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気になるこの人!
オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

2010.07.07

仲 隆介:京都工芸繊維大学 デザイン経営工学部門/教授
「日本を元気にしたい!」

人生の中でも、多くの時間を過ごすオフィス。
ただ残念ながら日本においてオフィス環境を専門的に研究している人はまだまだ少ない。そんな中、オフィス創りへの強い情熱を胸に、いま最も精力的に活動をしているのが京都工芸繊維大学の仲教授だ。

記念すべきVol.01では、仲教授に現在の活動やこれからのオフィス創りに求められる考え方についてお話を伺った。

仲教授とお会いしたのは都内某所。丁度東京に出張が入っているからと、多忙なスケジュールを調整いただき、今回のインタビューが実現した。
長身でスリムな身体に茶色のスーツを身に纏い、スーツケースを片手に颯爽と現れ、「どうもどうも!」と気さくなあいさつと笑顔で登場された。
現在週一回ぐらいのペースで、都内でも活動されているとのこと。ご挨拶を早々と済ませ、早速現在展開されている活動についてお話を伺ってみた。

新世代のオフィス研究センターを作ることでオフィス業界を活性化

「いろんなテーマで研究活動をしていますが、その中でもオフィス環境の研究で現在中心となっているのが『新オフィス研究センター(NEO)』での活動です。」

NEOは2007年に設立され同氏がセンター長を勤める、オフィスに関する最新の研究を行っているセンターだ。
知識創造活動が企業の競争優位性を左右する重要なテーマとなっている現在、その舞台となるオフィスにいま求められるのは、家具をただ配置するだけでなく経営学、建築学、環境行動学、情報学、心理学など多種多様な分野の知識と技術を駆使した「環境」づくりである。

このセンターでは、新世代のオフィス環境を探求するために先進的オフィスについて研究を進めるとともに、日本におけるオフィス関連研究分野のプラットフォームとして国内外での研究活動、人材育成、国際交流・協力の推進に努めるほか、最新の研究成果を社会に還元することを目的としている。

”集合知”で新世代オフィスをあぶりだす

「去年の9月、NEOの活動成果の一環として『オフィスの夢』という本を出しました。総勢100名ぐらいが参加し、大学や様々な業種の企業の方々、学生も含めてみんなで協力して作ったのですが、これがおもしろかった。

日本のこれからのオフィスについて、1つの方向性を導き出したというよりも、参加者全員で考えたことがパーツとして機能し、全体像が浮かび上がる”集合知”として新世代のオフィスをあぶりだすことができました。これは既存の枠組みを超えて作られた、1つのすばらしい成果だと思っています。」

”人”にフォーカスしたオフィス環境づくりと人材育成の重要性

では、なぜこのような研究センターを立ち上げたのだろうか。現在のオフィス創りにおける課題を聞いてみた。

「現在の日本のオフィスは、残念ながら多くの人が貴重な人生を過ごす場所としてふさわしい環境とはとても思えないんですね。

実際にオフィスを使う”人”にフォーカスをして作られているオフィスは極めて少ない。多くの場合はコスト削減対象の視点で作られる。その理由はオフィス環境が組織活動、強いては企業活動に多大な影響があると認識している経営者や施設担当者が少ないことなんです。
また、オフィス環境を成立させるためにはワークスペース(建築や家具等)に留まることなく、ワークツール(ICT等)やワークスタイル(人事制度等)などこの3つの要素の統合が必要なため、難しくなっていることも挙げられます。

そのために、研究活動を通して知見を蓄積し、経営者に対してオフィスは投資対象であるという説得力を高めること、そして高い視点でオフィス環境を構築できるような人材育成を行っていく必要があると思い、このセンターを立ち上げました。

センターが業界の枠組みを超えた学術的なコラボレーションプラットフォーム、強いては新世代のオフィス創りにおけるオープンイノベーションセンターにしたいと思っています。」

自営業の父親の影響で独立志向が芽生え建築の道へ

そもそもどうしてオフィス業界に興味を持ったのだろうか。建築学科出身であれば、純粋にビルなどの設計に携わるという道もあったかと思うが。
「建築学科へ進学したのは、将来独立できるし、国語が苦手だったし、単にかっこいいと思ったから(笑)。独立志向は運送業を営んでいた父親の影響で、『鶏頭牛尾』という考えが常に頭にありました。」

沖塩荘一郎先生から学んだ建築やデザインの面白さ

「結局、東京理科大の建築学科に入ったのですが、その時に日本電信電話公社で建築をされた後、教壇に立たれていた沖塩荘一郎先生の研究室の1期生として入り、そのまま大学院にも進みました。この時に建築やデザインのおもしろさを知ると共に、情報化という切り口でもいろいろと勉強ができたのです。

卒業後は設計事務所に就職するも、所長が亡くなられたため、事務所は解散。当時不景気で行く当てもなかったため、沖塩先生のところで助手として再びお世話になることに。

その時に先生がオフィスの研究をされていて、海外からFMの概念とかを日本に持ってきたんですね。僕も論文を出さないといけないため、オフィスの研究をはじめたわけですが、そこからですね。オフィス環境に次第に興味を持ち始めたのは。」

ボストンのMITで学んだオフィスづくりの面白さ

1994年にはアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)建築学部の客員研究員として渡米。

その時に出会ったのが当時ワークプレイスの研究で著名なマイケル・ジョロフ教授や都市計画における情報分野で世界的第一人者のウィリアムJミッチェル教授だそう。

「マイケル・ジョロフ教授からは私が当時取り組んでいたオフィスのスペーススタンダード研究は、情報化により環境が大きく変化しようとしている中で意味がないと言われ、これを読みなさいと渡されたのがFORTUNEでした。

毎月目を通してみると、経営誌なんだけどオフィスに関する記事が毎号出ていて、中にはオフィスデザインの話も掲載されていました。経営者はコストの視点だけではない、経営の1つの重要な要素としてオフィスにも関心があるのだと、はじめてその時感じました。

また、同じ時期に情報化社会における建築・都市の視点からオフィスやFMにも造詣の深いウィリアムJミッチェル教授との出会いもあり、ここから本格的にオフィス環境に興味を持ったんです。現在に至る経緯は、すばらしい先生達

オフィス環境という切り口から働く人を活性化し、日本を元気にしたい

日本に留まることなく、海外での様々な出会いや経験も現在のご活躍に深い関わりがあった仲教授。これからの展望や夢について伺ってみた。

「ビジネスモデルが大量生産でよい<モノ>を多くの人に提供することから、多様な<コト>を望む人たちだけに届けることにシフトしているのが現状です。働く人が生産性高く<コト>を生み出していくには、当然生産現場であるオフィス環境をいままでとは変える必要があることは明らかです。

人の行為は物理的環境に大きく左右されるので、オフィスの創り方次第で、そこで働く人のワークスタイルが変わり、コミュニケーションが変わり、インタラクションが変わる。インタラクションが変われば、相乗効果として<コト>を生み出すスピードも変わります。

そうすれば、いままで以上に成果が出しやすくなり、やりがいが増し、職場が活性化し、日本も元気になると信じています。僕は今後もオフィス環境という切り口から働く人を活性化し、日本を元気にしたいと思っています。」

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時代が変われば働き方が変わる、働き方が変わればオフィスも変わる。そして・・・働き方が変わらなければオフィスを変える!見方を変えると、オフィス変革は目に見える施策なので、働く人も影響を受け易いし、経営側からの意図や意志を伝え、舵取りの変更を後押しするのに適した方法でもある。  

今回の仲教授の話をお聞きし、「投資対象としてのオフィス環境」という概念をもっと世の中に発信し、経営者をはじめとするオフィス創りに携わる方々への認識を高めことで、この未曾有の時代を企業という組織体がもっとうまく適応できるようになるのではないかと改めて思った。

いくらすばらしいビジネスモデルを描いても、実際にそれを実行するのは”人”なのである。この”人”にフォーカスをし、より生産性が高く、やりがいのある仕事、強いては人としての幸せになるための一助として、オフィス環境を積極的に”活用”することを日本の企業はもっと考えてもよいのかもしれない。

プロフィール仲 隆介

1957年大分県生まれ。1983年東京理科大学大学院修士課程修了。1983年PALインターナショナル一級建築士事務所。1984年東京理科大学工学部助手。1994年マサチューセッツ工科大学建築学部客員研究員。1997年宮城大学事業構想学部デザイン情報学科専任講師。1998年同大学助教授。2002年京都工芸繊維大学デザイン経営工学科助教授。2007年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン経営部門教授。

新世代オフィス研究センター長、日本建築学会情報システム技術委員会幹事、日本建築学会情報システム技術委員会シンポジウムWG主査、日本建築学会情報システム技術委員会情報社会デザイン小委員会行動センサリングWG主査、公共建築協会次世代建築研究会新ワークスタイル部会長、国土交通省知的生産性研究委員会建築空間部会委員、日経ニューオフィス賞審査委員など、様々な機関で研究、啓蒙活動を展開するとともに、様々な企業においてワークプレイスデザインを実践している。

【著書・論文等】
「Collaborative Design and Learning: Competence Building for Innovation」(co-author), PRAEGER, 2004 「知識創造のワークスタイル」(共著)、東洋経済新報社、2004
「Post Office」(共著)、TOTO出版、2006
「オフィスの夢」(共著)、新世代オフィス研究センター、2009
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