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オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

2010.11.10

齋藤敦子:コクヨ株式会社/RDIセンター
「経営視点から考えるワークプレイス戦略」

今回のインタビューを通して、私は齋藤氏に対し「未来のオフィス業界を担う女性開拓者」という印象を受けた。
オフィス業界という男性比率の高い世界に20年間身を置きながら、女性として自らの道を切り開いてきた齋藤氏の言葉の端々からは「働き方」や「オフィス」というテーマに対する思い入れや、一人の人としての強さが感じられた。
齋藤氏は「RDIセンター」という研究・開発部門に所属し、その主幹研究員として、ワークスタイルに関する研究や新規サービス開発を行う傍ら、ワークプレイス情報誌「CATALYZER(カタライザ)」の編集長も兼務している。「CATALYZER」では、先進的な働き方を実践している企業への取材を通して、新たなワークプレイスやワークスタイルについての発信を行っている。
齋藤氏の活動の中で一貫しているのは、オフィスをそれ単体で考えるのではなく、経営の視点から考え、新しいワークスタイルを実現するための手段として捉えていることである。

今回は、その齋藤氏に、現在の取り組みだけでなく、これまでの業務内容の移り変わり、そして将来の展望までを含め、オフィスに対する考えを伺った。

納品をするための設計

「学生時代は、多摩美術大学で空間デザインを専攻しており、場を創ることに興味を持っていました。多くの同級生が店装系や設計会社への就職を決める中で、私は、ただプロダクトを作りたかったわけではなく、多様な人々が共に何かを生み出していく場としての「オフィスを創る」ということに関心があり、コクヨへの就職を決めました。
 その頃はオフィスビルの再開発も頻繁におこなわれていた時代で、十数人から数千人規模まで大小を問わず、数多くのオフィスの設計と納品を担当しました。当時の業務は「オフィスを創る」という感じではなく、いつまでにデスクを何台用意し、どう収めるかというような調整業務が大半で、「納品をするための設計」という感じでした。その中で、オフィスの仕事はたくさんの関係者との調整が必須であり、調達・施工・運営もふくめたデザインが必要であることを学びました。」

チャンス到来

「それから程なくして、日本はバブル崩壊を迎え、物が売れない時代となりました。単純に家具を売るだけではなく、その使い方や運用の仕組みといったソフトの部分も合わせて売る必要が出てきたため、企画やコンセプトワークが得意だった私は、「チャンス到来」だと感じました。

そして、1997年ごろにはPCと携帯電話が普及し、情報化社会に進むなかで働き方にも大きな変化がおとずれ、より一層オフィスのソフト的側面や働き方というところへの関心が高まりました。私の仕事も、経営者へのプレゼンテーションや、エンドユーザーの意識調査、ワークショップなど、企業に入り込んでワークスタイル変革を全面的にサポートするといった仕事にシフトしていきました。表面上の効率化ではなく、その企業の社員と共に、「自社のビジネス戦略を実行し、目的を達成するためには、どのような働き方、コミュニケーション、マネジメントにすれば良いのか」を考えることは、非常にやりがいのある仕事だと感じました。」

リサーチ&ディベロップメント&インキュベーション

「2003年に、コクヨの研究・開発機関であるRDIセンター(リサーチ&ディベロップメント&インキュベーション)の立ち上がりと同時に移籍をしました。移籍をしてからは、研究はもちろん、実際のプロジェクトや新規事業の開発にも取り組んでいます。
 リサーチの分野では、「CATALYZER」を制作する中で、企業の経営者や国内外の先端オフィスへの取材を通して、オピニオンの方はワークプレイスについてどの様に考えているのか、現代の企業はどのような課題を抱えているのかということをリサーチしています。そういった近未来のニーズを収集することで、この先どういう働き方へと変化していくのかということを先読みし、その働き方を実現するための手段の一つとしてオフィスを考えています。そのため、「CATALYZER」では、オフィスを個別の事例として紹介するのではなく、読む人にとっても再現性のある内容で編集するように心がけています。2011年春には、さらにワークプレイスのソフト部分にも踏み込んだ新しい媒体を立ち上げる予定です。

また、プロジェクトの分野では、オフィスの設計だけではなく、都市や地域といった大きなスケールの仕事もしており、例えば福岡の再開発計画にもアドバイザーとしてお手伝いをさせて頂いています。
福岡市の東西を走る「明治通り」沿いのオフィス街に建ち並ぶビルは新耐震以前のものも多く、建て替えの時期に際しています。せっかく建て替えるのであれば、個別にビルを建て直すのではなく、街の賑わい性、界隈性を取り戻すために街全体として再開発の計画を練ろうと、街とオフィスやそこで働く人々がどう関わっていくべきなのかという根本的なところから、地元の協議会や企業の方々と共に考えています。

イノベーションの分野では、主にオフィスのソフト的側面から、新しいオフィス向けのサービスや文具、家具、ITまでを絡めた運用システムの開発を行っています。現在は、エコとクリエイティブをテーマにしており、自社のオフィスも「削減するエコではなく創造するエコ」というテーマの基、ワーカーのパフォーマンスを上げるエコを実現するソリューションの実験の場としています。」

オフィスをやってきてよかった

「オフィスを20年やっていてよかったとつくづく思います。オフィスの仕事は多くの分野と関わりがあり、たくさんの人と出会うことが出来る上、顧客とも経営幹部から一般社員、パートナーも含めて、組織文化や風土の話にも踏み込むため、色々な人の考え方に触れることが出来るからです。  また、オフィスを少し覗くだけで、その会社の文化や風土を垣間見ることが出来ます。オフィスは、多種多様の人や物や情報が関係し合う中であらゆる問題が複雑に絡み合って存在している”社会の縮図”とも言える空間です。そういった視点に立ち、デザインという側面から企業やオフィスについて考えることは私にとってとてもやりがいのあることです。」

まだまだオフィスでやれることはたくさんある

「働き方やオフィス改革でビジネスも大きく変えた経営者にインタビューをした時、口を揃えておっしゃっていたのは、「みんな机に向かってまじめに仕事をしているのになぜかオフィスの雰囲気が暗い」ということでした。オフィスで起こる日常のちょっとした現象をひも解いていくと、表面には表れていない様々な問題が隠れています。そういった潜在的な問題に対しても、オフィスという面から解決できることは多くあるはずです。

 また、「CATALYZER」をやっている中で、40人を超える経営者にインタビューして感じたのは、オフィスを含めた「環境」という言葉と「組織」や「文化」といった言葉は同じ意味で使われており、働く環境のありようと組織文化の発達には密接な関係があるということです。インターネットが普及してきて、社員が分散していても仕事が出来るようになりましたが、実際に集まって理念を共有したり、企業の文化や風土を育んでいくには、Face to Faceのコミュニケーションは欠かせません。そういった視点から、空間の質や柔軟性について考えることは、今後より一層重要になってくると思います。」

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企業成長の源泉である人材について考える上で、ワークスタイルやワークプレイスに注目している経営者が増えている。一昔前まで、オフィスはコスト削減の対象や人材を管理するための器として捉えられがちであったが、現在では人が知恵を育み、新たなビジネスを創造する場として考えられるようになってきた。
そういった意味で、「オフィス」や「働き方」という切り口で企業の経営課題の解決を試みる齋藤氏の取り組みは、今後ますます重要性を増してくるだろう。
 企業の創造性や生産性の向上といった課題は10年前も今も変わらず、将来に渡って不変の課題として存在すると考えられる。その中で、時代の変化と共に彼女がオフィスという分野からどの様な提案を打ち出していくのか、今後の活躍に期待したい。

プロフィール齋藤 敦子

1991年に多摩美術大学を卒業しコクヨ株式会社に入社。
東京設計部に所属し、オフィス設計に携わる。多くの企業の設計・プランニング業務を担当。
2001年にデザイナーとして参画した(株)リンクアンドモチベーションのオフィスでは
「日経ニューオフィス賞経済産業大臣賞」を受賞。
2003年にコクヨの研究開発部門であるRDIセンターへ異動。
主幹研究員として、ワークスタイル、ライフスタイルの研究活動へと仕事の幅を広げる傍ら、
ワークプレイスの情報誌【CATALYZER(カタライザ)】の編集長も務めている。
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