の土」と語っています。

畑の土が悪いと、どんなに良い種を植えても野菜や果物は育たない
畑をつくっても、耕し水をやり続けなくては美味しい野菜や果物は育たない

「オフィスが常に快適で美しく働きやすい環境を維持できていなければ、どんなにいい人材がいても良い結果は出せない」ということです。

オフィスは、つくったときは快適ですが年数を追うごとに劣化していきます。オフィスが劣化している会社はたいてい、社員の表情が暗く、挨拶に元気がなく、業績が良くないものなんですよね。7~8年前からオフィスの運用実態調査といって、移転後もオフィスの維持管理がうまくいっている企業様を取材し調査していますが、そういった会社は移転後の業績も落ちていないし、社員の方の雰囲気もびしっとしているんですよ。

ではどのように、オフィスを快適に美しく維持管理していけばいいのか。それを運用面からサポートするために自らの社内で実行し始めたのが、このオフィスカイゼン委員会なんです。

―どのように活動されているのでしょうか。

各部署から一名ずつ選出された「カイゼン委員」と私を含む2名の「カイゼンマン」とカイゼン事務局からなる委員会で、毎月の会議でカイゼン項目について話し合います。各人が改善したいと思う事柄を挙げてもらい、合計60個ほど集まった内容を見ながら、1人につき3票、これはやるべき、と思うものに票を入れます。「カイゼン委員」の仕事はここまでで、最後は「カイゼンマン」がその月に改善する事項を10個に絞り、毎月実行していくという活動です。

また、カイゼン結果は毎月の朝礼で発表、これを「よくなっ10(てん)」と呼んでいて、発表後には「よくなっ展(てん)」という壁に掲示していきます。

―もう4年も続いているなんて驚きです!続ける秘訣はどこにあるのでしょうか?

ひとつは、「カイゼン委員」は中堅社員にしていること。放っておくと「メンドクサイ仕事は新人に任せる」みたいになりますので、毎年上司から中堅社員を選出してもらっています。また、メンバーに負担をかけないよう、宿題なし予習なし、でやること。面倒なイメージがつくと一気にやりたくない仕事、となってしまいますよね。

最後に、面白がってやることが大切だと思います。最近では、喫煙室から出てきた人の衣服が臭いことへのカイゼンで、喫煙室の出入り口に消臭スプレーを置いたんですが、「二丁拳銃」と言いましてね、2人でお互いにスプレーをかけ合うんです。普通1個あればいいんですけどね、2個置いてそんなネーミングしたら面白いでしょ。

―確かに、印象にも残りますよね(笑)。楽しむことが重要ですね。

結構しょうもないカイゼンもやっているんですよ(笑)

―ぜひそのしょうもないやつをお聞きしたいです!(笑)

実は一番最初のカイゼンが結構しょうもないんですが、「男子便所のシャワートイレの水勢が弱すぎて、濡れるけど得たい効果が得られない」というものを私が出しました。みんな気がついていても言わないんですよね。ビルに言わないと改善できないですし。でも言ったら翌日には水勢が強くなっているんです。

―カイゼンレベルの敷居が下がりますよね。

そうです。日常の些細なことでも言えるようになるんです。それ以降「こんなことでもいいんですか?」と、女子トイレのカギが固すぎて開け閉めに苦労する、という声が挙がりました。これもビルに言えばすぐ直りました。敷居を下げることも続く秘訣だと思います。

―オフィスづくりに精通したコクヨさんだからできること、と思っていましたが、どこの会社でもできることなんですね。

ベースの考え方はHOP・STEP・JUMPです。初めての人でも迷わず働けること、「整理」「整頓」「清掃」の3Sで不便をなくすこと、それを維持して働きやすくしていくこと。

これをさらに霞が関LOでは、いかに面白がってやるか、と意識して活動しています。3S「すもうの心(捨てる・戻す・美しく)」として相撲の軍配を作り、これを週に一度の社内清掃の際に総務課長が持って見回ります。
特にこれで何かするわけではないんですけどね、手持無沙汰が解消されます(笑)。

※提案マーケティング部のお三方。右から一色さん、城間さん、出水さん。

―こうして取材させていただいていると、皆さんの明るくて楽しい雰囲気が伝わってきます。快適なオフィスを維持・運用できていると、社風も変わってくるのですね。

ありがとうございます。 オフィスの維持管理がきちんとできている会社のポイントは二つあります。

●挨拶が元気で他部門同士でもきちんとできる
⇒コミュニケーションの活性化ができている。他部門でも協力しようという気持ちが醸成されている。
●トップの想いを全員が共有している、みんなが同じように言える
⇒組織としての共通目的に全員で向かっている

私の一番の目標は「コクヨのオフィスを見ると、社員がめちゃくちゃ明るくてかっこよくて元気でオフィスもキレイ。コクヨさんの業績が良いのは社員がこういう感じだからなのか」と言われるような会社にしたいと思っています。なかなか実現は難しいですが、「いいオフィスを見たかったら、コクヨに来てください!」そんな思いでやっております。

―今後の抱負をお聞かせください。

オフィスカイゼン委員会WEBサイト」では日本の企業で実施されている様々なカイゼン事項を紹介していますが、それらの好事例をもっともっと共有できるようにしたいと思っています。全国のたくさんのカイゼン事例を見て「うちもやってみよう!」と取り入れ、日本のオフィスがもっと良くなっていく、会社としてのパフォーマンスが上がっていく、それが実現できたらいいなと思っています。

―ステキですね。今日はありがとうございました!

プロフィール一色俊秀(いっしき・としひで)

シニアデザイナー

コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部 マーケティング本部 提案マーケティング部

1977年入社、インテリアレイアウト室に民間オフィスの家具レイアウトを提案するデザイナーとして入社。86年オフィス研究所へ異動。ライブオフィスやショールームの企画等を担当する部署にて主にショールームの企画に従事。93年設計部へ戻りオフィス設計に従事。2004年RDI(Research Development Incubation)センターなどを経て、2015年提案マーケティング部に異動し現在に至る。4年前から発足したオフィスカイゼン委員会でカイゼンマンとして活躍するほか、セミナー講師なども担当。ユーモアをもって社内のカイゼン活動の実行に奔走する毎日。イラストデザインや水彩画も手掛ける。

コクヨ株式会社http://www.kokuyo.co.jp/
オフィスカイゼン委員会WEBサイトhttps://www.kokuyo-furniture.co.jp/kaizen/
セッキ―

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ライタープロフィール

整理収納アドバイザー(準一級)、防災士。2014年入社、当社で初めてライターに挑戦。キャリアのスタートは銀行員、その後リクルートグループ、大手税理士法人、スポーツアパレルなど複数の事業会社で管理部門、企画部門、秘書などを経験しながらカルチャーショックのシャワーを浴びまくる。2度の高齢出産を経て復職し、現在家事・育児・リモートワークに奮闘する毎日。無類のコーヒー好きで趣味はハンドメイド。いつかはインタビューされる側になりたい!

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