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オフィスに関わるあんな人こんな人、ご紹介します!

2011.03.08

齊藤正明:ネクストスタンダード代表/マグロ船式 職場活性プロデューサー
「マグロ船で学んだ職場活性化術」

皆さんは「マグロ船」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。

おそらく「きつくて危険な職場」、「借金を背負った人が行く場所」といったマイナスのイメージを持つ人が多いのではないかと思う。
今回取材をさせて頂いた齊藤氏は、自身のマグロ船での経験を著した「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ(マイコミ新書)」を出版し、ベストセラー書籍として世の中のマグロ船のイメージを大きく変えた人物である。
同氏はもともと企業の研究員であったが、ひょんなことからマグロ船に乗ることになり、そこで見聞きした漁師たちのコミュニケーション術のすばらしさに感銘を受けた。 その経験を活かして、現在は職場活性化プロデューサーとして企業のコミュニケーション活性化のお手伝いを中心業務として活躍している。
今回は、そんな齊藤氏に、マグロ船で得た貴重な経験や、それを活かした職場活性化の方法について伺った。

■ ネクストスタンダード ウェブサイト http://www.nextstandard.jp/

マグロ船での経験が今の自分を形作っている

「現在は、主にマグロ船で学んだ職場をイキイキさせる手法について、企業研修や講演を通じてお伝えしています。それ以外にも、会議術の研修や書籍の執筆活動、個人向けの人生相談等もやらせて頂いています。
元々は新卒で入った会社の研究所が無茶なことを社員に押し付ける傾向があり、それが原因で病気になる人や会社を辞めてしまう人が多く、本社からは、「ゾンビ製造工場」と呼ばれていたほど理不尽なことが多い部署でした。
そこでのある日、私自身も会社からの理不尽な命令によってマグロ船に乗ることになったのですが、私が乗ったマグロ船に関しては、狭くて不便な環境だからこそみんなで助け合う、とてもすばらしい文化を持つ職場でした。
そこでの経験を用いて、自分の会社はもちろん世の中の会社もイキイキさせられるのではないかと思うようになり、自社の変革活動や書籍の執筆を経て、現在に至ります。」

漁師の一言がマグロ船への乗船を決意させた

「現在は、そのマグロ船で学んだことが、私の仕事の源泉となっており、逆にこの経験に感謝しているくらいです。
右も左もわからずマグロ船への乗船手続きを進める中で付き添ってくれた船長が、マグロが取れる船と取れない船の違いは、決断力だということを教えてくれました。マグロを釣るためには様々な情報を集めて漁場を絞っていくのですが、最後は2択になるそうです。そこで、「更に情報を集めれば正確なマグロの居場所が分かる!」と考えて迷ってしまう船は結局、いつまでも決断できないことで漁の回数を減らし、その結果、マグロを大漁に持って帰ることが出来ないのです。それよりも、サイコロを振ってでも最後の決断を下し、間違えたら反対に舵を切れば良いというぐらいの思い切りを持てる船が成功すると教えてくれました。
そんな漁師の機知に富んだ話を聞き、今の社会人生活を続けているよりも、マグロ船に乗る方が、何かを得られるかもしれないと思い、乗船を決意しました。」

マグロ船流の新人教育

「マグロ船は思っている以上に狭く、20mぐらいの大きさの船の中で9人が40日間を共に過ごすことになるので、メンバー同士がとても接近した状態での生活となります。そのため、とてもストレスの溜まりやすい環境です。 
しかし、喧嘩をしてしまうと漁にならず、自分たちの稼ぎも少なくなってしまうため、人間関係を良好に保つ力が必要になります。
右も左も分からない若手の人には注意が必要な環境ですが、ベテランの漁師たちは、あえて厳しい教育をしたりしません。それだけ船員同士の距離が近い分、指導者と被指導者という関係になってしまうと、新人は常に監視されているような気持ちになって心が離れてしまい、命に関わるような船の異常があっても報告等をしてくれなくなってしまうことがあるのです。

そこで漁師たちがとっている方法は、アドバイスを3つして、その中で出来ないことではなく、出来るようになったことに目を向け、褒めてあげるというものです。そうすることで、新人は「気にかけてくれている」という安心感を得るだけでなく、逆に「残りの2つもやってみよう」という気になり、円滑に新人教育が出来るのだと言います。」

マグロ船流のコミュニケーション術

「また、人間関係を良好に保つため、漁師たちはコミュニケーション力にも長けていました。
赤道時付近を航海していたある日、一人の漁師から「暑いのう。」と言われ、「赤道ですから。」と答えた私にその漁師が言ったのは、「それじゃ会話が終わってしまうだろう。まずはくだらないと思う話でも言ってみて、関係性を深めることから会話が始まるんだ。」ということでした。そこで更に具体的にどうしたらいいのかと聞くと、「連想ゲームをすればええ」と教えてくれました。相手の発言から連想されることを言い合えば会話は自然と繋がっていくということでした。

漁師と言うと寡黙なイメージがありますが、漁場を決めるために常に他の船から情報収集をしようとコミュニケーションをとっているのです。その中では、いきなり本題を聞いてしまうといやらしさが出てしまうので上手く雑談から入って相手と関係性をつくった上で情報を引き出すということを何時間も掛けて行っています。漁師たちはある意味コミュニケーションの達人なのです。」

自らの経験を振り返る時間が重要

「漁師たちは、もちろんビジネス書を熱心に読んでいるわけではないですし、漢字すらまともに書けない人もいるくらいです。
しかし、これまでお話したように、生活や仕事の知恵を人一倍持っており、これがとても不思議で、その理由を聞くと、「漁師は“ワッチ”をしとるからかもしれん」というのです。“ワッチ”というのは“Watch”がなまった言葉で、日本のあらゆる船において共通用語として使われており、「当直」のことを意味しています。
マグロ船で言う「当直」は操舵室で進行方向の見張りをすることを指していて、毎日交代で1人2時間受け持たなければなりません。しかし、他の船も含めて海上で何かに出会うことはほとんどないため、普通に過ごせばとても暇な時間なのですが、漁師たちはその時間を「その日にあったことの振り返りに充てると言うのです。
船員にこういうことを言ってあげれば良かったとか、どの様にシフトを組んだらみんなが気持ちよく働けるのか、といったことを考える時間に充てることにで、経験を経験で終わらすのではなく、自らの血肉として消化しているのだと言います。」

人を元気にさせる仕事がやりたい

 「そう言った漁船での経験をへて、自社の研究所に戻った私は、部署の風土改善を担当し、それまでほとんどなかった社員同士のコミュニケーションや情報交換の場をつくるようにしました。そこでは、いがみ合いや非難が生じないよう、マグロ船で学んだ関係構築の方法を活かして、うまく社員同士が交流し、知恵を共有できるような工夫をしました。 そういった活動をする中で、社員も仕事の楽しさややりがいを感じてくれるようになり、自分自身も本業であった開発業務より、人や会社を元気にすることの方が楽しいということに気づき、会社をやめて今の業務に就く決心をしました。」

「職場」 が、楽しい場所に感じられるようにしたい

 今、職場のストレスが原因でうつになる人が増えています。その原因の上位は、「職場の人間関係」だそうです。遊び友達であれば、嫌な人とは付き合わなければそれで終わる話ですが、職場の人間はそうはいきません。キライな人であっても、毎日8時間くらいは顔を合わさざるをえません。  私自身もかつて、「ゾンビ製造工場」と呼ばれていた、人間関係の悪いところで働いていたこともあり、1社でも多く、「みんなで力を合わせて働くことはおもしろく、また、そのためには、相手を喜ばせるコミュニケーションを知ることが大事なんだ。」という、私がマグロ船で教えていただいたことを伝えていき、ひとりでも多くの人が仕事を楽しめるようになってもらいたいなと思っています。

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今回の取材を通して、自身に合ったコミュニケーションの方法を考え、実践していくことの大切さを痛感した。
現在、企業の職場活性化を行っている齊藤氏は自身が本当にイキイキとした方で、溢れんばかりの活力をお持ちであった。齋藤氏はその理由について、マグロ船に乗ったことで、仕事の楽しみ方を知ったからだと言う。
今、世の中は便利になり、我々は様々なコミュニケーションツールを得た一方で、TPOに合わせてツールを使い分けようとはせず、無意識のうちに楽な方法を選択し、コミュニケーションから逃げているのではないだろうか。
漁師たちは、船という物理的に狭い空間で生きており、常に生身のコミュニケーションを強いられている。そういった良くも悪くも逃げられない環境にいるからこそ、漁師たちはコミュニケーションや相手を尊重する姿勢に長けており、イキイキと仕事が出来るのだろうと感じた。

 それを身を持って体験した齊藤氏は、世の中に流されていた自分に気づき、自らのコミュニケーションスタイルをつくり出せたからこそ、現在の様な活躍があるのだろう。  便利な世の中だからこそ、技術の進歩にただ身をゆだねるのではなく、自らの意思でツールや方法を取捨選択し、自身に合ったコミュニケーションを模索していく姿勢が欠かせないと感じたインタビューであった。

プロフィール齊藤 正明

北里大学 水産学部 卒業。 
バイオ系企業の研究部門に配属されたのち、マグロ船への乗船を経験。
その後社内活性 プロジェクトを担当し、マグロ船での経験を活かして、成功に導く。
2007年に同社を退職し、人材育成の研修や講演を行うネクストスタンダードを設立。
現在は、マグロ船での経験を題材にした講演や研修が好評を博し、各地で活躍中している。
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