2013.11.16
「デザイン」が商品の購買条件の一つとして注目されるようになっている。
車、ケータイ、家電・・・「デザイン」にこだわって選ぶ人は確実に多くなっており、もはやファッションだけでなく身の回りのものすべてにデザインは重要な要素となっている。
それは、熾烈なスペック競争の末、機能やサービスによる差別化が難しくなってきた結果でもあり、各メーカーのデザイン部門は、消費者の目を引く最新のデザインを求めて試行錯誤している。
そんな中、卓越した情報収集・分析力・コーディネイト力で、デザインの視点からデザイン開発だけでなくマーケティング・ブランディングなどの実践的ノウハウを提供するユニークな企業が、トリニティ株式会社である。
今回、同社の取締役社長である湯浅氏にお話を伺った。
トリニティ株式会社
http://trinitydesign.jp/
デザイナーも外との交流が必要な時代に
大手メーカーには、100人から1000人単位でインハウスデザインナーを抱えていますが、これまでは、メーカーは企業の秘密厳守のため、外との交流は行ってきませんでした。
しかし、すでに、業界内専門知識だけでは新しい価値を創り出せないようになってきています。
そこで、彼らの専門外であるマーケティングやブランディングのノウハウを提供することで差別化されたデザインを創り出すお手伝いをしているのが当社です。
ある自動車メーカーを例に挙げると、「日本人の美意識やもてなしの心を表現した車を開発したい」との思いに対して、最も洗練された「もてなし」を提供する高級ホテルのインテリアデザイナーと彼らを引き合わせ、互いに意見を述べ合うことで新しいコンセプトにたどり着くことを支援しています。
3つの柱
当社のサービスの柱は、デザインリサーチ、デベロップメント(商品開発)、コミュニケーション(展示会をはじめとするプロモーション)の3つです。
デザインリサーチとは、欧米では確立しているリサーチ活動で、製品の開発に先立って、デザインの視点から市場調査、ユーザ志向調査、デザイントレンド調査などを行うというもの。日本では製品開発に先立ってデザインを行うという文化がなかったため、現時点で同社以外にこれを手がけている会社はないと思われます。
当社は、もともとデザインをコアとする会社として、デザインをどのようにマーケティング、ブランディングに活かしていくのかを追求し、『デザインリサーチ』およびこれを遂行する『デザインリサーチャー』という職業を日本に根付かせたいと思っています。
デベロップメント(商品開発)は、例えばパリの「プルミエール・ビジョン」というコレクションを訪れ、トレンド分析を行って来シーズンの携帯のデザインがあるべき姿への提言を行うといった業務を行っています。コンセプト作りから素材の選定、GUIまで踏み込む。ある携帯端末メーカーと、イタリアの著名なインテリアデザイナーであるステファノ・ジョバンノーニ氏を引き合わせ、人気のキャラクターを起用した携帯電話を開発しています。
コミュニケーション事業は、在外スタッフと協力し、海外の主要な展示会への出展における会場確保、アートディレクション、施工や運営にいたるまであらゆるサポートを行う。例えば、イタリアのミラノサローネ。各国からデザイナーが出展・視察し、27万人を集客する国際見本市だ。海外でのシェア確保に苦戦したり、海外に進出を考えたりしている日本メーカーがこれらに出展するための支援、デザインPR、プレスやパーティー開催なども行っています。
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私が、今回感じた印象はとにかく圧倒的な情報量と分析力を持っている会社だということである。
自分が専門分野だと思っていた部分に関しても、違う角度から適切な指摘をいただくことができる。前述のメーカーの例ではないが、染まっていないとは思っていながら業界色にどっぷり染まっていたことを思い知らされた。
湯浅氏と話をしていて、いろいろな仕事を楽しめる柔軟な遊び心を持って、自分の専門分野だけでなく広い視野で仕事をとらえていく必要性がある(自分でできなくでも、受け取れる環境を自ら作る)と感じた。
プロフィール | 湯浅 保有美トリニティ株式会社 取締役社長 デザイン プロデューサー カッシーナジャパンの勤務後、イタリアのドムスアカデミーと三菱商事、内田洋行のジョイントベンチャーで設立された、DDA株式会社にて日本側プロデューサーとして活動。 その後独立し、トリニティ株式会社を設立。(www.trinitydesign.jp) 90年代からサローネをレポートし、同社では、毎年定点観測に伴う、デザイン分析レポートを発表するほか、サローネへの出展支援業務も行っている。 |
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