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オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

2011.02.09

岩本裕:株式会社リアルゲイト/代表取締役社長
「入居者の満足度を追求したビル設計と運用」

2010年3月、東京・青海にオープンした世界最大級のSOHOオフィスビル「the SOHO」。
あらゆるジャンルのトップクリエイター達がコラボレーションし、「仕事=遊び」というコンセプトの基、新たなワークスタイルの実現と世界への発信を目的につくり上げられた新感覚のレンタルオフィスとして注目を集めている。
この建物の最大の特徴は充実した共用部で、ライブラリーやビリヤード台を設置したロビーラウンジから、バーラウンジやスパ、フィットネスルームに至るまで、オフィスとは思えないほど豪華な設備が揃っている。更に、1Fの大部分を占める屋外スペースのパティオやスカイテラスは,休憩スペースとしてはもちろん、イベント会場としても利用され、入居者の交流の場となっている。

この「the SOHO」を発案・プロデュースし、現在もプロパティマネジメントとしてリーシングや広告戦略、更には交流イベント等の企画まで行っているのが岩本氏である。 今回は、「the SOHO」の企画から入居率90%に至る現在までの苦労や岩本氏自身の今後の展望について伺った。

■株式会社リアルゲイト http://www.realgate.jp/

ソフト・ハードの一体的な運用が鍵

 「現在はリアルゲイトの代表として、『the SOHO』だけでなく、昨年、日の出にオープンしたオフィス、カフェ、イベントスペース等を併設したクリエイティブスポット『TABLOID』のプロパティマネジメントを担当しています。単にプロパティマネジメントと言うと、物理的な建物維持・管理やリーシングだと思われるかもしれませんが、私たちは、このビルの資産の価値を高めるため、広告戦略の立案やイベントの企画といったソフトの領域も手掛け、幅広くプロデュース業務を行っています。
特に、昨年の4月にグランドオープンした『the SOHO』は、ゼロから手掛けたプロジェクトで、コンセプトからそれを実現する空間、そしてその使い方までしっかり考え抜いたうえで、ハード・ソフト両面から運用を行っているところが成功の秘訣だと考えています。」

自殺行為と言われた立地選択の裏側

「もともとこの『the SOHO』の土地は、周りを観光施設を初めとする第三セクターに囲まれ、法的な規制も多く、ゆりかもめも便が悪く、ビジネスをするにはとても不便な立地と考えられているため、誰も買わずずっと空いていた土地でした。不動産マーケットでもここにオフィスビルを建てたところで、入居者から受け取れるのはせいぜい坪8~9千円が良いとこだと推測されていたため、ビルを建てることは自殺行為とまで言われるほどでした。
しかし、私はこの立地にSOHOという形態でビルを建て成功するということを初めから確信していました。

もともと私は、前職でマンション企画販売をしていたのですが、10年前ぐらいから湾岸で次々とマンションが建った時、少数派ではありますが、必ずと言っていいほど、マンションを事務所登記したいとか、事務所表示したいという人がいました。  
  日本で供給されているSOHOオフィスは、法律上のメリットがあるため、住居を事務所利用するという形のものがほとんどですが、逆に、事務所として堂々と受付や会議室を持たせることで利便性を向上させ、交流会等を設置することで、ビジネスにおける付加価値も生み出しています。

さらに、この立地は、周りも静かで、景色も抜群に良いため、こもってゆったりと仕事をしたいクリエイター等の人々にはもってこいの条件だということを感じ、必ず一定以上のニーズがあると確信を持っていました。結果、リーシングを始めて10カ月で9割の部屋が埋まり、平均坪単価も相場を上回る1,4000円ほどをキープすることが出来ています。」

入居者の求めるものを追求

「今回の『the SOHO』の設立にあたっては、各業界のトップクリエイターの方々の協力を得ながら進めました。もちろん、話題性のあるクリエイティブな空間をつくりたいという目的もありましたが、その裏には、クリエイターを主なターゲットとしてリーシングをするにあたり、そもそもクリエイターという職種の人が、オフィスや住居に対して何を求めているのかを知りたいという思いがありました。
クリエイターコンセプトから話を進めていく中で一番意見が強かったのは、一人では生み出せなかったものを、他の人から受けるインスピレーションや、コラボレーションによって生み出していけるクリエイティブワークを促進する施設にしたいという思いでした。

『the SOHO』で行っている月に一度のイベントやWEBマガジンは正にその一環で、リーシングの開始時期からこういった他のクリエイターとの交流の仕組みがあるということを売り出していました。
 他にも、音楽プロデューサー藤原ヒロシさんにここを使ってライブイベントを打ってもらい、1000人近い人を集め、交流会を兼ねた入居説明会を実施し、実際にコラボレーションの機会を肌で感じて頂けるような工夫もしていました。
 ビルをつくっていく上で、そういった交流を実現する場として実際のターゲットの目線からのアイデアが豊富に出てきたことが、クリエイターの方々とのコラボレーションの一番の価値だったのではないかと思います。」

■the SOHO WEBマガジン http://www.sohomember.com/

気持ちよく生活できるような環境整備

 「クリエイティブワークを押し出したPRをした分、入居者もクリエイターに限らず、本当に横の繋がりを求めている人が集まって頂いているので、毎月開催しているイベントも大盛況しているだけでなく、そこから仕事上のコラボレーション等も自然と生まれるいい循環が出来ています。  その一方で、多くの人が交流する機会や、共用の場所を多く用意している分セキュリティーやプライバシーにも気を遣い、しっかりとルールを作って入居者に不快感を与えないような配慮をしています。

 例えば、交流会では各クリエイターの宣伝や紹介、掲示板等へのチラシの設置といった露出は平等になるように調整しています。また、共用部の使い方も、文字を羅列した読みにくい規約ではなく、わかりやすいグラフィックを使った利用規則を作っています。
更に、私たち自身がここに住み、働くことで、24時間目を通せるようにすると共に、利用者の立場で考えてビルをよりよくしていく環境をつくっています。
 それが、別の面では、入居者との距離感を近づける良いきっかけの一つともなっています。」

付加価値が優位性を発揮する

 「ビル内にBARやスパを設置したり、交流会を開催したりといった取り組みは、多くのビルオーナーにとっては必要のない機能だと批判を受けることもありました。ビルオーナーの方々は普通に賃料が入って、普通の施設だったら良いと考える傾向があり、特に現在の様な供給過多のマーケットにおいては、そのために他のビルと比較したときの優位性を発揮しきれずにテナントを誘致できないという状況に陥りがちです。しかし、『the SOHO』では実際にそういった一見過剰に見えるサービスの充実が本当の意味で入居者の生活を豊かにし、また交流を促進して、ビル全体の雰囲気を活性化させるキーコンテンツとなっています。そういった入居者の求めるものにとことん応えていく姿勢を貫いていくことが、私たちの使命だと考えています。」

成功を次に繋げていきたい

 「今後は、更に『the SOHO発』という形で、内部で何かを生み出し発信をしていきたいと考えています。入居者同士の繋がりを多く作れるような取組を続けていく中で、外からの依頼に対して『the SOHO』が一つの会社のように仕事を受け、それに対して入居者同士の協力によって応えられるようになってしていきたいと思います。そうなることが、このクリエイティブワークを生み出す空間としての一つの成果だと思いますし、せっかく『the SOHO』に入って頂いた方々に対する恩返しにもなるのではないかと思います。

 また、私個人としては、『the SOHO』や『TABLOID』の成功をバネにして、今までなかったような、オフィスビルやマンションを日本につくっていけたらと思っています。お金があれば質の良いものは作れますが、私たちが出来るのは、お金を掛けるだけでは生み出せないようなアイデアで勝負することです。先程もお話したように、一見無駄に見える施設や機能を取り入れることは、その必要性や根拠を示すことが難しい現状です。そういった意味で、今回の『the SOHO』の成功は、直接利益には繋がらない豪華なエントランスや、カフェやラウンジなども利益を上げるための施策となりうるということを示す良い根拠になるのではないかと思います。」

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 今回お話を伺う中で、岩本氏の入居者に対する真摯な態度や配慮の姿勢がとても印象的であった。個々の入居者の人柄や活躍ぶり、イベントでの出来事等を嬉しそうに話してくださる姿からは、まるで友人や家族の話を聞いているかのような思い入れの強さが感じられた。
そういった彼の思いや人柄が「the SOHO」という新しいスタイルのSOHOオフィスを生み出すアイデアの源泉であり、かつ、オープン後の盛況ぶりを支える土台となっているのだろう。
特に現代の様な、ものが溢れ、淘汰される時代においては、岩本氏のようなユーザーの求めるものを追求し、それに対して、他に流されず自分なりのアイデアで応えていく姿勢が求められるだろう。
 実際に、岩本氏が代表を務めるリアルゲイトでは、「the SOHO」の成功をきっかけに、様々な仕事の依頼が来ており、都内某複合施設のリノベーション物件プロデュース業務も控えているという。
 これまでになかったワークスタイル、ライフスタイルを実現する空間をつくっていきたいという岩本氏。今後どのような提案を世の中に打ち出していくのだろうか。期待は高まるばかりである。

プロフィール岩本 裕
1973年9月20日生まれ
東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業
一級建築士・一級建築施工監理技士・宅地建物取引主任者

ゼネコン・デベロッパー勤務を経て、トランジットジェネラルオフィスに入社。
社内ベンチャー制度を利用して、不動産コンサルの子会社「リアルゲイト」を立ち上げ代表を務める。
2004年よりtheSOHOのプロジェクトリーダーを務め、土地の購入から企画・運営まで一貫して、プロジェクトの進行・管理を行う。
現在は、「theSOHO」の運営事業をはじめ、コンバージョンオフィス「TABLOID」のプロパティマネジメント業務など、数々の
プロジェクトを手掛け日々精力的に邁進中である。
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